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個人事業主が住所変更をする場合、どのような手続きが必要になるか、また、引っ越し費用は経費計上できるのかなど、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
必要な書類や手続きは「自宅兼事務所を住所変更する場合」「自宅はそのままで納税地ではない事務所のみ住所変更する場合」など、状況によって異なります。
また、引っ越す際の費用に関しては、「自宅兼事務所の場合は事務所分のみ、事務所の場合は全額計上可能」です。
今回この記事では、
- 個人事業主の住所変更における代表的な4パターンと必要な届出
- 条件に該当する場合に必要な届出
- 引越し費用の経費計上について
などの項目を解説していきます。
※住民票の変更など、通常の住所変更(引越し)と変わらない点は本記事では割愛いたします。
個人事業主の住所変更における代表的な4パターンと必要な届出
個人事業主の住所変更は、自宅と事務所の状態によって必要な書類や手続きが異なります。ここからは、代表的な4つのパターンを紹介していきます。
自宅兼事務所を住所変更する場合
提出書類 | 提出期限 | 提出先 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 事務所の住所の変更があった日から1ヶ月以内 | 変更前の所轄の税務署 |
所得税・消費税の納税地の異動または変更に関する届出 | 納税地を変更したらなるべく早く提出する |
「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」は、はっきりと提出期限が定まっているわけではありませんが、変更後はすみやかに提出しましょう。
【参考】
・国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
・国税庁「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」
自宅はそのままで事務所のみ住所変更する場合
提出書類 | 提出期限 | 提出先 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 事務所の住所の変更があった日から1ヶ月以内 | 変更前の所轄の税務署 |
所得税・消費税の納税地の異動または変更に関する届出 | 納税地を変更したらなるべく早く提出する |
この場合も同様に、「所得税・消費税の納税地の異動または変更に関する届出」は、変更後、すみやかに提出しましょう。
【参考】
・国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
・国税庁「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」
事務所はそのままで自宅のみ住所変更する場合
この場合は、税務署等への届出は特にありません。住民票を移動するのみです。
自宅はそのままで納税地ではない事務所のみ住所変更する場合
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 納税地の所轄税務署 | 事務所の住所を変更した日から1ヶ月以内 |
【参考】
国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
条件に該当する場合に必要な届出
上記以外にも、条件に該当した場合に必要になる届出がありますので、それぞれ紹介していきます。
振替納税を利用している場合
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
預貯金口座振替依頼書兼 納付書送付依頼書 | 異動後の所轄税務署 または金融機関 | 振替納税の期限まで |
振替納税を行なっている場合は忘れないように注意しましょう。
【参考】国税庁「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」
従業員に給与を支払っている場合
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
給与支払事務所等の開設・ 移転・廃止の届出 | 異動前の所轄税務署 | 事務所の住所を変更した日から1ヶ月以内 |
ただし、「給与等の支払の状況」を記入した「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」を提出している場合は、提出する必要はありません。
【参考】国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」
労働保険適用事業の事業主の場合
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
名称、所在地等変更届 | 所轄の労働基準監督署またはハローワーク | 事務所の住所を変更した日から10日以内 |
書式は、電子政府のe-Gov電子申請からダウンロードすることができます。
【参考】e-Gov電子申請
海外に引越した場合
- 居住者
…海外への滞在予定期間が1年未満の場合は「居住者」扱いとなります。この場合は、日本の住所を管轄する税務署に納税しなくてはいけません。 - 非居住者
…海外への滞在予定期間が1年を超える場合は「非居住者」扱いとなります。日本で発生する不動産所得などは課税所得の対象となり、海外でライター業や動画編集などをする場合は日本へ所得税を納税する必要はありません。
提出書類 | 提出先 | 提出期限 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 納税地の所轄税務署 | 事務所の住所を変更した日から1ヶ月以内 |
所得税の青色申告の取りやめ届出書 | 納税地の所轄税務署 | 青色申告をやめる年の翌年3月15日まで (期限日が土日祝日の場合は、翌日が期限) |
確定申告 | 納税地の所轄税務署 | 1月1日から出国日まで |
(従業員がいる場合) ①健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 ②労働保険名称、所在地等変更届 ③雇用保険事業主事業所各種変更届 | ①移転前の所轄年金事務所 ②所轄の労働基準監督署またはハローワーク ③所轄のハローワーク | ①住所変更から5日以内 ②住所変更の翌日から10日以内 ③住所変更の翌日から10日以内 |
その他、新規のパスポートの発行や「記載事項変更旅券」の発行、国民年金加入の手続きも行います。詳細は、下記の参考資料をご確認ください。
【参考】
・国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
「所得税の青色申告の取りやめ届出書」
「記載事項変更旅券のご案内
・国民年金機構「海外への転出 海外からの転入」
【関連】
・個人事業主の開業届とは?届出は必須?【入手方法と申請手続きまでの流れ】
・【税理士が解説】個人事業主の廃業届とは?出さない場合のデメリットは?書き方や必要書類、提出方法など
引っ越し費用の経費計上について
- 自宅兼事務所の場合
…家事按分で事務所分は経費計上することができます。 - 事務所のみの場合
…事務所を引っ越す場合は、全額経費として計上することができます。ただし、金額によっては経費ではなく資産として計上します。
【関連】【税理士が解説】家事按分とは?判断のポイントや主な経費の計算方法について
大阪で個人事業主の確定申告や経理代行ならハートランド税理士法人へお任せください
個人事業主の住所変更は、状自宅や事務所の状態によって必要な書類や手続きが異なります。
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。