税理士が解説!確定申告しないとどうなる?ペナルティや遅れた場合の対処法など

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確定申告をして所得税を納税する義務があるとはわかりつつも、自分が確定申告をすべきなのかわからず、申告していないという方も多いのではないでしょうか。

では、確定申告をしないとどうなるのでしょうか。

今回この記事では、

  • 確定申告が必要な人
  • ずっと確定申告していない場合は今すぐ対応するべき理由
  • 確定申告をしないことによるペナルティ
  • 確定申告をしないことによるペナルティ以外のデメリット
  • 確定申告をしていないことが税務署にバレる理由
  • 確定申告の時効
  • 確定申告を忘れていた場合や遅れた場合の対応

について詳しく解説していきます。

確定申告が必要な人

確定申告が必要な所得は以下の通りです。

  • 事業所得
    …フリーランスや自営業等で生ずる所得のこと。
  • 不動産所得
    …家賃収入等の不動産の貸付による所得のこと。
  • 配当所得
    …株式の配当金や公募株式投資信託の収益分配金等による所得のこと。
  • 譲渡所得
    …土地、建物、株式等等の資産を譲渡することによって生ずる所得のこと。
  • 一時所得
    …公営競技の払戻金などの営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得。
  • 退職所得
    …退職時に一時金として受け取る所得のこと
  • 山林所得
    …山林を伐採し譲渡する、または立木のままで譲渡することによって生ずる所得
  • 雑所得
    …いずれにも当たらない所得のこと。

また、会社員やアルバイトであっても、

  • 給与の収入金額が2,000万円を超えている人
  • 副業所得が年間20万円を超えている人
  • 医療費控除をはじめとした各種控除を受けたい人

などは確定申告の対象となります。

詳細は、下記の国税庁のホームページをご確認ください。

【参考】国税庁「確定申告が必要な方」

ずっと確定申告していない場合は今すぐ対応するべき理由

ずっと確定申告をしていない状態(無申告)でいればいるほどペナルティが大きくなり、支払わなければいけない税金が増えていきます。また、申告をしなかった理由が悪質であると判断された場合は重課税では済まない可能性もあります。

大事なのは「自主的に申告すること」です。

期限が過ぎてしまった場合でも、速やかに申告しましょう。

確定申告をしないことによるペナルティ

ここでは、適正に確定申告を行わなかった場合に与えられるペナルティについて解説していきます。

主なに課せられる税金は「無申告加算税」「重加算税」「延滞税」です。

加算税

  • 無申告加算税
    「納付期限までに申告がなかったことで課せられる税金のこと」を指します。税務署からの指摘を受けてからの申告と、受ける前の申告では税率が変わるので注意しましょう。

無申告加算税の税率は以下の通りです。

申告者の状況税率
自主的に申告した場合5%
税務署からの指摘を受けてから税務調査が入るまでの場合50万円まで10%
50万円を超の部分15%
税務調査が入った後の場合50万円まで15%
50万円を超の部分20%
  • 重加算税
    仮装や隠蔽があった場合や意図的な無申告だった場合に課せられる税金のこと」を指します。

重加算税の税率は以下の通りです。ただし、過去5年内に、無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は10%加算されます。

申告者の状況税率
仮装隠蔽があった場合過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%

(前歴がある場合45%)

無申告加算税に代えて40%

(前歴がある場合50%)

【参考】国税庁「加算税の概要」

延滞税

延滞税とは、「納付期限に間に合わなかったことで課せられる税金のこと」を指します。

延滞税の計算方法は以下の通りです。

【引用】国税庁「延滞税の計算方法」

税率は以下の通りです。

  • 納付期限の翌日から2ヶ月以内…年7.3%
  • 納付期限から2ヶ月が過ぎた場合…年14.6%

ただし、令和3年1月1日以後と平成26年1月1日から令和2年12月31日までの期間に対応する延滞税の割合が違うので注意しましょう。

詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。また、計算フォームもあります。

【参考】

・国税庁「延滞税の計算方法」

・国税庁「延滞税の計算フォーム」

確定申告をしないことによるペナルティ以外のデメリット

確定申告をしていない場合、ペナルティ以外にもデメリットがあります。

「税金を払わないために」という理由で確定申告をしていないことにより、思わぬところで損をしている場合があるのです。

控除制度が活用できない

確定申告をしないことにより、本来であれば受けられる以下の15種類の所得控除が受けられなくなってしまいます。

【引用】国税庁「所得から差し引かれる金額」(所得控除)

収入を証明することができない

確定申告をしていない場合、その年の収入を証明する書類がないということになります。

収入を証明できない=無収入とみなされる可能性もあります。そうなってしまうと、家を借りるときや事業拡大のために融資を受けたい時に収入の証明ができないため、契約を結ぶのが難しくなってしまいます。

国保や年金の免除・減税・猶予措置が受けられない

国保や年金の免除・減税・猶予措置を受ける場合には、「所得証明書」が必要となります。しかし、確定申告をしていない場合は、所得証明書を発行することができません。

よって、国保や年金の免除・減税・猶予措置が受けられないということになります。

非課税証明書が取得できない

非課税証明書は、主にローンを組むときやお子さんの奨学金を申請するときに必要になる書類です。無申告の状態では、取得することができません。

赤字の繰り越しができない

青色申告で確定申告をした場合以下のようなメリットがあります。

  • 3年間の赤字を繰り越すことができる
    …赤字を繰り越すことで、赤字の年と黒字の年で利益を分散することができるため、税金の金額を抑えられます。
  • 繰戻し還付などを受けることができる
    …赤字になってしまっても、前年が黒字であればそこから差引することができ、所得税の還付金を受け取ることができます。

赤字が続いているからといって確定申告をしていないとこのようなメリットを受けることができません。

青色申告については、下記の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

【関連】【税理士が解説】確定申告とは?対象者や必要書類、控除、青色・白色の違い

確定申告をしていないことが税務署にバレる理由

確定申告をしていないことは、どんなところからバレるのでしょうか。

ここでは、無申告がバレるケースについてご紹介します。

支払調書

支払調書とは、会社が「誰にどんな内容でいくら払ったか」を明記している書類で、税務署に提出をしなければいけません。

そのため、税務署に支払先の個人事業主等が確定申告をしているかどうかが、知られてしまうということになります。

税務調査

税務調査とは、「申告内容に誤りがないかを確認したり、無申告だった場合に是正を求めたりする調査手続き」のことです。

税務署が行う税務調査によって確定申告をしてないことがバレてしまいます。

また、税務調査と聞くと、会社に入るイメージをお持ちの方も多いとは思いますが、実際は会社か個人かは関係なしに入る可能性があります。

さらに、自分の取引先が税務調査に入られた場合も、芋づる式にバレる場合もあるので注意しましょう。

税務調査については、下記の記事で詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。

【関連】

税務調査とは?任意調査と強制捜査の違い、調査の流れや調査に入られやすい会社について

税務調査は個人事業主にもくる!調査に入られやすい個人の特徴とは?

税務調査の時期はいつ頃が多い?法人と個人事業主で違いはある?税理士が解説

タレコミ

タレコミとは「密告」のことです。主に、犯罪や不正行為などの情報を関係機関に知らせることをいいます。

そのような知人や友人からのタレコミにより、確定申告をしていないことがバレてしまうというケースも少なくはありません。

確定申告の時効

確定申告の「時効」はあります。

しかし、督促状が送られてきた時点で時効は中断するため、以下はあくまで目安です。これが届くと実質的に時効が成立することはほぼないということも理解しておきましょう。

期限内に確定申告している場合

「申告期限の翌日から3年」が時効期間です。

自主的に確定申告をしているということが前提です。

確定申告をしたものの、申告の内容に不備があり、本来納めるべきの納税額より少なく申告していた場合の時効となります。

期限を過ぎてから確定申告した場合

「申告期限の翌日から5年」が時効期間です。

上記と同様に自主的に確定申告をしていることが前提で、申告の内容に不備があり、本来納めるべきの納税額より少なく申告していた場合の時効となります。

無申告・悪質な申告漏れの場合

「申告期限の翌日から7年」が時効期間です。

仮装や隠蔽がある申告や意図的に無申告、過小申告をした場合などの時効となります。

確定申告を忘れていた場合や遅れた場合の対応

確定申告を忘れていた場合や遅れた場合は、できる限り早く自主的に確定申告をしましょう。与えられるペナルティを最小限にすることができます。

納税義務をわかっていながら無視をしたり、隠蔽などをしたりするとさらに厳しいペナルティを与えられることになります。

なお、以下の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税は課せられません。

【引用】国税庁「確定申告を忘れたとき」

気づいた時点で申告する旨を税理士や国税庁の「税についての相談窓口」に相談しましょう。

【参考】国税庁「確定申告を忘れたとき」

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確定申告をしないとどうなるか、おわかりいただけたと思います。

会社経営者はもちろんのこと、個人事業主やフリーランスの方も記事内で紹介した所得がある方は確定申告が必要ですので、しっかり把握しておきましょう。

また、確定申告は基本的に自分で行うものですが、税理士に代行を依頼することも可能です。場合によっては、経理作業の時間や労力のコストを削減することもできます。

そして何より、正確な申告をしてもらえるというメリットがあります。

加算税などのペナルティを与えられないためにも、経理代行サービスを利用するのがおすすめです。

確定申告について何かお悩みのことがありましたら、まずはお気軽に無料相談をご活用ください。

【関連】自分でやると損?確定申告代行を依頼するメリットやデメリット、費用相場について

 

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