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結論からいうと、税務調査は毎年9〜11月に行われることが多い傾向にあります。
この時期は決算処理をおこなう法人が少なく、個人事業主の確定申告とも時期がズレています。そのため、税務署としては業務に比較的余裕があり、税務調査にリソースを割きやすいのです。
この記事では、
- 税務調査は事前に連絡があるケースがほとんど
- 税務調査の多い時期
- 税務調査の時期によって内容に違いはあるのか
ということについて詳しく解説していきます。
税務調査は事前に連絡があるケースがほとんど
前提として、税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があり、ほとんどの場合は調査日を事前に教えてくれる任意調査です。
そのため、突然調査に入られるケース(=強制調査)は非常に稀です。詳しくは下記記事をご参照ください。
任意調査
「任意調査」といっても、厳密には「任意」とは異なります。というのも、税務署の職員には税金に関する質問を納税者に行える「質問検査権」が認められています。この質問検査に対して、黙秘権は認めれていません。また、税務署職員から帳簿書類などの提出を求められた際に、正当な理由なく提出を拒む行為や嘘の記載をした書類を提出した場合は、罰則が科せられるケースもあります(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
強制調査
事前連絡は一切なく、急遽実行されます。脱税の疑いのある納税者(脱税金額が1億円を超え、尚且つ悪質な隠蔽工作がなされたと想定された事例に限る。)に対して、裁判所の令状を得て強制的に調査を行います。
強制捜査は「マルサ」と呼ばれる国税局査察部が担当しています。
査察部による強制調査は、納税に関する資料を押収できる権利を持っているため、納税者はこの調査を拒否することはできません。強制調査によって脱税行為が特定された場合、検察庁に告発され、刑事事件として処理されます。
税務調査の多い時期
税務調査は9〜11月に調査が行われることが多いとされています。
法人と個人事業主の場合で違いはあるのか、なぜ9〜11月に行われることが多いのかということを詳しく解説していきます。
法人の場合
決算期が2~5月の法人は9~11月が多く、決算期が6~翌年1月の法人は調査は1~6月が多い傾向にあります。
ただ、決算期を3月にしている法人がほとんどのため、税務署側の業務が落ち着き始める9〜11月に集中することが多いでしょう。
また、調査が入る頻度に決まりはありませんが、一般的に3〜10年に一度調査が行われると言われています。
個人事業主の場合
個人事業主の場合も3月に確定申告を行うケースが多いので、調査は9〜11月に集中する傾向にあります。その期間の中で特に入る確率が高い時期は7〜8月です。
調査が入る頻度の目安は、5〜10年に一度と言われています。
個人事業主の税務調査についての詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
【関連】税務調査は個人事業主にもくる!調査に入られやすい個人の特徴とは?
各月毎の税務調査に入られる可能性
9〜11月以外の時期も税務調査に入られる可能性はあるものの、実際に入られることは稀でしょう。ここからは、その理由についてみていきましょう。
1月〜3月
法人の年末調整や個人事業主の確定申告を行う時期です。税務署の職員は多忙な時期になり、調査を行う余裕はほとんどないため、この時期に税務調査が入る確率は低いと言えるでしょう。
4〜6月
法人は3月を決算期にしているケースがほとんどです。この時期の税務署職員も法人税の申告処理などの業務に追われていることが多く、税務調査が入る確率は低いでしょう。
7〜8月
7月は税務署の人事異動があり調査職員のチーム編成が行われるため、調査に入るというよりも調査に入る法人を選定する時期と言えます。一方で、個人事業主の調査は法人に比べると短期間で終わるため、個人事業主を中心に調査を行うこともあります。
9〜11月
調査に入る法人や個人事業主の選定が終わります。税務調査が本格的に始動するため、税務調査が最も入りやすい時期となります。
12月
年末年始を控えているため、税務署及び法人や個人事業主側も多忙になる時期です。調査が入る確率は低いでしょう。
税務調査は時期によって内容に違いはあるのか
税務調査の時期による内容の変化は基本的にありません。
税務調査が入る前には事前通知が来るので、税務調査の開始日時、調査場所、調査対象の税目、期間などを決めます。
税務調査当日は、挨拶後に事業概要などの説明を求められ、その後調査が開始されます。調査官から質問されたり、帳簿書類などの提出を求められたりするでしょう。
税務調査後は、調査の2〜3週間後に来る結果を待ちます。
詳しい税務調査の内容については下記の記事をご覧ください。
【関連】税務調査とは?任意調査と強制調査の違い、調査の流れや調査に入られやすい会社について
大阪で税務調査の対策なら国税庁OBも働くハートランド税理士法人へ
今回は、「税務調査が行われることが多い時期と法人と個人事業主で違いはあるのかどうか」について解説してきました。
税務調査の時期は、個人事業主、法人ともに毎年9〜11月行われることがほとんどです。調査内容に関しても大きな違いはありません。
税務調査の多い時期をわかっていれば少しは気持ちが楽になりますし、税務調査の対策も打てると思います。大阪で税務調査の対策をお考えの方は、国税庁OBも働くハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。
【関連】顧問税理士の役割と契約するメリット・デメリット、報酬相場や選び方は?
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。