確定申告の3つの提出方法【オンラインが便利】

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個人事業主にとって、確定申告は1年に1度の大仕事です。

提出方法には、

  • 郵送
  • 持参
  • オンライン

の3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

今回は、確定申告の基本事項と3種類の提出方法、そして提出方法で気をつけるポイントやよくある質問についてについて詳しく紹介していきます。

正しい提出方法を知って、確定申告をスムーズに終わらせましょう。

確定申告の提出方法における基本事項

まずは、確定申告の提出方法の基本を確認していきましょう。

確定申告とは

確定申告とは、

「1年分の所得を税務署に申告し、納税するべき税金の金額を確定させる作業」

です。

年末調整の対象とならない個人事業主や、2箇所以上の会社から給与を受けている人などが対象となります。

また、会社員でも医療費控除や寄付控除、住宅ローン控除などの各種控除を受ける場合は確定申告を行う必要があります。

必要書類

確定申告には「青色申告」「白色申告」の2種類があり、必要な書類もそれぞれ異なります。

それぞれに必要な書類は以下の通りです。

<青色申告に必要な書類>

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 各種控除関係の書類(医療費・住宅ローン・寄付などの控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)

<白色申告に必要な書類>

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書
  • 各種控除関係の書類(医療費・住宅ローン・寄付などの控除を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得があった場合)

また、この他に本人確認書類・印鑑(持ち込み、郵送の場合)・口座番号がわかるもの(納税を銀行振込で行う場合・還付金の振込を受ける場合)も必要です。

提出先

確定申告の提出先は納税地を所轄する税務署です。納税地とは、一般的には今住んでいる住所です。

なお、個人事業主で住所と事業所が違う場合には、事業所を納税地とする場合もあります

提出期限

確定申告の提出期限は毎年2月16日~3月15日です。(※2021年提出分は4月15日まで延長決定

この日付に土日が被る場合には、その日の翌日となります。正確な提出期限は、国税庁のホームページで確認しましょう。

確定申告を時間外提出箱に投函したり郵送で提出したりする場合、3月15日の営業終了後の回収(郵送の場合は15日以降の消印)となってしまうと、期限後という扱いになるため注意してください。

確定申告の提出期限に間に合わなかった場合には、以下のようなペナルティがあります。

  • 無申告加算税
    …期限内に確定申告を行わなかった場合、本来納めるべき税金に対して15~20%の加算
  • 延滞税
    …納付期限より遅れて納付をした場合、遅れた日数に比例して加算
  • 重加算税
    …確定申告の提出内容に隠蔽・偽装・意図的な無申告などがあった場合、本来納めるべき税額に対して35~40%の加算

納税方法

確定申告で算出した税金は、以下の方法で納めることができます。

  • ダイレクト納付
    …e-Taxを預貯金口座に紐付けて直接納付する方法
  • インターネットバンキング等
    …各銀行のインターネットバンキングで納付する方法
  • クレジットカード納付
    …「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する民間業者に納付を委託する方法
  • コンビニ納付
    …コンビニに納付用紙を持参し、レジ支払いで納付する方法
  • 振替納税
    …銀行振替により納付する方法
  • 窓口納付
    …金融機関または税務署の窓口で納付する方法

提出方法は3種類

それではいよいよ、確定申告書類の提出方法をご紹介いたします。

確定申告書類の提出方法は、以下の3種類です。

  • 郵送
  • 持参
  • オンライン提出(e-tax)

それぞれの詳しい提出方法や、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

郵送

確定申告書類を全て封筒に入れて所轄の税務署に郵送する提出方法です。

各税務署の住所は、国税庁のホームページから確認できます。

【参考】
国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」

確定申告書類は「郵便物(第一種郵便物)」もしくは「信書便物」として送付します。

他の提出方法とは異なる点として、控えを受け取るための返信用封筒を同封するのを忘れないようにしましょう。

メリット

郵送で提出するメリットは以下の通りです。

  • 税務署への移動時間・待ち時間がかからない
  • 税務署までの交通費がかからない
  • 期限ギリギリでも、3月15日の通信日付印が受けられれば間に合ったことになる

郵送のメリットは、税務署までの移動時間・待ち時間が短縮できることです。確定申告の時期は、税務署が大変混雑します。窓口受付ではかなり待ち時間がかかることも多いため、忙しい方にはおすすめの提出方法です。

また、郵送の提出方法には送付用・返信用の切手代がかかりますが、税務署が遠方の場合には交通費より切手代の方が安くなります。

さらに、窓口での提出やオンライン提出では、3月15日の営業終了とともに期限後扱いになってしまいますが、郵送なら3月15日の消印が受けられれば期限内扱いになります。

デメリット

郵送で提出するデメリットは以下の通りです。

  • 税務署の職員に直接質問・確認ができない
  • 不備があった場合、訂正・再提出が面倒
  • 到着までに日数がかかる

郵送のデメリットは、直接提出とは違い、税務署の職員に内容の確認ができないことにあります。確定申告を初めて行う方など、提出内容に自信がない方は、郵送による提出方法はあまりおすすめできません。

また、郵送で提出すると、内容に不備があった場合は書類が返送されてきて、さらに訂正したものを再提出しなければいけません。

これらの手続きはどんなに急いでも数日はかかってしまうので、期限が迫っていると、再提出が済んだ頃には期限後になってしまう可能性もあります。

持参

初心者にもっともおすすめなの提出方法は、税務署に直接持参する方法です。

所轄の税務署に作成済みの確定申告書類を持参し、窓口で提出するだけです。

一般的な税務署の開庁時間は、平日の8:30~17:00です。

しかし、一部の税務署では、確定申告の時期のみ土曜日・日曜日にも確定申告の提出や相談を受け付けている場合があります。所轄の税務署で実施しているかどうかは、国税庁のホームページでチェックしましょう。

閉庁日や時間外に直接提出したい場合は、封筒に入れた確定申告書類を時間外収受箱に投函するという提出方法もあります。

メリット

直接持参して提出するメリットは以下の通りです。

  • 税務署の職員に、直接質問・確認ができる
  • 不備がある場合、その場で指摘を受けて訂正できることもある

直接持参する最大のメリットは、その場で税務署職員のチェックを受けられることです。その場で内容が精査されるわけではありませんが、記入漏れや書類の不足などの不備はここで指摘してもらうことができます。

小さな訂正なら、その場で直して提出することもできるため、確定申告初心者におすすめの提出方法です。

デメリット

直接持参して提出するデメリットは以下の通りです。

  • 税務署までの移動時間・待ち時間がかかる
  • 開庁日・開庁時間が限られている

直接提出する主なデメリットは、提出に時間がかかる点です。先にも触れましたが、確定申告の時期は税務署がとても混雑していて、提出までに長時間並ばなければならないこともあります。

また、窓口でチェックを受けてから提出したい場合、平日の昼間に持参しなければいけないため、平日昼間に仕事がある方が直接提出するのは難しいでしょう。

オンライン提出(e-tax)

最後の提出方法は、e-taxを利用したオンライン提出です。

e-taxとは、国税庁が運営しているオンライン申告・納税システムのことです。確定申告だけではなく、他の国税に関する手続きや、納税まで行うことができます。

e-taxを利用するためには、まずスマホやPCを準備し、e-taxが利用できるソフトウェアなど国税庁が推奨している環境を整えましょう。

その後、電子証明書の取得・カードリーダーライタ購入・開始届出書の提出という準備を経て、e-taxの利用が可能になります。

そして、国税庁の「確定申告書作成コーナー」で確定申告書類を作成し、そのデータをオンラインで送信すれば提出完了です。

メリット

e-taxを使って提出するメリットは以下の通りです。

  • 24時間いつでも提出できる
  • 交通費・切手代がかからない
  • ペーパーレスでエコ

e-taxを利用するメリットは、e-taxなら24時間いつでも確定申告が提出できるため、税務署の開庁時間や郵便局の営業時間を気にする必要がありません。

また、e-taxを利用すれば、持参や郵送にかかる交通費・切手代が必要ありません。利用開始時にはカードリーダライタの購入費用2,000円ほどがかかりますが、以後は毎年完全に無料で確定申告の手続きができます。

さらに、紙の書類が必要なく、エコな提出方法であることです。

デメリット

e-taxを使って提出するデメリットは以下の通りです。

  • 準備に手間がかかる

e-taxを利用開始するには、先に解説したように準備に手間がかかります。準備が必要なのは利用開始時のみで、開始後の手間はかなり省けるのですが、準備の手間がネックで紙の書類を使っている人もまだまだ多いです。

確定申告の提出方法で気をつけるポイント!よくあるQ&A

最後に、確定申告の提出方法に関して、気をつけるポイントなどを中心によくあるQ&Aをご紹介します。

Q.書類を入れる封筒のサイズは?

確定申告の提出に使う封筒は、特にサイズが決められていません

必要書類が全て入れば、どんな封筒を使ってもOKです。ちなみに、A4サイズの確定申告書類がぴったり入る大きさなのは「角形2号」です。

Q.提出書類は折り曲げてもOK?

確定申告の書類は折り曲げても問題ありません。

そのため、先にお伝えした「角形2号」が手元になければ、それより小さい封筒を使っても構いません。

Q.添付書類の「添付」方法は?

確定申告書やその他の必要書類には、領収書や源泉徴収票などの添付が必要な場合があります。「台紙に貼り付け」と指定されている場合には、台紙に糊付けをして提出しましょう。

複数枚貼るときは、職員が確認する際にめくって見やすいように段をつけて貼り付けるのがおすすめです。

書類全体がバラバラにならないようにまとめるには、クリップを使うのがおすすめです。しっかり留めたいからとホッチキスを使う方もいますが、確定申告書類は重要書類なので穴が開かないまとめ方の方がいいでしょう。

郵送の場合は返信用封筒を同封する

確定申告を郵送で提出する場合には、返信用封筒を必ず同封しましょう。
この返信用封筒は、税務署が確定申告を受理した後に控えの送付に使います。

宛先に自分の名前・住所・郵便番号を書き、送付に必要な切手(例:82円切手)を貼り付けたものを必要書類と一緒に提出しましょう。

Q.提出を代理人に頼める?

確定申告の書類作成ができるのは原則本人か税理士のみです。しかし、提出のみなら税理士以外の代理人が行うことも可能です。

代理人が家族なら問題なく受理される可能性が高いですが、友人・知人・従業員などあまり遠い関係性の代理人は受理されない恐れもあります。

確定申告書類はプライバシーに関わる重要書類なので、できるだけ提出まで本人が行い、代理人を立てるとしてもなるべく近しい間柄の人を選びましょう。

Q.日曜日や時間外に提出することはできる?

確定申告書は日曜日や税務署の営業時間時間外に提出することも可能です。

税務署の時間外収受箱・郵送・e-taxによる提出方法で時間外提出ができます。

ただし、税務署の閉庁日・閉庁時間の場合は、直接税務署まで持参してもその場で職員のチェックを受けることはできません。

Q.宅配便やレターパックで送ることはできる?

確定申告書は、宅配便・ゆうパックでの郵送はできません(レターパックはOK)。なぜなら、確定申告書は「信書」という扱いになるためです。

「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」以外の方法では信書は送れないので、注意してください。

Q.提出後に内容を変更することはできる?

確定申告書の提出後に間違いに気づいた場合は変更が可能です。

確定申告の期限内に再提出できる場合は、改めて正しい申告書を作成し、訂正申告を行います。訂正申告をする場合、表題の余白に赤字で「訂正申告」と記入しておくと親切です。

確定申告の提出期限が過ぎてから間違いが発覚した場合は、納税が多い場合は「更生請求」、納税が少ない場合は「修正申告」という手続きが必要となります。

記入する内容は確定申告書とほとんど同じですが、更正請求では確定申告書ではなく、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」という書類を用いることになるため注意しましょう。

Q.控えを受け取り忘れた場合は?

保有個人情報開示請求書(1件300円)を提出し、控えを取り寄せる必要があります。

保有個人情報開示請求書以外に必要な物は「本人確認書類(例:運転免許証)」「印鑑」です。

提出の手順は以下の通りです。

  1. 必要としている年度の確定申告書を提出した税務署(※現在の所轄税務署とは限らないので注意)の窓口もしくは郵送で「保有個人情報開示請求書」を提出する。
  2. 数日後、まずは開示の可否の通知のみが届く。
  3. さらに数日後、確定申告書の控えが税務署の窓口で受け取れる、もしくは郵送で送られてくる。

なお、閲覧のみであれば当日その場で見せてもらえます。

まとめ

確定申告の提出方法は、郵送、持参、e-taxの3つです。

それぞれメリット・デメリットがありますが、

  • 書類の作成に自信がない初心者は「持参」
  • 確定申告に慣れている方は「郵送」または「e-tax」

がおすすめです。

どの提出方法でも、必要な書類や提出期限はほぼ同じです。無申告や期限後提出になるとペナルティが課せられるため、確定申告は早めの提出を心掛けましょう。

もし、確定申告のことで何かわからないことがあれば、私たちハートランド税理士法人の無料相談までお気軽にお問い合わせください

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