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大事な会社の資金を集めるお手伝いをお願いするのって少し心配ですよね。
やはり、その分野に長けた専門家にお願いしたいところです。
今回は創業融資に強い税理士の見極め方をお伝えします。
1.なぜ、創業時の融資制度を外部委託するのか
起業家が一人で創業融資の制度を調べ手続きを行うのは、とても労力がいるからです。
それであれば、その時間を有能な税理士に委託し、会社の売上に対して自分の時間を割くほうが効率がよいのではないでしょうか。
よって、専門家に任せてしまうという経営者が非常に多いです。
税理士には、日ごろの月次決算を行うような顧問契約を結ぶタイプと、単発で仕事を行う契約を結ぶタイプがいます。
創業融資に至ってはどちらでも契約は可能です。
しかしながら、顧問契約を結びながら創業融資をお願いする方がおすすめです。
なぜなら、創業融資を成功させるためには、事業計画書作成だけでなく、経営計画を一緒に検討し、財務整備を行う必要があるためです。
長期的にお付き合いできる税理士を選ぶためにも、税理士は慎重に検討しましょう。
2.創業融資に強い税理士を選ぶポイント
まず、税理士はすべての会計・税務においてマルチではないことを理解しておいてください。
例えば、ある飲食店のオーナーが酒税について税務署から問い合わせが来た際に、説明してもらおうと顧問税理士を呼びました。
しかし、全く話にならなかったとのことです。
後に、そのオーナーは知ったのですが、その税理士の専門は相続でした。
もちろん、オーナーは税理士を変えることになりました。
このように税理士は専門分野が多岐に分かれており、会社設立時には創業融資を得意とする税理士を選ぶ必要があります。
創業融資を失敗しないためにも、何か所かアポイントを取って税理士さんに実際に会ったうえで質問をし、比較検討してください。
では、創業融資に強い税理士はどのように選べばよいのでしょうか。
ポイントを見ていきましょう。
2−1.実績の有無
もともと、監査法人出身の税理士や、資金調達を実際に数例持っている税理士を選ぶべきです。
いくら実績があるかを尋ねるのは失礼ではありません。
「自社と同じ規模の会社の資金調達を実際に行ったことがあるか。」
「どの規模の会社をメインで担当しているのか。」
「実際、自社の規模間であればどのくらいの創業融資を調達することが可能か。」
といった内容を聞くとよいでしょう。
2−2.自分との相性
資金調達はただ委託でお願いするといった感覚よりも、二人三脚で経営の基盤をつくっていくといった感覚です。
そのため、相性が悪いと意味がありません。
税務についての知識だけでなく、考えや感覚が合う方を選ぶとよいでしょう。
2−3.信頼できる人からの紹介
資金調達はいろんな専門家と一緒になって仕事するので、人脈が広い税理士が多いです。
金融機関や助成金先などから紹介された税理士であれば、常日頃からそのようなところとやり取りしている可能性が高いでしょう。
そのため、融資が受けやすい事業計画書を作成してもらえます。
また、信頼のおける経営者からの紹介の税理士さんであれば、同じような感性をもっている場合があり、ビジネスモデルや考え方を理解してもらいやすいと言えるでしょう。
2−4.コミュニケーション力・ヒアリング力
事業計画書などを一緒に作る際には、自分の考えを反映しないと意味がありません。
言葉で説明が苦手な経営者の方もいらっしゃるでしょう。
そこをうまくくみ取る能力がある税理士さんだと好ましいです。
これは相性のよさにも関係してきますね。
2−5.ビジネスモデルへの理解
今や、ビジネスモデルは様々です。
製造業からITなど多岐にわたります。
そのため、説明してビジネスモデルを理解し共感してもらえるだけではなく、突っ込んで質問してくるような税理士さんだと好ましいです。
ビジネスモデルの状況に合わせて、「今はこの段階であるため、融資はこの制度を利用すれば調達しやすい。」と考えられる方がよいでしょう。
3.税理士事務所にお願いできる創業融資の支援
創業融資支援の税理士事務所では様々なサービスを行っています。
3−1.財務戦略策定支援
新規事業資金をどのように用意するか、またどの方法が適切かを検討します。
例えば、資金調達でも銀行からの借り入れ、日本政策銀行等の創業融資制度の利用、助成金、上場を視野に入れた直接金融等、いろいろな方法があります。
今、企業としてどのステージにいて、どの程度の資金が必要か、また中長期的にみてどのような資金調達スケジュールを組んでいくのが最適かを検討します。
3−2.事業計画書作成
銀行や助成先など、相手に合わせて創業融資が調達しやすい内容に記載を変えます。
4.手数料体系(税理士報酬)
実際、税理士事務所を利用する場合はどのくらいの費用が必要なのでしょうか。
手数料体系は、どこまでのサービスをお願いするかにもよりますが、大きく分けると2つになります。
成功報酬ありか、成功報酬なしかです。
成功報酬あり・なしは一長一短であるため、自社の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。
また、顧問契約のあり・なしでも必要な費用が変わってくる場合があります。
すでに顧問契約をしている税理士事務所がある場合は、そちらに一度相談することをおすすめします。
4−1.成功報酬ありの場合
お願いしていた資金調達が実現したら、その金額の数パーセントを支払うという契約です。
そのため、失敗した場合に手数料を支払う必要がないという利点があります。
一方で、成功した場合、条件によってはかなりの金額を支払う必要があるためあらかじめ検討が必要です。
4−2.成功報酬なしの場合
着手金という形で、事業計画書は〇万円、決算書作成は〇万円とあらかじめ決まっています。
そのため、支払い計画を立てやすいと言えます。
5.まとめ
創業融資の税理士を探す際には、二人三脚で会社の長期的な財務基盤の基礎を作るパートナー選びをすると考えて選ぶようにしてください。
もちろん実績のあるなしも大事な選ぶ観点の一つではありますが、相性があう税理士さんを選ぶことも大事です。
税理士を選び間違えると実際創業融資を獲得できるような企業が、失敗してしまうという場合もあります。
慎重に選ぶことをおすすめします。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。