【税理士が解説】税金が返ってくる?確定申告の「更正の請求」とは?要件、必要書類、手続きまとめ

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更正の請求とは、確定申告の申告期限後に修正を行う手続きのひとつです。

申告期限後に行う手続きには「修正申告」「更正の請求」の2つがあります。

修正申告は、申告期限後に

  • 納税額を実際より少なく申告していた
  • 還付される税金を多く申告していた

場合に行う手続きです。

一方、今回解説する更正の請求は、申告期限後に

  • 納税額を実際より多く申告していた
  • 還付される税金を少なく申告していた

場合に行う手続きです。

この記事では、

  • 更正の請求とは
  • 更正の請求の必要書類と書き方
  • 更正の請求の手続きの流れ

について詳しく解説していきます。

更正の請求とは

確定申告の申告期限後に税金を多く払っていたことに気づいた場合、更正の請求を行うことによって払い過ぎた税金が戻ってくるかもしれまん。

ここからは、更生の請求の概要、要件、期限、事例などについて解説していきます。

概要

更正の請求とは、確定申告の申告期限の後に、実際の税額より多く申告していた場合や還付される金額が過小だった場合に修正する手続きのことです。

なお、確定申告の内容を修正する手続きは、「更正の請求」以外にも以下の2つの手続きがあります。

・修正申告
…確定申告の申告期限後、申告内容に誤りがあった場合に修正する場合の手続きです。修正申告を提出した後は、修正内容に不満があっても原則として申し立てを行うことができません。

・訂正申告
…確定申告の申告期間内に誤りを発見し、訂正する場合の手続きです。申告書を複数回提出した場合は、最後に提出した申告書が採用されます。延滞税はかかりません。

【関連】
・【税理士が解説】確定申告の修正申告はどうやってする?条件、提出書類、手続きの流れ、ペナルティなど
・【税理士が解説】確定申告の間違いは期限内なら「訂正申告」で対応しよう!必要書類や書き方など

更正の請求ができる要件

更正の請求ができる要件は、

  • 申告期限後に申告内容のミスに気づいた場合
  • 申告した税額が本来よりも多い場合
  • 還付される税額の申告が本来よりも少ない場合

の3つです。

更正の請求の期限

更正の請求の期限は、

  • 通常
  • 法人税純損失
  • 後発的事由

で変わります。

それぞれ、更正の請求ができる期限は以下のとおりとなっています。

・通常
…法定申告期限から原則5年以内です。

・法人税純損失(※損益の通算をしてもなお控除しきれない金額のこと)
…法定申告期限から原則9年以内です。

・後発的事由(※政令で定めるやむを得ない理由のこと。例:)
…法定申告期限が過ぎても、事由が生じた翌日から2ヶ月以内であれば更正の請求を行うことができます。

【参考】国税通則法 第二款 更正の請求(第二十三条)

更正の請求でよくある事例

経費の計上に漏れがあった

売上から差し引くはずの経費を計上していなかった場合、更正の請求を行うことができます。計上の漏れが生じ安いケースは次のようなものがあります。

  • 12月のアルバイト代を年明けに支払ったため、経費計上をしなかった
  • 12月に接待交際費をクレジットカードで支払った際の請求が翌月にきたため経費計上を忘れた
  • 領収書の管理を怠っており、確定申告後に計上するはずの領収証が見つかった

計算ミスによる所得の過大申告

計算ミスにより売上を間違えて申告してしまったというケースは少なくありません。

経理を自分自身で行うことが多い自営業やフリーランスの方は、普段から帳簿をつけるのが難しい面があります。そのため、申告前に大量の請求書を計算することになり、単純な計算ミスが起こりやすくなります。

所得から控除される支出の記入漏れ

所得から控除される項目は、下記のようなものがあります。内容も含めて解説していきます。

所得控除の種類内容
雑損控除災害、盗難などの損害を受けた場合
医療費控除1月1日から12月31日までの間に本人や配偶者、同居の親族などが支払った医療費が10万円を超えた場合
社会保険料控除本人、配偶者や同居の親族などが健康保険料、厚生年金保険料、国民健康保険料、国民年金などを支払った場合
小規模企業共産等掛金控除納税者が共済契約に基づく掛金等を支払った場合
生命保険料控除納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合(最大12万円)
地震保険料控除納税者が地震保険料を支払った場合(最大5万円)
寄付金控除納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人、社会福祉法人などに対して寄付をした場合(ふるさと納税も含む)
障害者控除納税する本人、配偶者、扶養親族が一定の障害者に該当する場合
寡婦控除納税者が一般の寡婦である場合
勤労学生控除納税者自身が学生で合計所得金額が65万円以下の場合
配偶者控除納税者(合計所得金額が1,000万円以下)に控除対象の配偶者(合計所得金額が48万円以下)がいる場合
配偶者特別控除控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下
扶養控除納税者に控除対象の扶養親族がいる場合
基礎控除納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円

【参考】国税庁「所得控除のあらまし」

更正の請求ができない事例

更正の請求は、「更正の請求ができる要件」にも記載したように、申告期限後に申告内容のミスに気づいた場合などに行うことができる手続きですので、それ以外は基本的に行うことができません。

例えば、評価損の計上は損金経理が要件となっているため、売れ残った季節ものの商品について、評価損を計上しなかった場合には、更正の請求対象とはなりません。

更正の請求の必要書類と書き方

ここでは、更生の請求で必要な書類と更生の請求書の書き方について詳しく解説していきます。

更正の請求の必要書類

更正の請求に必要な書類は、

  • 確定申告書の控え
  • 更生の請求書
  • 請求の根拠となる書類(領収書など)
  • 本人確認書のコピー

です。

更生の請求書やそれぞれの手続き詳細については、以下のリンクからダウンロードできます。

【参考】国税庁「更正の請求・災害関係」

更正の請求の書き方

 

【引用】所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続

  • 個人番号
    …更正の請求をする方の個人番号を記載する。
  • 請求の目的となった申告又は処分の種類
    …請求の目的となった申告又は処分の種類を記載する。
     (例)「令和〇〇年分確定申告」、「令和〇〇年分決定通知」
  • 「申告書を提出した日、処分の通知を受けた日又は請求の目的となった事実が生じた日」
    …「請求の目的となった申告又は処分の種類」欄に記載した申告の申告年月日又は処分の通知を受けた日を記載する。
  • 「更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等」
    …更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細を記載する。
  • 「添付した書類」
    …更正の請求書に添付した書類名を記載する。

  • 「請求額の計算書」
    …請求の目的となった年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引きなどを参照する。

  • 「還付される税金の受取場所」
    …銀行の口座番号又はゆうちょ銀行の記号番号を記載する。

更正の請求の手続きの流れ

ここからは、更正の請求の手続きの流れについて、「窓口・郵送の場合」「e-taxの場合」でそれぞれ解説していきます。

窓口・郵送の場合

窓口もしくは郵送の場合は、

  1. 更生の請求書を税務署でもらう。または国税庁のホームページからダウンロードする
  2. 必要項目を記載する
  3. その他必要書類を添付して管轄税務署の窓口もしくは郵送で提出する

という流れになります。

窓口もしくは郵送で提出した場合、提出から1〜2ヶ月ほどで還付金が振り込まれ、「還付金のお知らせ」と記載されたハガキが振り込み前後で届きます。

e-taxの場合

e-taxの場合は、

  1. 国税庁のホームページの「確定申告書作成コーナー」からオンライン入力する
  2. 作成したデータをオンラインで送信する

という流れになります。

【関連】確定申告の3つの提出方法【オンラインが便利】

e-taxの申告には、「マイナンバーカード」「カードリーダー」が必要となるため事前に準備しておきましょう。

e-taxで更正の請求を行った場合、 提出から約3週間ほどで還付金が振り込まれます。ただし、還付期日は明確に決まっているわけではなく、あくまでもひとつの目安です。

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今回は、「確定申告の更正の請求」について解説してきました。

確定申告の内容を間違えてしまい、実際よりも税金を多く払ってしまっていた場合や還付金が過少だった場合でも、更正の請求を行うことで納め過ぎた税金が戻ってくる可能性があります

その際の申告は正確さが求められますので、税理士に依頼することをおすすめします。

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