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2021年4月現在、政府の働き方改革の影響もあり、副業を始める人が増えています。
中には副業収入が大きくなり、会社員でありながら会社を設立し法人化を考えている人もいるかもしれません。
結論から言うと、副業で会社設立を検討する主な目安は以下の3つです。
・課税売上高1,000万円超え
・利益500万円超え
・不動産投資と本業の合計が700万円超え
この記事では、
- 副業で会社設立するメリット・デメリット
- 副業でも会社設立(法人化)した方がいい目安
- 会社設立しない方がいいパターン
- 会社設立する際の注意点
これら4点について解説します。
副業で会社設立するメリット・デメリット
副業で会社設立することには、メリットだけでなくデメリットもあります。
あとで想定していなかった事態に直面することがないよう、事前にそれぞれを理解した上で会社設立を検討するべきです。
ここからは、副業で会社を設立するメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
副業で会社を設立する主なメリットは以下の通りです。
- 経費・所得控除が使える
…会社を設立すると、個人事業主に比べ交通費や保険料など多くのものを経費として計上可能できるようになります。さらに、経営者が受け取る役員報酬には「給与所得控除」が適用されます。 - 節税対策の幅が広がる
…個人事業主に比べ法人の方が節税対策の幅が広くなります。さらに、消費税納税も2年間免除できます。 - 信用力が高まる
…個人事業主よりも法人の方が社会的信用力が高く、銀行などの金融機関からの資金調達がしやすくなります。
デメリット
副業で会社を設立する主なデメリットは以下の通りです。
- 負担が大きい
…本業とは別に時間を作って事業を運営しなければいけません。本業が残業の多い仕事の場合、さらに時間が限られます。 - 赤字で税金を支払なければいけないケースがある
…会社を設立すると、法人税や消費税の支払いが発生します。中には赤字でも支払う必要のある税金もあります。 - 副業禁止の会社ではトラブルになる恐れがある
…原則、法律上で副業は禁止されていません。しかし、企業秘密漏洩など一部のケースは最悪の場合、損害賠償問題にまで発展する恐れがあります。
【関連】【税理士が解説】副業が会社にバレる原因とバレたときのリスクとは?対策はある?
副業でも会社設立(法人化)した方がいい目安
会社設立には上記のようなデメリットもあるため、個人事業主と法人のどちらがいいか迷う人もいるのではないでしょうか?
副業で会社設立する場合は、以下の3つを目安にしましょう。
- 課税売上高
- 利益
- 不動産投資と本業の合計
ひとつずつ詳しく解説します。
1. 課税売上高1,000万円超え
副業の課税売上高が1,000万円を超えたら、法人化するのがおすすめです。
1,000万円以上からは消費税がかかってしまうからです。
法人化していると、最初の2年間は準備期間とみなされるため、消費税の支払いを免除してもらえます。これは個人事業主のままだと免除されないため、法人化した場合の大きなメリットといえます。
途中で個人事業主から法人に切り替えた場合でも、個人事業主だった時期は準備期間に含まれません。
2. 利益500万円超え
副業の利益が500万円を超えたら法人化を検討しましょう。
法人化した方が、税金の支払額を抑えれるかもしれません。
例えば、利益が大きくなるとそれに伴い所得税の額も増えていきますが、法人だと事業で得た利益を役員報酬として払い出すことで「給与所得控除」が活用できます。
3. 不動産投資と本業の合計が700万円超え
一般的に、不動産投資と本業を含めた年収が700万円以上になった場合は法人化した方が税制上有利になると言われています。
不動産所得に関して「資産管理会社」を設立し納税すれば、所得への節税が出来て負担を減らせるからです。
会社設立しない方がいいパターン
法人化は、タイミングを間違うと大きく損をすることとなります。
会社設立しない方がいい主なパターンは以下の2つです。
- 資金に余裕がない場合
- 税金の支払いが負担になる
順番に見ていきましょう。
資金に余裕がない場合
資金に余裕がない場合は、会社設立はやめておきましょう。
法人化すると、設立費用として約25万円(合同会社の場合は約10万円)が必要です。
さらに会社設立には、以下のような手続きが必要です。
- 会社設立の準備(事業目的・資本金)
- 登記に必要な書類の作成
- 登記手続き
- 開業届や社会保険関連の手続き
一方、個人事業主の場合は、開業届を提出すれば手続きが終わります。
確定申告を青色申告で行わない場合は届出すら不要なため、資金に余裕が出るまでは個人事業主で事業を運営する方がいいでしょう。
税金の支払いが負担になる場合
法人の場合は、以下の税金がかかります。
- 法人税
- 法人事業税
- 法人住民税
- 固定資産税
- 消費税
仮に経営が赤字であっても、法人住民税の均等割を最低でも約7万円支払う必要があります。
利益が大きくなるまでは、個人事業主の方が負担が少ないと言えるでしょう。
【関連】個人事業主として開業するメリット・デメリット、開業の手順について
会社設立する際の注意点
会社を設立する際はよく計画をたてて行わないと、思わぬ失敗をしてしまいます。
会社設立時は、以下のことに注意が必要です。
- 会社設立には最低2週間かかる
- 廃業には会社設立と同じくらいの費用が必要
- 会社設立で事務作業の負担が増える
順番に見ていきましょう。
会社設立には最低2週間かかる
会社設立にはさまざまな手続きが必要で、すべて自力で行うとおよそ2〜3週間ほどかかります。
手続きには、以下のようなものがあります。
- 必要な書類の準備
- 定款(会社の活動について記した書面)の認証
- 登記申請
会社設立時は、事業に支障が出ないよう余裕を持って準備を始めましょう。
廃業にも費用が必要
法人化した場合、事業をやめるには「廃業手続き」が必要です。
仮に株式会社の解散手続きをする場合だと、登記の登録免除で3万9,000円かかります。
【参考】法務局「株式会社解散及び清算人選任登記申請書(清算人が1人の場合)」
会社設立で事務作業の負担が増える
会社を設立すると、税務署などに提出する書類が増えるため、必然的に事務作業の負担も大きくなります。
例えば、個人事業主は給与の源泉徴収は不要ですが、法人化すると源泉徴収の納付書や源泉徴収票の作成業務が発生します。
事務担当の従業員や税理士を雇って負担を減らすことも可能ですが、その分多くの費用がかかってしまいます。
【関連】会社設立に必要な費用とは?具体的な数字も合わせてすべて解説
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。