ベンチャーが銀行融資を利用するには?制度や方法、メリット・デメリットまとめ

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ベンチャー企業において、資金調達スケジュール(資本政策)をしっかり整えることは非常に重要なことであり、また同時に頭を悩ませる課題です。
お金が十分にない状況で、いかに効率性を高めて事業を拡大していくかを考えることは、ベンチャー企業の経営の楽しさであり、苦しさでもあります。

ここ最近では、ベンチャー企業に対する金融機関からの融資の可能性は広がりつつあります。
しかし、ベンチャー企業にとって金融機関からの融資は、果たして良い資金調達手段といえるのでしょうか。

この記事では、ベンチャー企業が金融機関から受けられる融資制度や融資を受ける方法、メリット・デメリットを説明します。

1.金融機関がベンチャー企業に対して融資に積極的になる理由

最近は、金融機関もベンチャー企業に対して積極的にサービスを展開しているところが出てきました。
信用金庫などでは、確かに地方に根付いた創業融資というサービスは古くから盛んに行われていますが、最近ではメガバンクや地方銀行でも積極的な動きを見せています。

特に、年商10億円前後を最低ラインとして取引を考えているメガバンクが、まだまだ年商1億円以下程度のベンチャー企業を取引対象としているのは、かなり異例の事といえるかもしれません。

この背景には、日本の人口動態の変化が影響していると言われています。
人手不足や後継者不足による中小企業や地方の中堅企業の相次ぐ倒産は、金融機関にとって融資先という顧客を失うことと同義です。

日本の創業に関する環境は、世界に名だたるベンチャー企業を数多く輩出しているアメリカや、成長著しい中国と比べると、あまりいい環境とは言えません。

特に、企業にとって重要となるお金面における支援については、アメリカや中国では、年間3兆円規模と言われています。
しかし、日本ではこの金額が4000億円前後と言われており、なんと1/10程度と推察されているのです。

金融機関側は、この資金周りの状況を改善し、より創業しやすい環境を整えることで、5年後10年後の優良顧客を生み出したいと考えています。

日本でも創業の環境が整いつつあり、ベンチャー企業や創業者にとっては、今までには考えにくかった、ベンチャー企業でありながらメガバンクからの融資に成功するといったことも最近では珍しくなくなってきているのです。

2.ベンチャー企業が利用しやすい金融機関の融資制度

ベンチャー企業や創業間もない企業にとって、融資してくれる先は多ければ多いほどいいでしょう。
では、ベンチャー企業が利用しやすい融資制度とはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、日本政策金融公庫、信用金庫、地方銀行やメガバンクの3つに分けて融資制度を見ていきます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府系の金融機関であり、企業の数を増やして雇用を安定させたい政府の政策を実行に移す金融機関です。
そのため、創業間もない企業のために融資制度を作って、門戸を開いています。

「新創業融資制度」と「新事業育成資金」という2つの仕組みが用意されており、どちらも無担保無保証で融資可能です。
しっかりとプレゼンをすれば、2年前後の据置期間(返済を待ってくれる仕組み)も活用できることもあり、創業間もない企業にとっては、魅力的な仕組みとなっています。

信用金庫

信用金庫は、地域密着を特徴としており、その地域を盛り上げたり、その地域に必要なものを支援したりするために作られた金融機関です。
そのため、その地域に根付いたビジネスを展開しようとするベンチャー企業を温かく迎えてくれる傾向にあります。
また、ビジネスの良し悪しを判断する際も、その企業の成長性や収益性以上に、その企業が地域にどのような影響を与えるのか、あるいはその企業を作り出した社長の人柄はどうなのか、といったいわゆる人情的な部分も高く評価してくれます。

大きな融資というのは難しいかもしれませんが、創業間もないベンチャー企業にとっては頼れる存在となるでしょう。

地方銀行やメガバンク

ひと昔前までは、ベンチャー企業が、地方銀行やメガバンクに融資を申し込みに行っても門前払いを食らうことがほとんどでした。

しかし、最近では少し違った動きも出てきています。
そもそも、地方銀行は年商1億円以上、メガバンクは年商10億円以上というように、創業間もない企業への融資は展開していませんでした。

最近ではその流れも変わりつつあります。
きらぼし銀行や武蔵野銀行、福島銀行や仙台銀行などでは、地域密着型の支援を中心に、融資枠を設けた創業支援などを展開しています。

また、地方銀行やメガバンクの創業支援は、融資だけでなく、創業に強い弁護士や公認会計士などを斡旋してくれたり、ビジネスプランのブラッシュアップを手伝ってくれたりと、幅広いサービスが整えられています。
このように融資以外でも相談に乗ってくれます。

3.金融機関からの融資を通りやすくする方法

  • 確実性のある資料を作成する
  • 堅実な返済プランを練る
  • 専門家に相談する

金融機関が求める融資は、ローリスクローリターンです。
貸したお金にしっかりと利子が付く形で返済されることが、融資の基本的な目的と言ってもいいでしょう。

そのため、このローリスクローリターンの性格を意識した資料作りが求められます。
特にベンチャー企業にとっては、成長性や将来性が非常に重要となりますが、融資を提供する金融機関としては、それ以上にまずは資金繰りや収益性が重要となります。

また、どのくらいのお金が必要なのか、そしてそれは、いつごろまでにしっかりと返済されるのか。
事業の面白さや新規性以上に、この返済プランが重要視されるのです。
事業の成長性や将来性は、返済プランを証明するための一要素と考えてしまったほうが良いかもしれません。

また、融資に際しては、専門家の意見を聞いてみることも一つの手です。
金融機関からの融資に強い公認会計士や税理士などに、一度プランやスケジュールを見てもらうことは、融資の成功率に影響を与えます。

4.ベンチャーが金融機関からの融資を利用するメリット・デメリット

ベンチャー企業が金融機関からの融資を利用する上でのメリット・デメリットを、出資と比較しながら確認していきましょう。
どちらがいいというものではなく、その時に会社が求めているものは何かという考えのもと、選択してみてください。

融資のメリット

金融機関からの融資のメリットは、出資とは異なり株式などを相手に提供しなくていいということです。

出資の場合は、その見返りとして株式の提供を求められることが多く、結果的に創業者の自由が奪われてしまうことがよくあります。
しかし、金融機関からの融資の場合は、創業者の決定や考え方に何かしらの影響を与えることはありません。

融資のデメリット

一方で、金融機関からの融資には、毎月の返済というものがあります。
これは、結果として毎月の収益を削るものとなってしまい、思ったように事業拡大に残せる投資資金が失われてしまうというデメリットがあるのです。

出資の場合は、基本的には事業の収益性から生まれる株の配当などを提供すればいいということになり、資金的な自由度は融資よりも高いと言えるでしょう。

5.まとめ

ベンチャー企業の創業環境は、年々着実に整えられています。
ベンチャー企業は、金融機関からの融資などが今までではほとんど不可能といってもいい状況でした。

しかし環境は変化しています。
ローリスクローリターンという、金融機関からの融資の特徴を活かし、ベンチャー企業において難しい資金繰りにゆとりを持たせ、安定した経営を考えていきましょう。

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