創業融資の自己資金が重要なワケと認められるお金の種類

事業を開業するにあたり、創業融資制度を利用する上で、自己資金が重要視されていることを聞いたことはないでしょうか。
ここでは自己資金の重要性と、融資の審査に通るためにはどの程度の自己資金が必要であるかについて説明していきます。

1.自己資金とは

自己資金とは返済の必要がない、自分で用意した資金のことを言います。
一方、第三者から調達したお金は、返済を求められる可能性が皆無とは言えないため、自己資金とはみなされません。
自己資金であるかどうかは、返済義務を負う資金であるか否かで判断されます。

創業融資を受ける際には、この自己資金の多寡が重視されます。
融資を受けられる金額は自己資金に比例し、自己資金が豊富なほど融資を受ける際の審査に通る可能性が高くなるのです。

1−1.創業融資における自己資金の必要性

自己資金の割合が重視される理由は、全て借り入れた資金でまかなった状況下では、事業が起動に乗るまでの期間に自社の持ち出しに頼らなければならなくなり、資金ショートに至る可能性が高いからです。

例えば、日本政策金融公庫から融資を受ける場合、自己資金が一定の割合を占めていなければ、起業時における努力や計画性において不十分であると判断されてしまいます。
そのため、この基準を満たさなかった場合には、窓口で受付にすら応じてもらえないほどだったのです。

2.創業融資で実際に必要とされる自己資金の割合

自己資金の最低限の比率は自治体ごとに異なります。
以前多かった2分の1、そこまで厳しくなくとも最低3分の1以上を事実上のラインと設定する自治体も多いです。

日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合の自己資金比率の最低ラインは、かつては3分の1でしたが、2014年に緩和され10分の1へと引き下げられました。

融資のための条件は緩和されましたが、それがそのまま自己資金比率の難易度が引き下げられたことには直結していません。
審査で求められている割合は、依然3分の1以上です。
最低限の自己資金10分の1というのは、建前なのです!

例えば、1000万円の融資を希望して、400万円を自己資金として用意し、そのうちの半分が自己資金として認められたとします。
この場合、10分の1の最低ラインはクリアしていますが、自治体によっては実質上のラインである3分の1を満たせておらず、認められない場合があります。

また、自己資金として申請しても、なんらかの理由で審査側から一部認められないと判断された結果、自己資金が規定のラインを下ってしまう場合もあります。

例えば、1000万円の融資を希望して、最低ラインである10分の1=100万円の倍に当たる200万円を自己資金として申請します。
しかし、そのうちの120万円分が審査の結果、返還要求が発生しかねない贈与によるものとして自己資金として認められなかったとします。
すると、80万円分のみが自己資金扱いとなり、建前の10分の1という最低ラインを大きく下回ってしまいます。

これらを踏まえて、自己資金は最低限のラインよりかなり多めに準備した方がよいでしょう。

2−1.創業融資で自己資金が免除になる事例

創業融資には自己資金が不可欠とされていますが、制度によっては自己資金が不要になる事例もあります。
ここでは、陶器のネット販売で起業した事例をご紹介します。

Aさんは、必要な資金が600万円であるのに対し、資本金が30万円しかありませんでした。
新創業融資制度を利用したとしても最低限の10分の1にも至ることなく、明らかに自己資金が不足している状況です。
そこで創業予定地の自治体による「特定創業支援事業」を利用しました。
専門の相談員による個別相談を受け、特例を受けるための証明書が発行されることで新創業融資制度による融資を受ける際の自己資金要件が免除されることになったのです。

3.創業融資で認められる自己資金

申請した自己資金が審査を受ける上で認められるかどうかは、創業融資を受ける上で重要なポイントとなります。
自己資金の定義を正確に把握することで、規定の自己資金の割合を満たすことができます。

3−1.自己資金と資本金の違い

自己資金とは、創業者が自力で蓄えた元手資金のことです。
一方で資本金とは、創業者が自力で蓄えた資金ではなく、投資家などの出資者から受け取った資金のことです。

資本金は、創業者自身が出資した場合には自己資金に含めることできます。
第三者による出資の場合は、その出資の意図や創業にかける思いなどを明確に説明することができない場合、自己資金として認められることはありません。

3−2.自己資金となり得るお金

では、具体的にどんなお金が自己資金としてみなされるのでしょうか。

贈与:△

贈与の場合、法的には返済の義務がないため創業者側では自己資金と捉えがちです。
しかし、自力で調達したものではなく、創業者自らの事業経験によるものではないため、自己資金とみなされない場合もあります。

贈与では、贈与元が何かの見返りを求める相手であったり、交換条件を交わしていたりすることがあります。
このような状況で、創業者が見返りの提供もしくは交換条件の遂行に失敗した場合は、返還を求められることにもなりかねません。

ケースバイケースですので専門家に確認するとよいでしょう。

売却資金:△

売却によって得られる資金そのものは返済する必要はありませんので、自己資金と認められるでしょう。
ただし、売買契約書等の証憑は揃えておくべきです。

売却した資産自体が自力で得られていた場合は特に問題ありませんが、事業によって得られた報酬や給料などで購入した資産であった場合には注意してください。
売却した結果の資金そのものより、売却した資産の取得に至る経緯を明確に説明できなければ、自己資金としてみなされにくくなる場合があります。

また、親など創業者を支援する立場の人が無償で提供した資産を売却した場合、贈与とみなされることもあります。

借入金:×

借入金は、返済の義務を伴うため、問答無用で自己資金とはみなされません。

現物出資:○

現物出資とは、現金以外のパソコン、不動産、車両、有価証券などの貸借対照表上の資産として計上できるものによる出資のことです。
新創業融資制度上では、現金に加えて自己資金に該当するものとして取り扱われています。

タンス預金:×

タンス預金とは、金融機関に預金せず、自宅で保管しているお金や財産のことです。
お金の流れの履歴が残せないため、所有者の特定ができず、自己資金とは認められません。

仮に自分の給与からこまめに貯蓄した結果がタンス預金だったとしても、履歴を残せない以上、見せ金のような虚偽申請と区別がつかないため、結果として自己資金としてなりえません。

見せ金とは、自己資金審査時のみ存在する、実際の創業時には存在しないお金のことを表します。
自己資金を実際より多く見せるために、一時的に資金調達し、自己資金として認められた後にすぐに引き上げることで見せ金となります。
【関連】徹底分析!会社設立における資本金の見せ金はアリ?ナシ?

しかし、見せ金はご法度です!

金融機関では、見せ金に対する対策として、融資の申込日以前より半年間の通帳のお金の流れを確かめていきます。
見せ金として資金調達を一時的に行った場合、自己資金として認められなくなるだけでなく、創業者に対する信用も失われることになります。

4.まとめ

創業融資の申請では自己資金のウエイトが重要視されています。
自己資金とは自力で調達した資金であり、創業後において資金ショートの危険性を回避することのできる会社の体力を表す、一つの指標とみなされています。

自己資金は融資の審査過程で認められるものでなくてはなりません。
贈与によるものでも、返済の可能性がないことを明らかにする必要が出てきます。
また自己資金を増やすための見せ金は絶対にやってはいけないことであり、信用問題にもなりかねません。

自己資金の割合が多いほど高額の資金調達につながるため、現金だけでなく、自己出資による資本金や現物出資も加えることで自己資金を増やすことも大切です。

判断が難しい場合は自分で判断せず専門家に確認するようにしましょう。

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