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合同会社は最低「1円以上」あれば設立することができますが、「本当に少ない資本金で設立しても大丈夫なのだろうか?」という不安があるのではないでしょうか。
実際、資本金の額は運用資金として使ったり、信用度にも繋がる側面もありますので、目安は運転資金3〜6ヶ月分を用意することをおすすめします。
今回の記事では、
- 合同会社の資本金とは
- 会社の資本金における基本的なルール
- 合同会社設立時の資本金の決め方のポイント
について詳しく解説してきます。
合同会社の資本金とは
合同会社の資本金とは、社員が会社に出資したもののことを指します。
その資本金をもとに、会社で必要な設備などを購入し、準備をします。資本金の使い方の制限は特になく、会社経営のためであれば自由に使うことができます。
なお、社員から集めたものなので借入金とは違い、返済義務はありません。
合同会社の資本金における基本的なルール
合同会社の資本金における基本的なルールについて解説していきます。
合同会社の資本金の最低額は「1円」
合同会社はの資本金は最低「1円以上」あれば設立することができます。
以前は、有限会社で最低金額300万円、株式会社で最低金額1,000万円と定められていましたが、会社法改正により生まれた合同会社の出資最低金額は1円となりました。
許認可事業は資本金額が定められている
合同会社の資本金は最低1円から設定できます。
しかし、許認可事業に関しては、下記のように資本金額の要件が定められています。
- 第一種旅行業:3,000万円
- 第二種旅行業:700万円
- 第三種旅行業:300万円
- 地域限定旅行業:100万円
- 一般建設業:500万円
- 特定建設業:2,000万円
- 一般労働者派遣事業:2,000万円×事業所数
現金出資と現物出資がある
合同会社の資本金には、現金出資と現物出資という2種類の出資方法があります。
現金出資
現金出資は、文字通り「現金」を出資する方法です。事務所の家賃や設備などの購入費に充てることができます。
現物出資
一方、現物出資は「現金以外の動産・不動産」などをそのまま会社の財産とします。
その他、現物出資として認められる主な財産は以下の通りです。
- 債権(貸付金など)
- 有価証券(株券、国債など)
- 無形財産権(漁業権、著作権、特許権など)
- 仮想通貨
資本準備金は必要ない
資本準備金とは、資本金額の1/2を超えない額を準備金として積み立てておけるものです。合同会社は、株式会社とは違って会社法第445条2項が適用されないため、資本準備金は必要ありません。
合同会社設立時の資本金の決め方のポイント
ここからは、合同会社設立時の資本金の決め方のポイントを紹介していきます。
資本金の平均額
2021年7月の法務省の登記統計をもとに調査した結果、合同会社の設立登記総件数は2,969件で、総金額は544,397万円でした。よって、合同会社の資本金の平均額は、「約183万円」ということになります。
また、資本金階級ごとの設立登記件数と割合は以下のとおりです(2021年7月分)。
資本金階級 | 合同会社件数 | 合同会社割合(%) |
100万円未満 | 1,473 | 49.61 |
100~300万円未満 | 975 | 32.84 |
300~500万円未満 | 233 | 7.85 |
500~1,000万円未満 | 268 | 9.03 |
1,000~2,000万円未満 | 9 | 0.30 |
2,000~5,000万円未満 | 2 | 0.07 |
5,000~1億円未満 | 5 | 0.17 |
1億円以上 | 4 | 0.13 |
合計 | 2,969 | 100.00 |
平均は約183万円ですが、合同会社の約半分(49.61%)が資本金100万円未満で設立登記しています。また、81%の合同会社が資本金300万円以下で設立していることもわかります。
目安は運転資金3〜6ヶ月分
業種にもよりますが、会社設立直後の不安定な時期でも会社の資金が枯渇してしまわないよう、資本金の目安は運転資金の3ヶ月〜6ヶ月分と考えましょう。
資本金が多いメリット
資本金が多いと、以下のようなメリットがあります。
- 資金調達がしやすくなる
…融資を受けるためには、金融機関からの信用が必要不可欠です。
例えば、日本金融政策公庫の融資の中には、資本金の額を条件として掲げているものもあります。 - 取引の信用度が上がる
…取引の際、資本金の額の制限を設けている企業もあります。
また、資本金の額を信用できるかどうかの材料にする場合も多くあります。 - 資金が枯渇しにくい
…資本金が多いということは、運転資金があり、経営体力があるということになります。
資本金が少ないメリット
一方、資本金が少ないと以下のようなメリットがあります。
- 資本金を約857万円未満に抑えた場合、登録免許税の額が最低額の6万円で済む
…合同会社の登録免許税の金額は、「6万円または資本金の額×0.7%」のいずれか高い方の金額を支払うことになります。そのため、資本金を約857万円未満に抑えることで最低額の支払いで済みます。 - 資本金1,000万円以下の場合、法人住民税の均等割を抑えられる
…法人住民税は会社が赤字であった場合でもかかるため、法人住民税の金額を抑えられるのは資本金が少ないメリットと言えます。例えば、資本金300万円の場合の法人住民税が合計7万円で済むのに対し、1,000万円超1億円以下の資本金の場合、最低限で18万円の納税が必要になります。 - 資本金1,000万円未満の場合、消費税の免税事業者になれる
…資本金1,000万円未満で会社を設立すると、最大2年間、消費税の免税事業者となれます。1,000万円以上になると対象にはなりません。 - 資本金1億円以下の場合、各種中小企業の税制優遇を受けられる
…軽減税率が適用されたり、年800万円まで交際費として損金に算入することができたり、繰越欠損金を全額控除できたりするなど、税制優遇を受けられます。
【参考】国税庁「法人税の税率」
【関連】資本金とは?会社設立に必要な金額や目安、決定する際のポイントなどを解説
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。