2018年度からみる最新の銀行融資の審査基準とは

民間金融機関から創業融資を受けることは、信用保証協会の保証付き融資を除いてほぼ不可能になってしまいました。

2018年度における民間金融機関の審査基準は、もはや返済可能かどうかのレベルではなく、融資先となる事業者自体が今後市場で生き残れる事業内容かどうかまでを考慮されるようになったのです。

1.銀行融資の審査基準がなぜ重要か

民間金融機関からの融資基準は非常に厳しいものであり、本来であれば創業融資の対象となる実績のない事業者は、まず相手にされないと言っても過言ではありません。

そのような中においてでも民間金融機関の融資審査基準を理解して融資を獲得するために、セミナーへの参加や専門家に相談して事業計画書を練ることはとても大切なことなのです。

なぜなら、民間金融機関の融資審査に合格するということは、金融機関が認めた事業内容となります。
すなわち、事業の継続性が見込まれた事業の裏付けがされているということでもあります。
事業内容を自分でも見つめ直す観点からも、審査ポイントを理解する必要があります。

2.銀行融資にはどのような種類があるのか

銀行融資には、

  1. 民間金融機関が独自にリスクを負った上での融資
  2. 金利を高めに設定し審査基準を緩くした融資
  3. 信用保証協会の保証に基づく融資
  4. 不動産の担保設定による高額な融資

などがあります。

2-1. プロパー融資

プロパー融資とは、民間金融機関が直接事業者に行う融資です。

信用保証協会などの保証が無いまま、民間金融機関が独自に行う融資であるため直接リスクを負うことになります。
民間金融機関との付き合いが深く、信頼関係が築けている間柄の企業に対して行われています。

プロパー融資では信用保証協会を利用しないので、保証料がかからず、さらに融資額における限度もないことが大きな特長です。
民間金融機関の審査さえ通過すれば必要な額の融資が期待できます。

2-2. ビジネスローン

ビジネスローンとは、中小零細企業や個人事業主を対象としたスピード審査が特長の新しいタイプの融資です。
審査の対象が決算書のみであり、コンピュータによる自動審査システムを使うことで最短即日から3営業日ほどで融資するかどうかが決定されます。

融資された資金は、事業性資金であれば使途に制限はありません。
また担保や第三者の保証人が不要であることも、大きな特長です。

ビジネスローンの金利は、他の融資形態よりも高めに設定されています。
通常のプロパー融資では審査を通せなかった中小零細企業や個人事業主に対して融資できるようにする反面、金利を上げることで貸し倒れのリスクに備えています。

しかし最近は、ビジネスローンそのものが民間金融機関の方で自主規制されるようになりました。
なぜなら審査が早い分、精度が低く貸し倒れの増加が問題となったからです。
その結果、プロパー融資や信用保証協会の保証付き融資が重視されるようになってしまい、近年では撤退する民間金融機関も少なくありません。

2-3. 信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資とは、信用協会法に基づく公益法人の信用保証協会による保証を得る形で民間金融機関から融資受けるというものです。
民間金融機関としては、融資先が返済不能に陥った場合に信用保証協会が「代位弁済」といって借金を肩代わりしてくれるため、安心して融資できる仕組みになっています。すなわち信用保証協会が保証人になる形です。

融資には上限があり、担保がある場合には、最大2億8000万円、担保がない場合には最大8000万円で、それ以上の融資を受けることはできません。
融資を受けた事業者は、利息の他に信用保証協会に融資額の1%前後の保証料を毎年支払うことになります。

2-4. 不動産担保融資

不動産担保融資は所有する土地や建物などの不動産を担保にすることで受けることができる融資です。
不動産の担保の価値及び融資を受ける事業者の返済能力などを見極めて融資額が決定されますが、無担保に比べて融資額が高額になることが多いです。

金利も無担保の場合に比べて低く、返済期間も長期にすることが可能です。
銀行側でも無担保の融資に比べて、不動産は売却することで資金化が可能なため、貸し倒れリスクが低くなる点からも連帯保証人も必要としない場合が多いです。

融資を受けた事業者も、返済期間を長期にして月々の返済額を低く設定できるので、余裕を持った返済計画を立てることができます。

3.傾向と対策:2018年度からみる最新の審査基準とは

2018年度は資金の供給が需要を上回る、過剰流動性ともいわれるカネ余りの状態でした。
それにも関わらず、銀行融資の審査基準はより厳しくなり、信用保証協会の保証付き融資以外は非常に厳しくなってしまいました。

最近では市場を独占する企業などに資金が集まる一方、市場に生き残ることができなかった企業では資金が枯渇するといった「資金の一極集中」が見られており、貸出先が無いのでカネ余り状態というのが本当のところです。

手持ちの資金をさらに資産を生む所へ融資しなければ、金融機関自体が存続の危機にさらされる事態になったのです。

そのために各民間金融機関は、カネ余りに際して海外との競争力が今後大幅に削がれる危機感を持ち始めており、

  • 「融資が回収可能か否か」の視点

から

  • 「創造性に富む事業への融資による、自分自身の生き残り」という視点

に変わってきました。

ベンチャーなどを開拓するみずほ銀行の例のように、融資先の企業から債権を回収できるかどうかのレベルにとどまらず、市場に淘汰されない創造性豊かなベンチャー企業であればメガバンクからも注目されることでしょう。

すなわち今後の審査基準としては、返済能力のみならず、「市場で勝ち抜くだけの企業であるかどうか」が問われてくることでしょう。

4.今からできる銀行融資のために審査を通りやすくするコツ

創業融資の観点からは、審査を通りやすくする対象は信用保証協会の保証付き融資をおいて他はありません。
しかしここでは先程挙げたそれぞれの銀行融資においての対策について触れてみます。

4-1. プロパー融資

民間金融機関のプロパー融資は、非常に審査が厳しい融資形態です。

大企業でも十分な信頼関係と実績がなければ、審査を通過することは不可能であり、対策の練りようがないといっても過言ではありません。
審査では税引き後の当期利益の多さや自己資本の充実度が重点的に見られます。

ただこれらの審査基準として見てもらえるのは、あくまでも実績及び信頼関係のある大企業のみです。
これから起業する場合には実績がないため、まず信用保証協会の保証付き融資にて民間金融機関との関係を築いていき、部分的に少額のプロパー融資を民間金融機関に相談する手立てしかないでしょう。

4-2. ビジネスローン

2017年から審査精度の甘さによる貸し倒れ多発が問題となったため、民間金融が自主規制を行うようになり、積極的にビジネスローンを表に出すことがなくなってきました。
そのためビジネスローンは民間金融のサービスメニューからは消える形となり、ビジネスローンを利用できるかどうかの相談をする形に変わってきたのです。

4-3. 信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資による資金調達を行った場合、毎年の保証料が割高です。
民間金融に対する金利及び信用保証協会への保証料の二重の負担は、いずれ経営を圧迫します。

さらに信用保証協会保証付融資を受けた事業では失敗は許されません。
万が一返済不能に陥り倒産した場合、信用保証協会から民間金融機関へ保証が行われ、立て替えた残高分は信用保証協会の債権となるのですが、民間の債権回収業者に売却されないため、債務の圧縮に応じることは一切ありません。

例え回収が長期に渡る場合でも、全額回収に入ってきます。
さらには、延滞金も合わせて請求されるのです。
しかも信用保証協会付融資による借入金は、個人的に借りたものと異なり一生かけても完済不可能な額のため、自己破産しない限り対処できなくなります。

信用保証協会保証の保証付き融資を受けた事業では、銀行への金利及び保証協会への保証料を加味した上で徹底した事業計画の見直しが必要となります。

4-4. 不動産担保融資

不動産担保融資の場合、債務履行が滞った場合には担保が強制的に競売にかけられます。

仮に担保が事務所などの事業に必要な不動産であった場合でも、例外ではありません。
また競売が強制的に行われる場合には、値段が低く押さえられてしまうことがほとんどです。

そのため、担保を処分する場合、債務者の方で予め売却した方がより多くの返済金が確保できますが、事務所や工場などの事業に必要な不動産を担保に設定した場合、すぐに売るわけにはいきません。
融資を受ける際、どの不動産を担保に設定するかを慎重に考える必要があります。

事業者の経営が順調で返済が確実に行われていた場合でも、不動産担保融資にはリスクが伴います。
それは担保設定した不動産そのものの価値が下がるということです。
融資を申し込んだ後に不動産価格の下落が生じた場合、追加の担保が必要になることもあるのです。

不動産担保融資を受ける場合には、追加で担保を要求されたときに、追加設定できる不動産を予め見込んでおくことや、不動産価格の下落にも対応できるように融資額を考慮することが大切です。

5.まとめ

民間金融機関の融資基準は信用保証協会の保証付き融資を除いて、創業融資には非常に厳しいものとなっています。
ビジネスローンのように金利を高く設定し、スピード審査にすることで中小零細企業や個人事業主への融資の枠が増えたものの、審査の甘さによる貸し倒れ多発が問題となってしまい、民間金融機関の自主規制により再度門戸が狭まってしまいました。

その一方では、カネ余り現象に見られるように、市場で勝ち抜いた企業への資金の一極集中に対応するため、債権回収の可能性だけでなく、市場に強い企業に融資することで、銀行自体が生き残りをかける方針が生まれました。
そのため今後においては、市場での実績を裏付ける事業計画が審査基準に入るなどの厳しいものになってきています。

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