<この記事は約 10 分で読めます>
経費の項目のひとつに「交際費」があります。
国税庁は交際費を、
「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」
と定めています。
しかし、交際費として認められる支出の見極めに苦戦している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、
- 交際費とは
- 交際費の範囲
- 交際費と混同されやすい主な経費
- 交際費の損金算入限度額
- 支出を交際費として計上する際の注意点
について詳しく解説していきます。
交際費とは
国税庁は、交際費について以下のように定義しています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
この法律を踏まえた上で、交際費として認められるポイントは以下の2つです。
- 支出の目的
…交際費を支払うことで、販路拡大等が期待できること - 支出の相手
…事業に関係ある者であること
また、交際費の中でも、特定の支出は「接待飲食費」となります。
接待飲食費とは、「交際費等のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く)」と定義されています。
交際費の範囲
交際費の見極めは、事業に関係がある支出かどうかでおこないます。
ここからは、交際費として認められるものと認められないものの具体例を紹介していきます。
交際費として認められる主な支出
交際費として認められる主な支出は、
- 得意先や取引先との接待における1人当たり5,000円を超える飲食費
- 事業に関連する人との会食や旅行
- 取引先へのお中元やお歳暮などの贈り物
- 結婚祝い金や葬儀などに出席した際のお香典
などです。
交際費として認められない主な支出
一方で、交際費として認められない支出は、
- 家族との旅行や観劇
- 会社で開催されるレクリエーションや運動会
- プライベートな付き合いで支出した飲食費
などです。
交際費として支払ったつもりでも、領収書の使用用途がはっきりとしていないものや売上に対して見合わない額の支出は交際費として認められません。
交際費と混同されやすい主な経費
交際費と混同されやすい主な経費は「会議費」「福利厚生費」「研修費」「広告宣伝費」です。
交際費では経費計上できない支出も、上記の勘定科目であれば経費計上できる可能性があります。
ここでは、それぞれの概要と交際費との主な違い、具体例を紹介していきます。
会議費
会議費とは、社内での会議や取引先との打ち合わせで支出した費用のことを指します。
交際費との大きな違いは、以下の2つです。
- 「会議」や「打ち合わせ」を行うために支出した費用であること
- 会議の場で支出した飲食費は「1人当たり5,000円以下」であること
例えば、以下のような費用が会議費に該当します。
- 会議や打ち合わせで使用する会場の使用料
- 会議で使用する機材・備品の費用
- 会議の場で出したお菓子やお弁当などの飲食費(1人当たり5,000円以下)
会議費についての詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
【関連】会議費について税理士が徹底解説!交際費との違いや上限とは?
福利厚生費
福利厚生費とは、給料や賞与以外で従業員のために支出した費用のことを指します。
交際費との主な違いは以下の通りです。
- 従業員のために支出した費用であること
例えば、以下のような費用が福利厚生費に該当します。
- 従業員が通勤するために必要な交通費
- 社内の歓送迎会や忘年会の飲食費
- 慰安旅行の旅費や宿泊費
- 会社で開催されるレクリエーションや運動会の会場費
研修費
研修費とは、業務を行う上で必要なスキルを従業員に取得してもらうために支出した費用のことを指します。
交際費との主な違いは以下の通りです。
- 従業員のために支出した費用であること
例えば、以下のような費用が研修費に該当します。
- 新入社員の研修費
- 経理担当者の簿記検定取得の費用
- 外部講師を招いて行った研修費用(事業に関係するもの)
広告宣伝費
広告宣伝費とは、不特定多数の消費者に対して会社の商品やサービスなどを宣伝する際に支出した費用のことを指します。
交際費との主な違いは以下の通りです。
- 不特定多数の人に対する宣伝的効果を意図して支出した費用であること
例えば、以下のような費用が広告宣伝費に該当します。
- 社名入りのカレンダー・手帳・うちわ・タオルなどを作成する際の費用
- 工場見学をしている一般の方に製品の試飲、試食をさせるための費用
交際費の損金算入限度額
交際費を損金に算入できる上限金額は、会社の規模により変わります。
大企業(資本金1億円超え)の場合
交際費等の額のうち、接待飲食費の50%を経費として損金に算入することができます。
ただし、事業開始年度によって計算が変わることがあるため、詳細は国税庁の下記ページをご確認ください。
中小企業(資本金1億円以下)の場合
以下の2パターンのうち、いずれか1つを選択して損金に算入することができます。
- パターンA:年間800万円まで
- パターンB:交際費等の額のうち、接待飲食費の50%まで
例えば、年間の接待飲食費が1,600万円以下の場合は、「年間800万円まで」を選択する方が算入できる額が大きくなります。
逆に、年間の接待飲食費が1,600万円以上になる場合は、「交際費等の額のうち、接待飲食費の50%まで」を選択すると、より多くの費用を損金として算入することができます。
こちらも大企業の場合と同じく、事業開始年度によって計算が変わることがあります。
個人事業主の場合
原則、交際費に限度額はありません。全額を損金に算入することができます。
ただし、国税庁が定義している接待交際費に当てはまっていることが条件です。
支出を交際費として計上する際の注意点
支出を交際費として経費計上するためには、「領収書を不備なく記載すること」と「1人あたり5000円以内であること」が条件となっています。
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
領収書の記載事項
領収書に以下の事項が記載されていない場合は交際費として認められないので注意しましょう。
- 飲食のあった年月日
- 飲食の参加者の氏名または名称及びその関係
- 参加者の人数
- 飲食に要した金額
- 飲食店の名称及びその所在地
- その他飲食に要した支出であることを明らかにするための事項
領収書の詳しい書き方については、下記の記事をご覧ください。
【関連】【税理士が解説】経費にできる正しい領収書のもらい方とは?
税抜・税込
交際費の「5,000円基準」を考える際は、会社が採用している消費税の経理処理が「税込経理」と「税抜経理」のどちらなのかを必ず確認しておきましょう。
税込経理だった場合、税抜きの金額が1人あたり「5,000円」であったとしても、税込にすると1人あたり「5,500円」になってしまいます。この場合、5,000円を超えてしまうため、交際費の対象外となる恐れがあります。
大阪でクラウド会計導入サポートや経理代行なら導入実績500社超えのハートランド税理士法人へお任せください
交際費について解説してきましたが、実際に経費計上するとなると、判断が難しいケースも多いはずです。
そんなときは、私たちへハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。
弊社は、経理代行の導入実績は累計500社超え、会計ソフト「freee」では上位数%しかいない5つ星アドバイザーに認定されている税務会計のプロフェッショナルです。
さらに、経理代行やクラウド会計導入支援だけでなく、資金調達や販路拡大、効果的な節税アドバイス、税務調査サポートまでワンストップで徹底サポートさせていただきます。
メール・電話・LINEにて無料相談を承っていますので、経理に関して何かお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
【関連】
・大阪で経理代行・記帳代行なら【実績500社以上】で【即日導入可能】のハートランド税理士法人へお任せください
・大阪でクラウド会計の導入支援なら主要ソフト全て対応 & freee認定五つ星アドバイザーのハートランド税理士法人へ
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。