新創業融資制度とは?制度の概要や利用するための3つの要件、審査通過のコツをチェック

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新創業融資制度とは、その名の通り無担保・無保証で融資を受けられる制度です。

返済には2年間の据え置き期間もあるため、新規創業の経営が不安定な時期に最適の制度です。

この記事では、そんな新創業融資制度の

  • 制度の概要
  • 3つの利用要件
  • 新創業融資制度をおすすめする4つの理由
  • 実際の手続きの流れと審査通過のコツ

などの基礎知識を紹介いたします。新創業融資制度の利用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

「新創業融資制度」とは?起業家におすすめ!

まずは、新創業融資制度という制度の基礎知識を解説します。

日本政策金融公庫の融資制度

新創業融資制度とは、創業前・または創業間もない企業が無担保・無保証で利用できる融資制度です。資金調達の方法の中ではとてもハードルが低いため、企業の初期の成長の大きな助けとなります。

ただし、新創業融資制度はこの制度だけでは利用できず、他の日本政策金融公庫の融資制度との組み合わせで利用する必要があります。具体的には「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」との同時利用が必須です。

限度額は上限3,000万円

新創業融資制度の上限金額は3,000万円です。

しかし、すべての企業がこの上限の融資を受けられるわけではありません。無担保・無保証は貸す側にとってはリスクの高い制度なので、高額融資はなかなか難しいのです。

そのため、実際に受けられる融資額は平均で300万円で、実質的な融資限度額は「自己資金の3倍」と言われています。高額融資を受けたい場合は、自己資金を多く用意すれば実質的な限度額も高くなりやすいでしょう。

また、創業計画書で事業の強みをアピールしたり、面談で人格の誠実さを印象付けたりすることができれば、高額融資を引き出せる可能性もあります。

返済期間は2年の据え置き付き

新創業融資制度を新規開業資金と組み合わせて使う場合、返済の最長期間は以下の通りです。

  • 設備資金:20年
  • 運転資金:7年

ちなみにこの期間には、2年以内の「据え置き期間」が含まれています。

据え置き期間とは、返済をしなくてもペナルティを受けない期間のことです。つまり、最長2年間は返済をしなくてもいいということで、創業直後の不安定な期間をこれで乗り切ることも可能です。

ただし、上でご紹介した返済期間は最長のもので、組み合わせて利用する融資制度や、実際の資金使途によって異なります。

基準金利は2.41〜2.80%

新創業融資制度の基準利率は国民生活事業の場合2.41%~2.80%です。

なお、借り入れを行う人の信用度や自己資金などの条件により、さらに0.40%の優遇を受けることができます。

ただし、あくまでこの数字は2020年11月現在のもので、金利は市場動向によって変動します。実際に借り入れを行う際は、必ず日本政策金融公庫の公式サイトで確認しましょう。

(参考)
日本政策金融公庫「新創業融資制度」

担保・保証人不要

新創業融資制度は、無担保・無保証で利用できます。

事業が軌道に乗らず倒産したとしても、返済責任を負う必要はありません。

新創業融資制度を利用するための要件は3つ

新創業融資制度を利用するためには、次の3つの要件があります。

  • 創業の要件
  • 雇用創出等の要件
  • 自己資金要件

それぞれの要件について、詳しく見ていきましょう。

創業の要件

新創業融資制度が利用できるのは、新規事業を始めるタイミングのみです。

具体的には「事業開始後、税務申告を2期終えていない」という条件があります。税務申告は1年に1回ですので、事業開始から2年以内の方のみが利用できる制度です。

雇用創出等の要件

新創業融資制度を利用するための要件二つ目は「雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件」です。

簡単にいうと

  • 新しい事業で人を雇用するなど経済を活性化する働きがある
  • 新規事業と同じ業界での経験や、関連する学歴があり起業の根拠がある

ということです。具体的な条件については、日本政策金融公庫の公式サイトで確認しましょう。

自己資金要件

新創業融資制度の自己資金要件は「創業時点で、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる」です。

ただし、新規事業と同じ業界での経験が6年以上あれば自己資金要件はなくなります

しかし、それでも自己資金は融資限度額に関わってくるため、自己資金0円で融資を受けるのは無謀でしょう。

新創業融資制度をおすすめする4つの理由

新創業融資制度には、以下のような創業時に嬉しいさまざまな特徴があります。

  • 借り入れできる金額が大きい
  • 金利に引き下げ措置がある
  • 無担保・無保証で受けられる
  • 融資されるまでの期間が短い

それぞれのポイントを、詳しく見ていきます。

1.借り入れできる金額が大きい

先にもお伝えしましたが、新創業融資制度の融資限度額は3,000万円です。

無担保・無保証の融資としては破格と言っていいほど高額となっています。

実際に借りられている平均金額はもっと小さいものの、条件やプレゼン次第では高額融資を引き出すことも可能です。何かとお金が必要な創業時に、大変役立つ制度と言えるでしょう。

2.金利に引き下げ措置あり

新創業融資制度の金利は約2%です。

無担保・無保証の融資の金利としては既に低めですが、さらに引き下げ措置があります。金利の引き下げ措置の例は以下の通りです。

  • 生活衛生貸付
  • 雇用維持または拡大
  • 女性、若年、シニア起業家資金
  • 中小企業の会計に関する指針、または基本要領の適用

業種や創業者の条件、借り入れの目的などよっては金利が下がるので、より返済のハードルが低くなるのです。

3.無担保・無保証

繰り返しになりますが、新創業融資制度は無担保・無保証の融資です。

万が一倒産した時にも借金を追うことがないため、事業開始時にリスクを背負わずに済みます。

ただし、その分貸す側にとってはリスクの高い制度であり、審査には誰でも通るわけではありません。新創業融資制度を利用したい場合は、事業の強みをしっかりアピールする必要があります。

4.融資されるまでの期間が短い

新創業融資制度は、融資の実行までの期間が短いのもポイントです。

同じく創業者が利用しやすい資金調達方法に「制度融資」がありますが、新創業融資制度は制度融資より2ヶ月以上融資実行が早いこともあります。

創業時はすぐに現金が必要になるシーンも多いので、新創業融資制度の融資実行の早さが役立つのです。

新創業融資制度の手続きと流れ

それでは、実際に新創業融資制度を利用するための流れを見ていきましょう。

1.必要書類を揃えて申し込む

まずは、必要書類を揃えて新創業融資制度の申し込みを行います。必要となる書類は以下の通りです。

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 見積書(設備資金を借り入れする場合)
  • 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  • 不動産の登記謄本または登記事項説明書(担保を希望する場合)

必要書類を郵送すれば申し込み完了となります。

2.面談をする

申し込みを行うと、通常1週間~10日後に面談が設定されます。

日本政策金融公庫から郵送で面談日程の通知があるため、日本政策金融公庫の事業所に出向いて担当者と話しましょう。

面談の所要時間は、30分~1時間ほどです。創業計画書に書いて提出した事業内容について質問を受けるため、どんな質問が来ても答えられるよう準備しておきましょう。補足資料を持参して、創業計画書に書ききれなかった内容を追加で説明することもできます。

3.審査結果は郵送で通知を受け取る

面談後10日前後で、審査結果が郵送で通知されます。審査に通ったかどうかの他に、実際の融資額もここで知ることになります。

申し込んだ金額の満額は融資されず、減額されて審査に通ることも少なくありません。予定していた融資額を新創業融資制度だけでは確保できない場合は、他の資金調達方法を併用する必要が出てくるでしょう。

4.融資が実行され、返済していく

融資の可否・金額が決定されると、融資実行のために必要な借用証書などの書類が郵送されてきます。これを記入して返送し、不備がなければ契約完了です。

その後、指定した口座に融資額が振り込まれます。返済方法は原則として月賦払いとなり、毎月決まった額を返済していきます。

新創業融資制度の審査を通るためのコツ

最後に、新創業融資制度の審査を通るためのコツをご紹介いたします。

審査のハードルはそれほど高くはないですが、誰でも通るというわけではないのでしっかり準備しましょう。

自己資金はできるだけ多く準備する

要件だけを見れば、新創業融資制度は自己資金なしでも申し込むことができる制度です。

しかし、先にも触れましたが、実質的な融資限度額は「自己資金の3倍」です。自己資金を多く持っていれば、それだけ高額融資を引き出しやすくなります。

また、自己資金が多ければ、それだけ運転資金が潤沢で長く事業を維持できるということにもなります。日本政策金融公庫にとって新創業融資制度は貸し倒れリスクが高いので、自己資金の高さは信用力に繋がって審査を通りやすくなるのです。

新創業融資制度の審査を通るには、最低100万円は自己資金を用意しておきましょう。

事業計画書は現実的な内容にする

事業計画書は実現可能な内容にするのも大切です。

新創業融資制度は無担保・無保証の融資なので、ハイリスク・ハイリターンな計画よりも、堅実な返済力が見込める計画の方が審査を通りやすいです。

具体的なデータやテスト運営の結果などを記載し、担当者を納得させられるような事業計画書を作りましょう。

面談では経営者としての資質をアピールする

最後に、経営者の人柄も審査の結果を左右します。面談では事業に対する意欲や実績をアピールして、優れた経営者と認められるように努めましょう。

事業に関連する業務の経験や資格、部下をマネジメントした経験があればそのことをアピールするのもおすすめです。

また、経営者個人の信用情報も重視されるので、過去に消費者金融を利用したり、支払いの延滞があったりする場合は、その理由も説明できるようにしておきましょう

まとめ

新創業融資制度は、新たに事業を始める起業家が利用しやすい融資制度です。

無担保・無保証で高額融資が利用でき、返済には2年間の据え置き期間もあります。金利は担保ありの融資に比べれば高めですが、条件によっては金利引き下げも可能です。

これだけの優遇が受けられる分、審査には誰でも通るわけではないため、新創業融資制度に申し込む際はしっかりと準備をするようにしましょう。

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