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1年を通して契約を結ぶ顧問税理士ですが、起業する際に契約を結ぶ最大のメリットは、
創業融資や助成金・補助金などの資金調達サポートを行ってくれる点
です。
また、起業時以外で顧問契約を結ぶ目安となるタイミングは、
- 年間の売上が1,000万円を超えたとき
- 起業してから1〜2年後
- 個人事業から法人に変えるとき
が良いとされています。
この記事では、
- 顧問税理士の役割
- 起業の際に税理士と顧問契約するメリット・デメリット
- 税理士と顧問契約するかどうかの目安・タイミング
- 税理士の選び方でもっとも大切なのは「その税理士の強み・得意分野」
これらについて詳しく解説していきます。
顧問税理士の役割
顧問契約をした税理士には、3つの独占業務とその他の税務関連の業務を依頼することができます。
ここからは、それぞれの具体的な内容について解説していきます。
独占業務
顧問税理士が行える独占業務は、以下3つです。
申告業務 確定申告業務や償却資産税などの申告業務 税務書類作成 税務官公署に提出する申告書を作成(給与明細書や確定申告書など) 税務相談 税金の計算方法についての相談に応じる 上記の業務は、税理士法の第2条で税理士だけが行える業務として定められています。第52条でも税理士以外が上記の業務を行うことを禁じています。そのため、税理士以外に依頼することはできません。
【参考】法令検索「昭和二十六年法律第二百三十七号 税理士法」
法人税の申告業務は所得税の場合より内容が複雑で時間がかかります。もちろん、自分で行うことも可能ですが、記入漏れや計算ミスが出る場合もあれば、控除を受けるための書類を見落としてしまい、損をしてしまうというケースも少なくありません。
実際、会社を運営しながら、複雑な申告業務を行うのは非常に困難であるため、税理士に依頼している企業がほとんどです。自分で行うよりもはるかに正確でスムーズな申告業務をしてくれるでしょう。
独占業務以外に依頼できる仕事
上記で紹介した独占業務以外に税理士に依頼できる仕事は、次の通りです。
仕事 内容 資金調達 金融機関からの補助金・助成金に関する支援や窓口の紹介 会社設立(起業支援) 設立手続きの窓口役や届出書類の作成・提出。事業計画作成をサポートしてくれる場合もある 給与計算 毎月の給与計算を代行。
年末調整も一括で依頼可能年末調整 年末調整を代行。従業員から必要な書類を集め提出すれば、税金の計算まで行う 記帳代行 毎月の伝票や領収書をもとに試算表の作成まで行う 会計指導 会社の経理・会計業務で使用する会計ソフトの使い方・仕分け方法を指導 相続・事業継承対策 事業継承後の相続税申告、継承前の相続税対策を行う 事業再生 状況分析を行い、再生計画の立案・不動産の売却などをサポート
会社を経営するうえで、資金調達はとても重要です。資金が必要になった時にうまく調達ができなければ、経営に悪影響を及ぼすことになります。
そのような状況を防ぐためにも、資金調達は税理士に相談することをおすすめします。返済計画も考慮しつつ、必要な資金に応じて調達方法を選んでくれるでしょう。
【関連】資金調達の方法で最適なのは?調達の種類やそれぞれのメリット・デメリット、選び方を解説
また、融資申請の際に必要となるのが「事業計画書」です。
起業時から税理士と契約することによって、事業計画書の作成や設立手続きのサポートもしてもらえます。さらに、経費や税金についても相談できるため、無駄な費用や税金を支払うこともほとんどありません。税金面で有利になる可能性が高いため、起業時には税理士に依頼するのがおすすめです。
起業の際に税理士と顧問契約するメリット・デメリット
ここでは、起業時に税理士と顧問契約をするメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
起業時に税理士と顧問契約をする最大メリットは、
「創業融資や助成金・補助金などのサポートを行ってくれる点
です。
特に、起業するうえで重要とされる創業融資では、事業計画書が必要になります。事業計画書作成をサポートしてもらえるのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、助成金や補助金に関しても、利用できそうなものや最新の情報を教えてくれるので、起業時の強い味方になってくれることでしょう。
【関連】会社設立時には税理士に依頼すべき?やってくれる仕事内容やメリットを紹介
その他にも、
- 企業経営に専念できる
- 節税対策のテクニックが知れる
- 税務調査にも対応してくれる
などのメリットがあります。
税務にかける時間を削減でき、その分本業に専念することができるだけでなく、日頃から税務面のアドバイスをもらえるため効率的に節税対策をすることが可能です。
さらに、万が一、税務署から税務調査が入ってしまった場合でも税理士が立ち会ってくれるので安心です。詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
【関連】顧問税理士の役割と契約するメリット・デメリット、報酬相場や選び方は?
デメリット
税理士と顧問契約を結ぶ唯一のデメリットは、毎月費用がかかることです。
相場は、以下の表の通りです。
年間売上 | 顧問税理士契約料 |
1,000万円未満 | 約15,000円 |
5,000万円未満 | 約30,000円 |
1億円未満 | 約40,000円 |
1億円以上 | 約60,000円 |
税理士や事業の売上によって異なりますが、年間売上が1,000万以下の場合、契約料は月額約15,000円となります。
起業する際の契約においても契約料はだいたい同じ金額がかかってきますので顧問料を支払える余裕がない場合は、顧問税理士と契約するのは難しいでしょう。
ただ、税理士と顧問契約を結ぶメリットはとても大きいため、資金に余裕があるのであれば起業時から税理士との顧問契約を結ぶことをおすすめします。
起業時以外に税理士と顧問契約するかどうかの目安・タイミング
起業時以外に、税理士と顧問契約を結ぶかどうかの目安となる主なタイミングは以下の3つです。
年間の売上が1,000万円を超えたとき
年間の売上が1,000万円を超えると、翌々期に「課税事業者」となります。課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人、個人事業主のことをいいます。
課税事業者になると、所得税の申告に加え消費税の申告もしなければなりません。経理や税務申告がより複雑になるため、年間の売上が1,000万円を超えて消費税の課税事業者になるタイミングで税理士と顧問契約を検討してみてください。
【関連】税理士に確定申告を依頼した場合の費用の相場、メリット・デメリットは?
起業してから1〜2年後
法人として起業してからある程度の年数が経過すると、売上が安定している場合が多く、税務調査に入られる可能性も高くなってきます。
そのため、起業から1〜2年経過したタイミングで契約するのも良いとされています。
しかし、決算直前に依頼してしまうと、これまでのデータを急ぎでまとめて報告しなければいけなくなってしまうため、余裕を持って契約を結びましょう。
個人事業から法人に変えるとき
個人でも法人化した場合でも、基本的に経理の内容は同じです。
しかし、決算書の作成や税務申告が、法人になると難しくなります。また、社会保険に関する事務処理も複雑になってきます。個人事業で行ってきた税務申告や事務処理にやっと慣れたところで、より難しい法人に関する税務の勉強をするのはとても大変です。
経営者として本業に専念するためにも、このタイミングで顧問契約を検討すると良いでしょう。
税理士の選び方でもっとも大切なのは「その税理士の強み・得意分野」
税理士は知人からの紹介やインターネットなどで探すことができます。
その際に重要視していただきたいのが、
「その税理士(税理士法人、会計事務所)の強み・得意分野」
です。
人当たりの良さや返信のはやさ、決算対策などができるのは大前提として、まずは得意分野で絞って判断することをおすすめします。
税理士は税に関する専門家ですが、人によって強みや得意分野は異なります。
例えば、起業したい場合や起業したての場合であれば、創業融資などの資金調達を得意とする税理士がおすすめです。
大阪で起業の際に税理士をお探しならハートランド税理士法人へ
今回は「起業するときに税理士と顧問契約すべきかどうか」について解説してきました。
契約する際に重要なのは、その自身のニーズと依頼する税理士の得意分野がマッチするかどうかです。
私たちハートランド税理士法人は、創業融資はサポート成功率100%ですし、会社設立も最短即日対応可能です。
起業の際に税理士をお探しの方がいましたら、無料で相談に乗らせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。
万が一、契約するメリットがない場合は、はっきりとお伝えしますのでご安心ください。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。