会社設立時の資本金の払い込みについて解説します!

<この記事は約 9 分で読めます>


会社を設立するためには資本金が必要になりますよね。

ここでは、資本金をどのような順番と方法で銀行口座に払い込んだらよいのかを解説していきます。

資本金とは会社の運転資金のこと

資本金とは、会社を設立する際に、自分が持っている事業に利用することが可能な資金(自己資本)のことをいいます。

貸借対照表上でいえば、資本金は「資産の部」から「負債の部」を控除することによって算出される「資本の部」の総額、いわゆる純資産となります。
資本金は誰にも返済する必要のない資金なので、資本金(資本準備金を含む)の額が大きければ大きいほど、それだけ会社に財務上の余力があると判断されています。

資本金はいくらでもよい

2006年5月の新会社法の施行により、会社を設立するときの最低資本金制度が撤廃になりましたので、資本金はいくらでもかまいません。

極端なことをいえば、資本金が1円でも株式会社を設立することができます。
ただ、1円で設立できるといっても、資本金は設立した会社の事業用の資金(自己資本)になるわけですから、当面の事業を営むために必要な一定の金額を用意する必要があります。

また、設立する会社の業種によっては、許認可を受けるときに資本金の額が条件になるものもありますので、資本金の額を決める際には注意をする必要があります。

資本金の払い込み手順

会社設立時の資本金の払い込みは、以下の手順で行います。

それぞれのステップを詳しく解説していきます。

1.発起人の銀行口座の用意

最初に用意しなければいけないのが、発起人個人の銀行口座です。

会社名義の銀行口座に資本金を払い込みたくても、まだ会社自体が設立されていない時点では、会社名義の銀行口座を作ることができません。
そのため、資本金を払い込むために発起人個人の銀行口座が必要になるわけです。
発起人が複数人いる場合は、発起人代表者個人の銀行口座を使用します。

銀行口座は普通預金口座で問題ありませんが、通帳のコピーが必要になるので、通帳の発行される金融機関で口座を作りましょう。
発起人がいつも利用している銀行口座を使っても良いのですが、通帳のコピーをとる必要があるため、口座の利用履歴の記載がない新しい銀行口座を作ることが多いです。

2.発起人の銀行口座への資本金振込

発起人個人の銀行口座が用意できたら、いよいよ資本金を払い込みます。
払い込みの際の注意点は以下の2つです。

入金ではなく振込をする

資本金を銀行口座に払い込む際に注意しなければいけないのが、金融機関の窓口に現金を持ち込んで「入金」するのではなく「振込」をするということです。

会社を設立する際は、各発起人がいくら出資するのかを決めています。
各発起人が、出資する金額と同額、もしくはそれ以上の金額を間違いなく払い込んでいるということを証明するためには、通帳に払い込んだ発起人の氏名と金額がしっかりと記載されていなければなりません。
銀行口座への入金では、誰が入金したのかがわからないため、払い込んだ人がわかる「振込」をする必要があるのです。
ただし、発起人が1人の場合は入金でも問題ありません。

定款の認証が終わった後に払い込む

もうひとつの注意点としては、銀行口座への資本金の払い込みは、定款の認証が終わった後(同じ日でもよい)にするということです。
もし順番が逆になってしまうと、会社法の規定に反することになってしまいます。

3.通帳のコピーを作成

発起人全員が資本金を払い込んだら、次に通帳のコピーをとります。
通帳のコピーは、各発起人が銀行口座に所定の出資金を間違いなく払い込んだことを証明するためのものです。

次の3か所をコピーしましょう。

  • 表紙
    口座番号や口座名義人が記載されている
  • 表紙裏
    支店名や支店番号、銀行印などが記載されている。
  • 払い込み内容の記載ページ

コピーをとる用紙のサイズは特に決まりはありませんが、会社設立登記の書類と同じA4で作成するのが一般的です。
また、払い込み内容が記載されているページは、ひと目で誰がいくら払い込んだかがわかるよう、発起人の名前と金額にマーカーで印をつけておくとよいでしょう。

4.払込証明書を作成

資本金の払い込みが終わったら、次は「払込証明書」を作成します。

払込証明書は、発起人から会社に対して資本金が確かに払い込まれたということを代表取締役が証明する書類です。

必要な項目は7つ

払込証明書に必要な項目は次の7つです。

  1. 払い込みがあった金額の総額
  2. 払い込みがあった株数
  3. 1株あたりの払い込み金額
  4. 日付
  5. 本店所在地
  6. 会社名(商号)
  7. 代表取締役の氏名

払込証明書の書き方

「払い込みがあった金額の総額」「払い込みがあった株数」は定款に記載したとおりの数字を書きます。
「1株あたりの払い込み金額」は「払い込みがあった金額の総額」を「払い込みがあった株数」で割った数字を書きます。
「日付」は、資本金が払い込まれた最も遅い日付を書きます。
「本店所在地」「会社名(商号)」は設立に決めたものを書きます。

具体的には次のように書きます。

払い込みがあった金額の総額 400万円
払い込みがあった株数 400株
1株あたりの払い込み金額 1万円

平成xx年4月1日
(本店) 東京都〇〇区〇〇1丁目1番地
(商号) 株式会社〇〇

代表取締役 〇〇 太郎

会社代表者印を2か所押印する

払込証明書に必要な7つの項目に加え、会社代表者印を2か所押印する必要があります。

押印する場所は、

  • 払込証明書の左上に1つ
  • 代表取締役氏名の右側に1つ

となります。

左上の代表印は「捨印」(すていん)といって、押印してあれば、作成した書類に誤りがあった場合でも作り直しをせずに書類を直接訂正することができるようになります。
払込証明書は、後で通帳のコピーと一緒に綴じることになりますから、捨印を押印する際には、捨印が隠れてしまわないよう用紙の端から少し余裕をもたせて押印するようにしましょう。

5.払込証明書と通帳のコピーを綴じる

最後に、払込証明書と通帳のコピーを綴ります。

綴る順番は決まっている

綴る順番には決まりがあります。

上から順番に、

  1. 払込証明書
  2. 通帳コピー(表紙)
  3. 通帳コピー(表紙裏)
  4. 通帳コピー(振り込み内容が記載されているページ)

となるように綴りましょう。

ページの境目に代表者印を押印する

綴った各ページの境目に代表者印を押印します。
1の裏面と2の表面、2の裏面と3の表面、3の裏面と4の表面の3か所です。
綴る際には、代表者印の押印を考えて綴り込むようにしましょう。

資本金払込手続きでの注意点

資本金の払込手続きで注意すべき点が2つあります。

払い込み手続きのタイミングに注意

1つ目は「手続きのタイミング」です。

ご紹介した「発起人の口座に資本金を振り込む」以降の手続きは、必ず定款認証日と同じ、またはそれ以降の日付になるようにしなければなりません。
資本金の払い込み日が定款認証日よりも前になっていると、会社法の規定に反することになり、法務局に登記書類を受理してもらえない可能性があるからです。

会社代表者印に注意

2つ目は「会社代表者印」です。

会社代表者印は代表取締役の個人の実印ではありません。
会社代表者印は「会社の実印」のことです。

払込証明書に押印する2つの印のうち代表取締役氏名の右側に押印するのは、代表取締役の個人の実印ではなく「会社の実印」である会社代表者印であることに注意しましょう。

まとめ

会社設立に伴う資本金の払い込みについてご紹介してきました。

資本金の払い込み手続きは、会社設立登記に必要な書類の1つである「払込証明書」を作成するための重要な手続きになります。
それぞれの内容をよく理解し、会社設立登記の際に間違いのないよう確実に処理していきましょう。

この記事が、これから会社を設立し資本金を払い込むことをお考えの方の参考になれば幸いです。

【無料相談】創業融資・会社設立・税務顧問・助成金代行 etc
【無料相談】創業融資・会社設立・顧問・助成金 etc