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福岡県で会社を設立をする際に活用したいのが、国や県、または市町村が実施している助成金です。
助成金は国や地方公共団体、民間の財団などから拠出されますが、融資とは違い返済の義務がないという大きなメリットがあります。
この記事では、
- 福岡県で会社設立用の助成金が申請できる団体
- 福岡県の各団体が実施している助成金の内容
- ネットで助成金情報を検索する方法
- 各支援制度の違い
などの情報について解説していきます。
福岡県で会社設立用の助成金を申請できる団体
福岡県で会社を設立する場合、申請条件を満たしていればさまざまな助成金を利用することが可能です。
一般的に助成金といえば、国や福岡県が管轄しているケースがほとんどですが、それ以外の団体でも助成金を取り扱っています。各助成金の申請条件等を事前に調べ、自社の現況に合った助成金に申請するようにしましょう。
福岡県の主な中小企業向けの助成金関連団体は以下の通りです。
- 国および福岡県、または各市町村
- 公益財団法人福岡県中小企業振興センター
- 一般財団法人ふくおかフィナンシャルグループ企業育成財団
上記の団体から、どのような助成金を受けることができるのでしょう。次項で説明します。
各団体の実施している助成金の内容
前述した中でも、特に中小企業向けの助成金について、その概要などを説明します。
厚生労働省
国の代表的な助成金は、厚生労働省が実施している雇用に関するもの、または経済産業省や福岡県が管轄している産業の育成や施策に関するものです。
経済産業省が管轄している支援制度は補助金が多く、助成金はほとんどありません。そのため、ここでは厚生労働省が管轄している助成金を紹介します。
厚生労働省では、主に雇用と労働関連の助成金を管轄しています。内容は以下のとおりです。
■雇用関連
- 雇用維持関係の助成金
- 再就職支援関係の助成金
- 転職・再就職拡大支援関係の助成金
- 雇入れ関係の助成金
- 雇用環境整備等関係の助成金
- 両立支援等関係の助成金
- 人材開発関係の助成金
- 新型コロナウイルス感染症関係の助成金
■労働関連
- 生産性向上等を通じた最低賃金の引上げを支援するための助成金
- 受動喫煙防止対策を支援するための助成金
- 産業保健活動を支援するための助成金
- 労働時間の設定改善の支援関係の助成金
- 退職金制度の確立等を支援するための助成金
詳しくは「令和2年度雇用・労働分野の助成金のご案内」をご覧ください。
福岡県
福岡県で中小企業が活用できる支援制度は、こちらで確認できます。
また福岡県の助成金は、公益財団法人福岡県中小企業振興センターが実施しています(詳しくは後述)。
福岡市
福岡市では独自の助成金を実施しています。以下にその概要を紹介します。
■福岡市ステップアップ助成事業
成長性の高いビジネスプランを持つ中小企業や個人事業者に対し、成長するための課題改善の資金として交付される助成金です。
交付者には無料で専門家が派遣され、成長を支援します。成長性が高いビジネスプランの審査が行われ、評価が高い順に高額な助成金額を交付してもらえます。
- 対象者:以下の要件が揃っていること
1.福岡市内に本社を置く創業10年未満の中小企業、または個人事業者で、市税を滞納していない
2.中小企業以外の法人が発行済株式の2分の1を超えて保有していない
3.本店所在地が福岡市外の企業の場合、交付が決定した年度内に福岡市内に移転する
4.代表者および役員が暴力団ではないこと、または暴力団と密接な関係を有していないこと
- 助成金額:最優秀賞 100万円 優秀賞 70万円 奨励賞 10万円
公益財団法人福岡県中小企業振興センター
中小企業の支援を行う福岡県中小企業振興センターでは、助成金はもちろん、インターネット上でビジネスマッチングを行うWebサイト運営や、福岡の名産品のお取り寄せサイト運営なども積極的に行っている財団です。
福岡県中小企業振興センターで紹介されている助成金のほとんどは、雇用や労働に関する制度で、そのほかの支援制度は補助金や経営相談などです。
一般財団法人ふくおかフィナンシャルグループ企業育成財団
ふくおかフィナンシャルグループ企業育成財団は1985年に設立された財団で、九州地域で技術指向型中小企業の育成を通じて、地域経済振興と中小起業の発展に貢献することを目的としています。
その事業の一環として、技術指向型中小企業の人材育成に対する助成金交付を行っています。事業内容は以下のとおりです。
■研究開発助成金
- 助成対象事業:国民生活の向上貢献する技術や製品に関するもので、2年以内に企業化の可能性があること
- 助成金額:500万円以内、または費用の2分の1以下
- 受付窓口:一般財団法人 ふくおかフィナンシャルグループ企業育成財団
- 対象者:業種は問わないが、以下の要件を備えていること。
1.九州、または山口に本店を構えており、かつ研究開発拠点がある中小企業、または個人事業者
2.創業後10年以内、または新製品や技術などの研究開発に取り組んで3年以内
3.新製品や新技術の研究開発および事業化を実現するための具体的計画が作成されている
■人材育成助成金
- 助成対象事業:産業経済の発展と国民生活の向上に貢献する技術や製品に関するもの、またはその技術や製品に関連する部品や原材料など。
- 助成金額:100万円以内、または費用の2分の1以下
- 受付窓口:一般財団法人 ふくおかフィナンシャルグループ企業育成財団
- 対象者:業種は問わないが、以下の要件を備えていること
1.九州、または山口に本店を構えており、かつ研究開発拠点がある中小企業、または個人事業者
2.創業後10年以内、または新製品や技術などの研究開発に取り組んで3年以内
3.新製品や新技術の研究開発および企業化を実現するための具体的計画が作成されている
ネットで助成金情報を検索する方法
助成金情報はさまざまなウェブサイトから検索することができますが、中小企業が活用できる助成金は数千種類もあるので、インターネット上で検索するには時間と手間がかかります。
ここでは膨大な助成金データを有するウェブサイトをご紹介しますので、福岡県の助成金情報を検索したいときに活用ください。
公益財団法人助成財団センター
公益財団法人助成財団センターは国から認可を受けている財団で、助成する側と助成を求める側との情報交流の場を提供する活動の一環として、助成金情報が検索できるシステムを提供しています。
募集や限定募集を行っている全国約1,600団体・助成プログラム約3,000件の中から、助成金を検索することが可能です。助成プログラム、団体名、採択課題から希望の助成金を検索できます。
詳しくは「公益財団法人助成財団センターの助成金情報ページ」を参照ください。
各支援制度の違いを理解しておこう
国や自治体から支援を受けられる制度は、助成金以外に補助金や給付金などがあります。会社を設立する際に、どの制度の利用が適しているか迷う人も多いことでしょう。
基本的にこれらの制度は同じような仕組みで、国や自治体、財団などが中小企業に対して支援するため、返済は不要です。
なお、助成金や補助金は会社設立の際に活用されることの多い制度ですが、「助成金や補助金が支給されることが前提のビジネスプラン」を立てて申請すると却下されることが多いためプラン作りは注意が必要です。
助成金と補助金の相違点
助成金は随時募集、もしくは定期的に一定期間の公募を行うものが多く、申請条件を満たしていれば受給できます。
補助金は公募期間が定まっているものが多く、申請条件を満たしていても審査に通らないと受給できません。
給付金は随時募集かつ期間が定まっているものが多く、申請条件を満たしていれば受給できます。
助成金制度が見つからない場合は補助金を活用しよう
福岡県で希望する助成金が探せない場合は、補助金の申請へと切り替えてみてもよいでしょう。
補助金は福岡県や各市町村、中小企業庁などが募集しています。期間が定まっていますので、申請時期や期限などを事前にチェックしておくことを忘れないようにしましょう。
(参考)
・中小企業庁の補助金等公募案内
・福岡県の新型コロナウイルス感染症関連、補助金、助成金、融資情報
まとめ
福岡県で活用できる助成金のお情報を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
福岡県に限りませんが、最近では自治体でも補助金と助成金の使いわけがされていないことも多いため、助成金を探す場合は、補助金も含め調べてみることをおすすめします。
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監修:播广 祐子(はりま ゆうこ)
ハートランド社会保険労務士法人 代表社会保険労務士(大阪府社会保険労務士会所属 登録番号第27210131号)
地方自治体において17年間勤務。人事労務業務、社会保険の保険給付指導、保険医療機関指導業務のほか、総予算11億円を超えるベネッセアートサイト直島との協動による現代アートイベントのディレクションを担当。その後、23歳で取得した社会保険労務士の資格を活かすため、大阪市内の大手社労士法人に7年間勤務。年間1,000件を超える助成金申請をこなした助成金のスペシャリスト。労務相談、給与設計・計算、就業規則制定などの労務コンサルティング業務にあたりながら、研修講師としても活躍中。