税務調査に入られる確率と頻度は?国税庁の統計から見えてくる傾向を税理士が解説

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国税庁が発表している統計によると、平成28年の税務調査の実調率は、

  • 法人…3.2%
  • 個人事業主…1.1%

となっています。

平成元年の実調率に比べると数値は半分以下となっており、年々減少傾向にあります。

頻度は法人の場合、だいたい3年〜10年に1回ほど個人事業主の場合は、5年〜10年に1回ほどで調査が入ると言われています。

減少している理由としては、「税務申告件数の増加」が原因として考えられます。

この記事では、

  • 税務調査に入られる確率
  • 税務調査に入られる頻度
  • 税務調査の実調率の傾向

について国税庁の統計を用いて詳しく解説していきます。

税務調査に入られる確率

国税庁が発表している資料をもとに計算をすると、平成28年の税務調査の実調率は

  • 法人…3.2%
  • 個人事業主…1.1%

となっています。

【参考】税務行政の現状と課題 ~実調率の推移〜

単純計算で、法人の場合は「30年に1回」、個人事業主の場合は「100年に1回」ほどの確率で税務調査が入るということになります。

確率はあまり高くはなく、生涯で一度も税務調査を受けない法人や個人事業主もいるでしょう。

ただ、税務調査は毎年必ず行われており、事業を営んでいる限り誰でも調査対象になってもおかしくはありません。

特に、風俗業、キャバクラなどの「現金商売」を行っている業種は売上をごまかしやすいため税務調査の対象になりやすい傾向があり、注意が必要です。

税務調査に入られやすい業種に関しては、下記の表と記事をご覧ください。

【引用】「国税庁」平成 30 事務年度 国税庁 所得税及び消費税調査等の状況

【関連】
税務調査とは?任意調査と強制捜査の違い、調査の流れや調査に入られやすい会社について
税務調査は個人事業主にもくる!調査に入られやすい個人の特徴とは?

税務調査に入られる頻度

税務調査に入られる頻度は、

  • 法人の場合…3年〜10年に1回ほど
  • 個人事業主の場合…5年〜10年に1回ほど

と言われており、創業から5年以上経過している場合に対象になることが多いようです。

「個人事業主は調査が入らない!」という人を時々見かけますが、実地による調査はなくても、「簡易な接触」がある可能性は高いため、日々の税務作業には注意が必要です。

「簡易な接触」とは、書面、電話、面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しと提出を要請するものとされています。

【引用】令和元事務年度 法人税等の調査事績の概要

また、税務調査が入る頻度に決まりはなく、事業の状況や規模、業種によって変わります。

一般的には、税務署職員の業務が落ち着く毎年9〜11月頃に行われることが多い傾向にあります。

税務調査に入られやすい時期についての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

【関連】税務調査の時期はいつ頃が多い?法人と個人事業主で違いはある?税理士が解説

税務調査の実調率の傾向

税務調査の実調率は過去と比べてどのような傾向があるのでしょうか。理由を含めて詳しく解説していきます。

税務調査は減少傾向にある

税務調査の実調率は減少傾向にあります。

下記の表は、国税庁が税務調査の統計をとったものです。

表をみてみると、法人の場合、平成元年の実調率が「8.5%」なのに対し、平成28年の実調率は「3.2%」となっています。

個人事業主の場合も平成元年の実調率が「2.3%」なのに対し、平成28年の実調率は「1.1%」となっており、実調率は法人、個人事業主ともにここ30年間で半分以下に低下しています。

この数値は今後も減少していくと考えられます。

【引用】税務行政の現状と課題 ~実調率の推移〜

税務調査減少の理由

税務調査の実調率が減少している理由として挙げられるのは以下の5つです。

  • 税務申告件数の増加
  • 税務申告件数の増加に伴う税務調査以外の業務量増加
  • 取引の国際化、高度情報化による調査の質的困難化
  • 調査手続きの法定化による業務量増加
  • 調査に従事する人員の減少

この中でも一番の理由として考えられるのは「税務申告件数の増加」です。

会社法の改正により、資本金1円から会社を設立することが可能になりました。また、パソコンひとつあれば仕事ができる時代です。会社を辞めて個人事業主(フリーランス)になるケースも珍しくありません。

ただ、以下の図を見ればわかる通り、税務申告をする人が増えた一方、税務署職員の人数はそれ見合うだけ増えてはいません。そのため、職員の手が回らなくなり、実調率が下がっていると考えられます。

引用「国税庁」税務行政の現状と課題

しかし、今後極端に調査の数が少なくなったり、税務調査自体が制度としてなくなったりすることはないでしょう。

「事業を行っている=税務調査の対象になる可能性はある」ということは忘れないようにしましょう。

【参考】国税庁 試論・「限界」実調率の理論

大阪で税務調査の対策にお困りならハートランド税理士法人へ

今回は、「税務調査に入られる確率と頻度・国税庁の統計から見えてくる傾向」について解説してきました。

税務調査に入られる確率は、法人は「3.2%」、個人事業主は「1.1%」となります。

頻度に関しては、法人の場合は3年〜10年に一度ほど個人事業主の場合は5年〜10年に一度ほどで調査が入ると言われています。

数字だけを見ると、税務調査が入る頻度はあまり高くないように感じますが、事業を行っている以上は税務調査が入る可能性はあります。税務調査が入りやすい業種は日々の税務作業を注意して行いましょう。

もし、大阪で税務調査の対策にお困りの方がいましたら、「ハートランド税理士法人」へお気軽にご相談ください。

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