徹底解説!資本金の「見せ金」が絶対ダメな理由&銀行に見せ金と誤解されてしまうケースとは?

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この記事をご覧になっているということは、

  • 会社設立を考えているが、自己資金が理想の資本金額に比例しておらず、どうすれば良いのか困っている。
  • 資本金を多く見積もる見せ金は合法なやり方なのかと不安に思っている。

といった方が多いと思います。

結論からいうと、

見せ金はリスクが非常に大きいため、絶対にするべきはでありません。

今回この記事では、

  • そもそも見せ金とは何か?
  • 資本金の見せ金が会社にどのような影響を与えるのか?そのリスクは?
  • 見せ金ではなくても見せ金と誤解されてしまうケースとは?
  • 見せ金を利用せず、資本金を増やす方法とは?

といった内容について解説していきます。

「見せ金」とは何か?

見せ金とは、

「一時的に第三者にお金を借りて、自分がお金を持っていると見せるときに用いるお金」

のことです。
つまり、会社設立の際などに、発起人(=会社の設立者)が実際に持っている資本金額よりも、会社の資本金を多く見せる手段のひとつです。

なぜ見せ金が必要になるのか

いざ会社を設立するとなれば、まず1番に必要になってくるのは資金です。

会社設立の際には自己資金をきちんと貯めておかなければなりません。

しかし、中には急遽会社を設立しなくてはならなくなった方や、自分で資金を集めていては時間が足りない方もいるでしょう。

現在、法律の改正により1円からでも会社設立が可能になりましたが、資本金は会社の信用と体力を示すものであるため、資本金の確保は必要不可欠です。

つまり、資本金が無い人にとって見せ金はとても簡単に資金を作れてしまうため、自然と手を出してしまう存在であるのです。

ですが、そもそも資金の確保に見せ金という方法を用いるのは禁止さているため、絶対にするべきではありません。

詳しくは後ほど説明していきます。

「見せ金」に似た「預け合い」とは?

見せ金とよく似たものに「預け合い」というものがあります。

この2つの違いは、見せ金は発起人が行なっているのに対して、預け合いは発起人と金融機関の両者の合意のもと行なっている点です。

まず会社設立の際には、出資金を口座に振り込む義務があります。
(払込については「会社設立の時の「資本金払込み」方法や注意点・通帳の使い方」をご覧ください。)

その際、発起人が振込口座と同じ金融機関から合意のもとお金を借り、借入金の返済が終わるまでは出資金の引き出しを行なわない約束をする違法行為です。

これから説明していきますが、これらの資金調達方法は場合によっては罰を受けてしまうので行うべきではありません。

見せ金がもたらすリスク(危険性)

見せ金の利用は良くないと理解していただけたと思いますが、中には見せ金をしても見つからないだろうと考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで、ここからは見せ金の利用がもたらす危険性について説明していきたいと思います。

見せ金が見つかる要因

まず、見せ金を利用していることが見つかる主な要因としては以下が挙げられます。

  • 口座上での不自然なお金の出入り
  • 個人名義での振込

会社設立の際には、普段の生活とは異なり莫大な金を扱うことになります。
その際に見せ金を利用すると、自身の口座に大きなお金が急に入ることになります。

これは当然不自然なお金の出入りであるため、調査が入りお金の出入りを証明するものの提出が必要になってきます。

例えばあなたが株・不動産といった資産を所持していて、会社設立の際にそれらを現金化し資本金にする際には証明するものが発行するため、疑われた際でもきちんと証明ができるので問題はありません。

しかし、家で貯金をしていたお金などを急に振り込んでしまうと、疑われた際にどこから発生した資金なのかを証明することができないため、注意が必要となります。

またもう1つの要因としては、振込の名義が法人ではなく、個人であると見せ金と疑われる可能性があるので注意が必要となります。
名義名が個人である場合にはその方との業務関係が示される明確なものがなければ個人から借金をしていると疑われるからです。
口座開設については「起業したらまず検討!銀行での口座開設のイロハ」または「起業でおすすめ!銀行で法人口座を作るならここだ!」をご覧ください。

法律的に罰を受ける

見せ金の利用は、場合によっては法律的に罰を受けることがあります。
具体的には、「公正証書原本不実記載罪」に問われる恐れがあります

見せ金は公的な重要な書類に嘘を書くことになるので、罰を受けるのは当たり前のことです。
科せられる罪の内容としては以下をご覧ください。

【刑法第157条】

  1. 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  2. 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
  3. 前2項の罪の未遂は、罰する。

wikibooksより引用)

また、見せ金は経費で落とすことも絶対にしてはいけません。

見せ金の利用を行うと、不自然なお金の出入りが発生します。
その際に、出ていくお金の理由として、会計上「役員貸付金」とすることが多くあります。
しかし、役員貸付金にしたとしても、見せ金と同様の金額になるため見せ金と疑われる可能性が出てきます。

そうなれば、役員貸付金とならないように、見せ金額分のレシート・領収書を集めて経費として落とそうと考える人が多くいます。

しかし、それをしてしまうと、脱税行為となってしまいます。

ご存知のとおり、脱税行為にはかなり重い罰が科せられるので経費で落とす行為はしないようしてください。

金融機関からの信用を失う

見せ金で資本金を多く見積もった場合、起こりうるのは法的な罰を受けることだけではありません。

資本金の見せ金は、金融機関からの信用を失うことにもなります。

資本金を見せ金によって大きくすれば、一見会社としての資本金は多くあるように見えます。しかし、見せ金によって大きくなった資本金では融資を受けることはできません。

なぜなら、融資の審査の段階で落とされてしまうからです。

金融機関側は融資を行うとなれば会社を信用してお金を貸すことになるので、表面的な書類に記されているものだけでは判断しません。
以下が主な判断材料になります。

  • 財務内容が会社として健全であるのか
  • どういった目的の事業に使用するのか、また希望申し込み額は適切であるのか
  • どのように返済していくのかという明確な方法はあるか
  • 担保、保証人はあるのか

これ以外にも融資を受けるとなれば、多くのポイントで審査を通過しなければなりません。

見せ金を利用しているとなれば、もともと融資を受ける前から会社として借金を背負っている状況になります。
そのような会社に金融機関がお金を貸してくれるはずがありません。

金融機関からの融資については

をご覧ください。

見せ金に対する対策

実際に見せ金をしていなくても、場合によっては見せ金を利用しているのではないかと疑われる場合もあります。

本当に見せ金をしていない方からすると、このようなことは回避したいポイントであります。

先ほど見せ金だと疑われる主な要因として、口座上での不自然なお金の出入りが原因であると説明しました。

ですので、この点を上手く管理すれば見せ金をしていると疑われる可能性が低くなるのです。

コツコツと貯める/振り込むことがポイント

見せ金を利用せず、会社を設立するための資金をコツコツと貯めている方は、貯め方に気をつけなければなりません。

見せ金を利用したと疑われるのは、急に口座に大きなお金が入金されていることなどが原因です。

資金をコツコツと貯められている方の中には、家でタンス預金(=家庭内に保管されている現金)をしている方がよくいます。

そして会社設立の際に、タンス預金で集めた資金を口座へ振込にいくのです。

これをしてしまうと、自分で貯めたお金ではありますが、大きなお金が急に口座に振り込まれることになり、見せ金と同じような形になってしまいます
先述したように、資金の発生源を証明できるものが必要なのです。

そのため、会社の資本金を自らの貯金でコツコツと貯める際には一気に口座に振り込むのではなく、口座に振り込む作業もコツコツ行い、見せ金と疑われないように注意することが必要です。

自分にあった資金の調達方法を見つける

資本金が不足していたとしても資金を調達する方法は多くあります。
ですので、簡単な見せ金という方法に頼るのはやめましょう。

資本金の調達には、株主から出資してもらう方法があります。
しかしこの場合、出資額の割合によって経営権を握られる可能性もあるので注意が必要です。

また、そのほかにも国からの支援制度を利用したり、現在ではクラウドファンディングを利用して資金を調達することも可能な時代になっています。
簡単な方法として見せ金を利用しても、その後苦しむのは目に見えているので、きちんと自分にあった資金調達の方法を見つけるようにしましょう。

資金調達方法については「起業資金の調達方法は?手続きや調達できる金額を種類別に解説!」をご覧ください。

まとめ

ここまで説明してきたように、見せ金の利用は様々な面で危険性が高く、最悪の場合には会社を失うだけでなく、信用を失うことにも繋がります

そのため、会社設立という目標から逆算をして、資金をコツコツと自宅ではなく銀行に貯めていくことが必要です。

また、資金の調達方法には様々な方法があるため、そのときの状況によって専門家に相談し、調達方法を決めていくことがおすすめです。

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