起業家必見!積極的な日本政策金融公庫による融資のイロハ

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日本政策金融公庫には豊富な種類の融資制度があり、中には一度廃業したにも関わらず再挑戦するための融資制度も用意されているほどです。
制度によっては融資限度額が億を超える規模であるのも特徴の1つです。
今回は、日本政策金融公庫の融資の種類についてまとめてみました。

1. 日本政策金融公庫の融資の種類

https://www.jfc.go.jp/

日本政策金融公庫による創業に向けての融資には、大きく分けて2種類の大枠があります。
1つは「国民生活事業」の「新企業育成貸付」の枠であり、もう1つは「中小企業事業」の「新企業育成貸付」の枠です。
それぞれの大枠の中にいろいろな融資制度が設けられています。

国民生活事業では、短期の運転資金も取り扱っているのに対して、中小企業事業では、短期ではなく長期事業資金のみ取り扱っています。
返済期間は全ての融資において「設備資金」が据置期間2年以内を含めて20年以内、「運転資金」が据置期間2年以内を含めて7年以内とされています。

2. 国民生活事業としての新企業育成貸付

国民生活事業の融資対象は、主に個人や小規模レベルの会社であり、およそ700万円を平均として融資が行われています。
融資限度額は最大7,200万円に至り、その中で運転資金が最大4,800万円として含まれます。
新企業育成貸付の枠の中には5種類の融資制度があります。

2-1. 新規開業資金

融資を受けるには、雇用を新たに生み出すような事業や、現在企業に勤めておりこれから起業しようとする場合、勤務先の業種と同じ業種で事業を始めようとすることなど、一定の条件が必要です。

但し、新規開業資金からの融資額全てが1,000万円以内の場合には、融資を受けるための一定条件を既に満たす扱いとされます。
また資金の用途は、起業時における必要な資金に限られます。

2-2. 女性、若者/シニア起業家支援資金

女性あるいは35歳未満の若い人、55歳以上のシニアが、起業あるいは起業後およそ7年以内であることが融資を受けるための条件となります。
資金の用途は起業時における必要な資金に限られます。

2-3. 再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)

起業を行う人の中には、事業経験が全くないという方も多数いらっしゃいます。
例えばかつて事業を営んでおり、何らかの理由で廃業に至った人が再度起業を行うケースもあります。
再挑戦支援資金は、起業予定あるいは起業後およそ7年以内であり、廃業歴を持つ個人もしくは廃業歴を持つ人が経営である法人を対象にしています。

廃業歴では、廃業がやむを得ないものであり、廃業時の負債がこれからの新事業に影響を与えないレベルでの処理予定もしくは処理であったことが申請の条件として求められます。
尚、資金の用途は、起業時における必要な設備資金や運転資金に限られます。

2-4. 新事業活動促進資金

新事業活動促進資金を受けるには、次のいずれかに該当する必要があります。

■以下の承認もしくは認定を受けた事業者であること

  • 経営革新計画の承認
  • 新連携計画の認定
  • 農商工等連携事業計画の認定
  • 地域産業資源活用事業計画の認定
  • 地域産業資源活用支援事業計画の認定
  • 経営力向上計画の認定

■「中小企業等経営強化法」によって中小企業等の経営強化に関する基本方針がいろいろと定められている中での新たな取組みを行うことで、それに伴って発生する付加価値額が2年間で4%以上の伸び率の見込みがあること

■事業でモノやサービスを生み出す上での技術やノウハウなどが新規であることが認められること

■既に事業を行っている経営者の経営多角化、新規事業への転換を図っていること、もしくは事業転換してからおよそ5年以内であること

技術やノウハウに新規性が見られることや、経営多角化や新規事業への転換を図っていることが条件ですが、これらについては事業者の主観的な判断ではなく、第三者の客観的な判断に基づいて申請することが大切です。

資金の用途は、起業後に「申請時での条件に基づいた事業」を遂行するために必要な設備資金や運転資金に限られます。

例えば経営多角化で申請した場合には、経営多角化を遂行するために必要な運転資金であり、技術に新規性が見られる条件で申請した場合には、新規の技術に必要な設備資金がそれに該当します。

2-5. 中小企業経営力強化資金

融資を受けるには、新事業の分野において新たに市場を創って開拓することが条件となります。
そのために自ら事業計画を策定して、経営革新や、分野が異なる他の中小企業と連携することが前提とされています。

その際、中小企業等経営強化法に定められている経営革新等認定支援機関によるアドバイスを受けていることが必須となります。
尚、資金の用途は、市場の創出や開拓のために必要とする資金に限られます。

3. 中小企業事業としての新企業育成貸付

中小企業事業での融資は、主に中小企業を対象におよそ1億円を平均として行われています。
中小企業事業には5種類の制度があります。
ほとんどの融資において、直接貸付の融資限度額は7億2,000万円となっています。

そのうち運転資金は最大2億5,000万円として含まれます。
資金の用途は、条件に該当する事業者が事業計画を遂行するために必要とする設備資金及び長期運転資金に限られます。

3-1. 新事業育成資金

新事業育成資金では次の条件を全て満たす事業者が対象となります。

■事業立ち上げ後およそ7年以内であること

■融資を受けた後に日本政策金融公庫の中小企業事業から継続的に、経営における課題及びそのアドバイスを受け続けること

■中小企業事業からの指導で事業を問題なく継続させることができ、次のいずれかに該当する事業者であること

  • 成長新事業育成審査会において事業の新規性と成長性の認定を受けた方。
  • 投資事業有限責任組合から出資を受けた方。
  • 中小企業技術革新制度利用後の特定補助金の交付により開発した技術や、業界では未使用の知的財産権により新事業で一定の売上が見込める方。

融資限度額は他の融資と異なり、直接貸付として最大6億円を受けることができます。
返済期間は、「設備資金」が据置期間5年以内を含めて20年以内、「運転資金」が据置期間2年以内を含めて7年以内となります。

3-2. 女性、若者/シニア起業家支援資金

女性あるいは35歳未満の若い人、55歳以上のシニアが、起業あるいは起業後およそ7年以内であることが融資を受けるための条件となります。
資金の用途としての設備資金には、開発費などにより資産計上される資金も含まれます。
融資が代理貸付の場合では、融資限度額が1億2,000万円となります。

3-3. 再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)

再挑戦支援資金の融資は国民生活事業同様に、中小企業事業においても起業予定あるいは起業後およそ7年以内であり、廃業歴を持つ個人もしくは廃業歴を持つ人が経営する法人を対象にしています。
そして廃業がやむを得ないものであり、廃業時の負債の処理の規模が新事業に影響を与えないレベルであることも国民生活事業同様です。

3-4. 新事業活動促進資金

新事業活動促進資金を受けるには、次のいずれかに該当する必要があります。

■以下の承認もしくは認定を受けた事業者であること

  • 経営革新計画の承認
  • 異分野連携新事業分野開拓計画の認定
  • 農商工等連携事業計画の認定
  • 経営力向上計画の認定
  • 地域産業資源活用事業計画の認定

■「中小企業等経営強化法」によって中小企業等の経営強化に関する基本方針がいろいろと定められている中での新たな取組みを行うことで、それに伴って発生する付加価値額が2年間で4%以上の伸び率の見込みがあること(国民生活事業と同じ条件)

■既に事業を行っている方の経営多角化、新規事業への転換を図っていること、もしくは事業転換してからおよそ5年以内であること

資金の用途は、経営多角化や新規事業への転換を図るための事業遂行の場合には、既存の事業の全て、もしくは一部分を廃業するための資金や廃業に伴う債務の返済資金が含まれます。
融資が代理貸付の場合、最大1億2,000万円となります。

3-5. 中小企業経営力強化資金

融資を受けるには、国民生活事業の場合と同様に、新事業の分野において新たに市場を創って開拓することが条件となります。
自ら事業計画を策定し、経営革新を行い、異分野の中小企業と連携した上で中小企業等経営強化法に定められている経営革新等認定支援機関による指導を受けていることです。

別の条件としては、事業計画書を策定し、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用、もしくは適用予定である事業者が該当します。

4. まとめ

日本政策金融公庫の国民生活事業及び中小企業事業では、雇用創出、市場開拓、斬新なアイデア、市場開拓の見込みのある事業を融資の対象としており、その中においては廃業からの再挑戦の応援のための融資も含まれています。

特に中小企業事業では、認定支援機関との連携を条件にしています。審査に通ると高額融資を受けられるのが特徴です。
このようにたくさんの創業融資や起業家向けに資金調達の方法が用意されています。

自分がどれに該当するか判断が難しい場合は、日本政策金融公庫もしくはお近くの創業融資の専門家に問い合わせるとよいでしょう。

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