資本剰余金とは?利益剰余金との違いを解説

これから起業しようとする場合、資本金としていくらかの資金を用意しておく必要があります。そういう意味では、資本金自体は馴染みのあるものでしょう。

しかし、資本金だけが手元資金のすべてではなく、「資本剰余金」と呼ばれるものもあります。資本金は知っていても、資本剰余金という言葉は聞いたことがなく、どのようなものなのかよくわからないという方もおられるのではないでしょうか?

ここでは、経営をする上で知っておきたい資本剰余金について解説いたします。

資本剰余金とは

「資本剰余金」とは、資本金として計上した以外の元手となる資金のことを指します。
法人を設立した場合には、一定金額以上の資本金を定めておく必要がありますが、それ以外の手元資金は資本剰余金となります。

そして、資本剰余金は大きく「資本準備金」と「その他資本剰余金」に区別されます。
資本準備金は資本金の2分の1未満の額を用意するように会社法で定められているため、それ以外の資本剰余金はその他資本剰余金となります。

また、剰余金のなかには、資本剰余金と混同しやすいものとして「利益剰余金」というものがあります。
似たような言葉が多くて混同してしまいがちです。まずは、資本剰余金と利益剰余金の違いをみていきましょう。

資本剰余金と利益剰余金の違い

起業する場合には、まず資金を調達する必要があります。その資金調達には、様々な方法があります。自分自身が貯めたお金をそのまま起業のための資金にしたり、商品やサービスを販売して利益を稼いで資金を集めたりするのが、一般的な方法です。
それ以外にも、株主がお金を振り込んで出資する方法もあります。

こうした方法で確保したお金を、全て資本金に計上する訳ではありません。資本金の一部は「剰余金」として確保されるように、会社法で定められています。
剰余金のうち、資本剰余金は起業をする際に、元手として集めた資本の中で剰余金として確保するお金を指します。

一方で利益剰余金は、商品やサービスの販売などで儲けた利益の中で、一部を剰余金として確保するお金を指します。資本剰余金と利益剰余金は、剰余金となるきっかけが異なるものなのです。
以下で、それぞれについて更に詳しく説明いたします。

資本剰余金とは

資本剰余金は元手として調達した資金のうち、資本金として計上されなかったものです。
資本剰余金のうち、資本金の2分の1未満の範囲で資本準備金として計上することが必要であり、残りはその他資本剰余金として計上されます。つまり、資本準備金とその他資本剰余金を合わせたものを資本剰余金と呼びます。

資本準備金は、債権者からの請求によって突発的な支払いが発生するときに備え、積み立てて残しておくものです。
その他資本剰余金は、資本金の減少時や、利益が十分に確保できなかったときの株主への配当、自社で取得した株式の処分などの原資として用いられます。

利益剰余金とは

利益剰余金は資本剰余金と異なり、商品やサービスの販売などで稼いだ利益のなかから、剰余金として残しておくものです。資本準備金と同じように、債権者からの請求などで突発的な支払いが発生するときのために、利益の一部を残しておくように法律で定められています。

資本剰余金も利益剰余金も、突発的な支払いに備えるためのお金であることは共通しています。
ただし、利益剰余金は経営活動によって稼いだ利益が元になっているため、株主の配当の支払の原資になります。

資本剰余金の配当について

資本剰余金は資本金に組み込まれなかった資金が該当します。その資本剰余金のうち、資本準備金として確保されるもの以外が、その他資本剰余金とされます。

その他資本剰余金は、いわゆる資本としての意味をもつ剰余金です。すなわち、起業や規模拡大などの際に株主から資金調達したお金から成り立っているものであり、営業活動を通して得たものではありません。
資本剰余金はこうした性格をもっているので、むやみに使うことはできないのです。

ただし、その他資本剰余金のなかから、株主に配当として支払う原資にする場合があります。利益剰余金が多ければ、利益剰余金だけを原資にして株主に多く配当を支払うことができます。

しかし、たとえ利益が少なくても、出資してくれている株主に配当をしなければ、株主が少なくなってしまう可能性があります。そこで、その他資本剰余金を原資にして株主に配当を支払うことで、少額でも配当を行って株主をつなぎとめ、他社からの買収を避ける狙いがあります。

資本剰余金から配当を行うのは、経営が軌道に乗っている状況ではないことを表すので、決して望ましいとは言えません。
ただ、利益剰余金からだけでなく、資本剰余金からも配当を行うことがあるということは覚えておくと良いでしょう。

資本剰余金がマイナスの場合

個人事業主としての活動や企業の経営においては、いつも利益が出続けるとは限りません。
もし利益が少なかった、あるいは出なかった場合には、生じた損失を何か別の方法で補うことが必要となります。

資本剰余金がマイナスになるケースには、起業直後に事業が厳しくなるなどして、当初出資された資金を減らさざるを得ない場合が当てはまります。
経営がすぐに軌道に乗れば問題ありませんが、そうでない場合に備えて、資本剰余金がマイナスになることを理解しておく必要があります。

資本金・資本準備金からの拠出

資本剰余金がマイナスになってしまった場合には、やむをえず資本金を取り崩さざるを得なくなってしまいます。

しかし、これは株主の利害に関わる事柄であるため、容易にできるものではなく、株主の特別決議を経る必要があります。
特別決議を経て資本金を減少させた場合には、その減少分を補う必要があります。そうなると資本剰余金が減少してしまいます。

また、自社の株式を株主から購入して処分した場合にも、資本剰余金は減少します。

利益余剰金から補填できる

資本剰余金がマイナスになってしまった場合、利益剰余金から補填することもできます。
そもそも資本剰余金というのは、資本金を取り崩した場合に補填するためのものです。そのため、資本剰余金そのものをマイナスにしてはいけないので、利益剰余金を用いて補填することが認められています。

しかし、利益剰余金から資本剰余金へ補填するとなると、株主に配当する原資を取り崩すことになり、株主の利害に関わります。
したがって、株主の決議などによって株主から一定の同意を得られなければ、利益剰余金から資本剰余金に補填することが認められないため注意が必要です。

自社株式の処分

株式会社が自社で発行した株式を取得して処分を行った場合、資本剰余金に影響が出ます。
自社株式を第三者に売却して利益が出た場合には、資本剰余金にプラスされ、損失が出た場合には、資本剰余金からマイナスします。

また、自社株式を株主の決議を経て償却処分した場合には、資本剰余金からその分をマイナスすることになります。
なお、自社株式の処分によっては、資本剰余金が0円を下回ってしまうこともあります。この場合には、最低でも資本剰余金が0円になる分まで、利益剰余金を減額して補填する必要があります。

まとめ

資本剰余金は資本金に計上されないものですが、株主から資金調達によって得たお金が元になっています。そのため、むやみにマイナスにしてしまうと、債権者からの突発的な支払い請求に対応できなくなります。
資本金だけでなく資本剰余金についても、どのような性質をもつものであるのか、あらかじめ知っておきましょう。

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