<この記事は約 11 分で読めます>
「新規事業融資」というキーワードをネットで検索すると、『専門家の創業融資サポート』が上位にヒットします。
それらのサイトを見てみると、大抵の場合「民間金融機関では新規事業融資を受けることが難しいので、専門家のサポートを受けましょう」というキャッチコピーが目立ちます。
本当に、民間金融機関では新規事業の融資を受けるのはむずかしいのでしょうか?
そんなことはありません。特に、まず「信用保証協会の創業支援窓口」へ相談するとスムーズに受けられる確率が上がります。
今回は、
- 民間金融機関が新規事業融資を欲しがっている理由
- 専門家のサポートがあった方がいい理由
- 民間金融機関から新規事業融資をスムーズに受け取る方法
について解説していきます。民間金融機関が新規事業融資についてどのように考えているか?それを知ることで、今後の参考にして下さい。
民間金融機関が新規事業融資を欲しがっている3つの理由
新規事業融資は、民間金融機関にとってもいくつかの大きなメリットがあります。
そのため、民間金融機関は新規事業融資を欲しがっています。もっといえばやりたくてしょうがないのです。
その理由は以下の3つです。
理由1:国の開業率を上昇させることは国策に沿っており、新規開業を後押ししたいから
国の施策によって開業率を一定以上にすることが求められており、新規事業展開を促進しています。
民間金融機関が新規事業融資に積極的に取り組むことは、国の施策に沿うことになるのです。
「実際にどれだけ融資したか?」はもちろん重要ですが、新規事業融資に積極的な姿勢を対外的にアピールすることこそ大事なのです。
本音と建て前、理想と現実といった部分はありますが、新規事業融資の相談にいけば、ちゃんと話しを聞いてもらえます。
理由2:未来の優良企業のメインバンクになれるから
会社は、新規事業融資を受けた民間金融機関をメインバンクとして取引していくのが普通です。
最初に融資しててもらったから、という恩義ももちろんあるでしょうが、なによりも、その民間金融機関が、その企業の将来性を認めたからこそ融資したのです。その会社が優良企業になれば、民間金融機関はいろいろな面でのメリットも大きいのです。
理由3:新規事業融資を獲得するのが銀行員の醍醐味、個人実績にもプラス
新規事業融資を獲得することは、銀行員の醍醐味です。
新しく生まれた企業や新しいビジネスの誕生から成長まで関われたなら、銀行員として大きなやりがいを感じることができます。また、営業ノルマの中でも新規事業融資はポイントが高く、融資実行件数が多いとできる銀行員として評価されます。
【補足】なぜ、民間金融機関では新規事業の融資を受けるのはむずかしいといわれるのか?
融資を欲しがっているとは確かに書きましたが、もちろん貸すこともあれば、貸さないこともあります。たしかに新規事業融資は審査も難しく、時間もかかります。
しかし、事業計画や経営者の人物などに問題がなければ、新規事業融資はおこなっています。民間金融機関は利用者の預金を基に貸し出しを行っているので、日本政策金融公庫など公的機関に比べると審査も厳しくなるのは致し方ないことです。
専門家のサポートがあった方がいい理由とは?
ネットでは「創業融資のサポート」などが盛んに広告展開されています。新規事業融資を受けるために、こうした専門家のサポートは必要でしょうか?
結論としては、サポートはあったほうがいいものの、サポートを依頼する相手を良く確かめることが必要です。
サポートはあったほうがいい理由
銀行員との付き合いなどまったくしたことのない人が、いきなり新規事業融資を申込んでも審査を通過するのは難しいでしょう。
その点、専門家のサポートで事業計画書を作ってもらい、銀行員の好む資料を提出できれば、融資審査通過の確率は上がるはずです。
ただし、バックに専門家のサポートがあれば、銀行員は気づきます。素人のはずなのに、やけに銀行用語に詳しいなど、怪しい点は見透かされてしまいます。
ましてや、専門家と一緒に銀行に行くことはおすすめできません。私なら同席をお断りします。どこまで、どのようにサポートを頼むか、慎重に考えることが必要です。
サポートを依頼する専門家が信頼できるかどうか見極めることが大切
当たり前ですがサポートを依頼する専門家が信頼できるかどうか、良く見極めることが大切です。
専門家によって費用体系もそれぞれ違います。また、費用やサービス面の確認も大事ですが、相談をしに行った際に、自身の事業内容を理解してくれるか、コミュニケーションがとりやすいかといったことも念入りに確認すべきです。
銀行員がおすすめする新規事業融資をスムーズに受ける方法は「信用保証協会の創業支援窓口」
銀行員の私が考える、新規事業融資をスムーズに受けるおすすめの方法、それは「信用保証協会の創業支援窓口に相談する」です。
ではなぜ、信用保証協会を利用するとスムーズに新規事業融資を受けることができるのでしょうか。
金融機関が融資する際は、過去の取引履歴等を参考にしますが、新規事業融資のように取引実績がない場合、金融機関側は融資に躊躇します。もし、利用者が返済不能になった場合、貸倒れだけでなく、融資した側の担当者・支店の成績にも影響するからです。
そのため、金融機関に新規事業融資を申し込みにいくと、信用保証協会付きの融資を打診されます。
信用保証協会に相談するって、どういうこと?
意外と知られていませんが、信用保証協会は一般の人からの相談には親切に対応してくれます。たとえアポなしで訪問しても、新規事業融資の相談がしたいと依頼すれば、担当の職員がやさしく応対してくれます。
事業内容や今後の計画などを聞いて、受けることができそうな融資制度のレクチャーや経営のアドバイスをくれます。場合によっては、そのまま金融機関へ紹介してくれる場合もあります。
理想的な申込み、それが「信用保証協会への相談」
信用保証協会へ相談し、そこから金融機関への紹介であれば、融資を断わられる可能性は少ないと考えます。紹介されたということは、信用保証協会のお墨付きがあるということです。保証人として肩代わりしてもらえるため、金融機関もリスクを軽減でき安心して融資しやすくなるのです。
金融機関と信用保証協会は、その立場が違います。
- 金融機関は「貸すか貸さないか審査するところ」
- 信用保証協会は「保証をして、銀行から融資を引き出す公的機関」
いってみれば、金融機関はNOから、信用保証協会はYESから始めるとも表現できます。
信用保証協会への相談をおすすめする、もう一つの理由
信用保証協会への直接相談をして、その結果新規事業融資が受けられなかった場合でも融資の申込みをしたわけではありません。そのため、個人信用情報などにマイナスの記録が残ることはありません。
相談しても難しい場合は、個人信用情報の履歴に何かしら残っている場合が考えられます。その理由が延滞など、個人信用情報のネガティブ情報なら、しばらく融資を我慢するしかないでしょう。
しかし、事業計画が不十分とか、営業の年数が短いといった理由の場合、再チャレンジする価値は十分残されています。
金融機関は、一度融資を断わった顧客に対して、お金を貸すことは難しいでしょう。しかし、信用保証協会ではそういった心配もありません。この点が、信用保証協会への直接相談をおすすめする、もう一つの理由です。
まとめ
今回は現場で融資を実際に行っている目線から、新規事業の融資をゲットするためには本当に創業融資に強い専門家にお願いするべきかについて考えてみました。
サポートがあったほうがいいとは思います。ただ、どのようなサポートなのか、本当に必要なのかを一度考えるべきでしょう。自分の力で融資を獲得できなくはないですが、一人で不安だったり、考える時間を事業に割きたいという方は、検討してもいいかもしれません。
また、民間金融機関の融資を検討している方は、まず「信用保証協会の創業支援窓口」に相談してみましょう。直接金融機関の窓口から相談するより、グッとハードルは下がるはずです。
ハートランド税理士法人では、信用保証協会や日本政策金融公庫などの創業融資のサポート、会社設立サポートなどに特に力を入れております。創業融資の成功率は100%を継続しており、会社設立代行手数料も無料(設立後の顧問契約が前提)で対応していますので、何かお困りことがあればお気軽にご相談ください。
<執筆者・タッツン>
大学卒業後、大阪信用金庫・城東支店の渉外担当として3年間勤務。主に企業融資、預金預り、投資信託、生保販売等の業務に従事。大阪信用金庫を退職後、ハートランドグループの一員として企業の融資や税務会計のサポートを担当中。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。