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会社設立のメリットは数多くありますが、大まかにいうと
- 社会的信用度の向上
- 節税
の2つです。
この記事では上記2つだけでなく、会社設立のさまざまなメリットについて解説していきます。
また、
- 株式会社と合同会社の違い
- 最低限把握しておくべき会社設立のリスク
などにも触れていますので、会社設立を検討されている方はぜひ最後までお読みください。
会社設立の8つのメリット
それでは、会社設立のメリットを知っていきましょう。会社設立には、以下の8つのメリットがあります。
- 社会的信用度が高くなる
- 所得が高ければ節税になる
- 資金調達しやすくなる
- 良い人材を集めやすくなる
- 個人の責任が有限になる
- 事業継承しやすくなる
- 決算日を自由に決められる
- 相続税がかからない
1.社会的信用度が高くなる
会社の経営者は個人事業主よりも社会的信用度が高くなります。
これは、単に「会社を経営している」というイメージだけが原因ではありません。会社設立には個人事業主の開業よりも複雑な手間とコストがかかるため、事業への本気度が高いと見なされやすいからです。
2.所得が高ければ節税になる
会社設立のメリット2つ目は、所得が高ければ節税になるということです。
例えば、
- 個人事業主の所得税…最大税率45%
- 会社の法人税…最大税率23.2%
と、最大税率でも大きな差があります。
さらに、会社の方が経費に算入できる範囲が大きく、ある程度所得が高くなると、会社設立をした方がかなりお得と言えるでしょう。具体的には、所得500万円ほどから法人成りを視野に入れる個人事業主が増えてきます。
3.資金調達しやすくなる
会社設立の際には「資本金」という運転資金を用意する必要があるため、事業がうまくいかないときも、個人事業主より会社の方が返済は滞りにくい傾向にあります。
そのため、個人事業主よりも金融機関や投資家から融資を受けやすくなるでしょう。
4.良い人材を集めやすくなる
社会的信用度の高さは、人材募集の際にも関わってきます。
長く安定して勤められる職場を探している求職者の立場からすると、資本金の額が明確で、資金調達もしやすい会社の方が「安定している」と見えやすいのは当然と言えるでしょう。
5.個人の責任が有限になる
個人事業主の場合、事業が失敗した場合の責任は全て本人が負わなければいけません。廃業時に負債があれば、全額返済する義務があります。
一方、会社の場合は社長であっても責任は有限です。会社が負債を持って倒産した時も、有限責任の役員や社員は出資した金額を失うだけで済みます。倒産時のリスク回避ができるのも、会社設立のメリットと言えるでしょう。
6.事業継承しやすくなる
個人事業主の法律上の扱いは、あくまでも「事業を行なっている個人」です。
そのため、創始者が引退するときなど事業継承したい場合には、事業を贈与・売買・相続などの形で引き継ぐことになります。
一方、会社の場合、経営者と会社は別々のものです。社長が退任し、次の社長が就任するという手続きだけで事業継承ができます。
もちろん、このような手続きには役員や株主の承認が必要ですが、事業自体を贈与や売買するよりもはるかにスムーズです。
7.決算日を自由に決められる
個人事業主の事業年度は、毎年1月1日~12月31日と決まっています。
一方、会社の事業年度は会社設立時に自由に設定することが可能です。
そのため、資金繰りに余裕がある時期に設定したり、繁忙期を避けて決算業務がしやすい時期に設定したりと、自社にとって有利に決算を行うことができるのです。
8.相続税がかからない
個人事業を相続するとき、事業が多くの財産を持っている場合は多額の相続税が課せられます。
しかし、事業を法人化して会社設立しておけば、財産は法人所有のものとなり相続税がかかりません。
これは、最初の項目で解説した「会社は法律上、人として扱われる組織」ということがポイントになります。会社は法人格を持っているため財産を所有でき、相続税の対策にもなるのです。
株式会社と合同会社の違い
現在設立できる一般的な会社の形式には、「株式会社」と「合同会社」があり、それぞれ特徴が異なります。
株式会社
株式会社の特徴は、株を発行して資金調達を行うことです。そのため、大規模な資金調達も可能です。会社設立の手続きは合同会社より複雑なため、社会的信用度も高い傾向にあります。
また、当然ですが株式上場できるのは株式会社のみです。いずれ会社の規模を拡大し、上場企業を目指したいなら会社設立の際は株式会社を選びましょう。
合同会社
合同会社とは、株式を発行せず社員が出資しあって設立する会社です。
そのため事業規模は小さくなりがちですが、株式会社に比べて経営の自由度が高いのが合同会社のメリットです。例えば、1人で合同会社設立をする場合、完全に自分の考えだけで会社の意思決定ができます。
なお、複数人で出資して起業する場合も、出資額に関わらず利益の分配は等分です。出資額は低いものの、貢献度の高いメンバーがいる場合などは合同会社設立が適しています。
最低限把握しておくべき会社設立のリスク
会社設立にはたくさんのメリットがありますが、もちろんリスクもあります。
会社設立のマイナス面についても、知っておきましょう。
設立・運営・廃止に費用がかかる
株式会社設立には25万円ほど必要ですが、個人事業の開業なら0円です。
また、会社設立をすると税務や保険関係の手続きが複雑になるため、税理士や社労士に依頼する費用もかかります。
さらに、会社を廃止するときにも、解散手続きや官報広告費用に8万円ほどの費用がかかることを知っておきましょう。
社会保険料の負担がある
会社設立をすると、社会保険への加入が義務になります。
経営者だけではなく、社員や条件に当てはまるパートやアルバイトも全員加入させる必要があり、さらに保険料の半額を会社が支払います。
そのため、従業員が多い場合には保険料の負担だけで大きな出費になります。会社設立の際は、社会保険料の負担まで計算に入れておきましょう。
赤字でも税金を支払う必要がある
会社設立をすると、赤字の場合も住民税の均等割を最低7万円の支払いが発生します。
また、こちらは個人事業主も共通ですが、消費税は前々年度の売上高に対して課税されるため、急激に業績が悪化した場合などは消費税負担が重くなってしまうこともあります。
会社設立するかどうかの決め手は?
- すでに個人事業を営んでおり、今後も事業拡大の見込みがある
- 節税できる額が会社設立費用やランニングコストを上回っている
- まとまった事業資金が必要である(例:新規事業を開始したいときなど)
上記のような場合は、会社設立をするメリットが大きいと言えるでしょう。
逆に言えば、これら以外の場合は無理をして会社設立する必要はありません。
まとめ
会社設立の大きなメリットは、社会的信用度が高くなること、法人税の適用で節税ができることです。
個人事業主にはないルールが課せられるなど、自由度が下がる部分もありますが、自分の事業を大きく成長させたいなら会社設立を検討する価値は十分にあるでしょう。
また、会社設立には事業継承や相続など、次の世代に事業を残しやすいというメリットもあります。メリットとリスクをしっかり比較して、事業を発展させる方法を考えてみてください。
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。