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会社を設立するには、法人登記という法務局への登録が必須です。
この記事では、
- 法人登記(会社登記)とは
- 申請完了までにかかる日数と費用
- 申請までにするべきこと
- 申請手順
- 必要書類
- 申請方法
- 申請後にするべきこと
- 登記内容を変更する際にすること
など、法人登記について押さえておくべきポイントを詳しく解説いたします。
法人登記(会社登記)とは
法人登記とは、会社の情報を法務局へ登録することです。
法人登記をしていなければ、会社として認められません。
また、会社として長い年月を経ていくうちに、情報の追加や修正も出てきます。言い換えると「会社の履歴書」とも言えるでしょう。
申請完了までにかかる日数と費用
法人登記は、登記申請より1週間から10日程度で完了します。
法務局の混み具合にもよりますが、申請手続自体にはあまり時間はかかりません。どちらかと言うと、申請書提出のために書類を揃えることに時間がかかります。
また、法人登記手続には、最低でも登録免許税の15万円が必要です。
その名の通り税金の一種ではありますが、実際のところは登録免許税にかかる印紙代です。なお、登記後に謄本を取得したり、登記申請に必要な印鑑証明書を交付したりする費用は別途かかります。
申請までにするべきこと
法人登記を行うには、申請書とともにさまざまな書類を添付して一緒に提出しなければなりません。
印鑑証明や会社の定款など、準備しなければいけないものは多岐にわたります。法人登記までの流れは、以下の通りです。
- 会社概要を決定する
- 事業目的を明確にする
- 法人実印を作成する
- 印鑑証明書を発行する
- 定款(ていかん)を作成する
- 資本金を払い込む
1.会社概要を決定する
商号(社名)、本店所在地、発起人、事業目的(事業内容)、資本金、取締役、取締役会と監査役の有無、事業年度など、会社の概要を決めます。
2.事業目的を明確にする
設立後、どのような事業を行うのかを決めます。適法で明確でなければなりません。
3.法人実印を作成する
会社の「法人実印」がなければ、今後の手続きを行うことができません。このとき、銀行印や社印、ゴム印も一緒に作っておくと便利です。
4.印鑑証明書を発行する
会社の設立には印鑑証明書が必要となるので、事前に取得しておくのがベストです。
発起人と設立時の取締役の分が必要となりますが、取締役会を置く場合は代表取締役の分のみで構いません。
5.定款(ていかん)を作成する
定款には「絶対的記載事項」を明記する必要がありますが、それ以外については決まりがありません。
絶対的記載事項は次の5つです。
- 目的
- 商号(社名)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額または最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
この定款は、公証役場で認証されれば有効になります。公証役場で必要な費用は、認証費用(5万円)と謄本交付手数料(250円/枚)です。
6.資本金を払い込む
定款の認証を受けたら、出資金を銀行口座(発起人の個人口座)に振り込みます。
振り込んだあとは、下記3つのコピーを取り、「払込証明書」を作成します。
- 通帳の表紙
- 表紙をめくった、名義や番号が書かれているページ
- 出資金の入金が記帳されているページ
払込証明書に実印を押せば完了です。なお、このとき捨て印を押しておけば、万が一修正があったときに便利です。
申請手順
準備ができたら、法人登記を行います。ここでは、自身で行う場合の手順を紹介します。
1.必要書類と登記申請書を用意する
必要となる書類は次の8つです。
- 設立登記申請書
- 定款
- 登録免許税納付用台紙
- 発起人決定書(発起人が複数の場合は発起人会議事録)
- 代表取締役等の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 出資金の払込証明書
2.管轄の法務局へ登記申請する
本店の所在地の管轄法務局へ登記申請します。書類に不備がなければ、申請より1週間から10日程度で登記が完了します。
また、代表取締役が行うのが原則ですが、自分で難しい場合は、司法書士などの専門家に代行依頼しても構いません。
必要書類
登記に必要な書類は、「必ず提出する書類」と「必要に応じて提出する書類」の2種類があります。
必ず提出する書類
必ず提出する書類は以下の通りです。
設立登記申請書
設立登記申請書は、法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページよりテンプレートをダウンロードすることができます。
定款(謄本)
作成済みの定款の謄本が1部必要となります。
登録免許税納付用台紙
「登録免許税納付用台紙」とは、登録免許税分の収入印紙を貼り付ける台紙です。株式会社の登録免許税は資本金額の0.7%で、15万円に満たないときは、登記申請1件につき15万円になります。
なお、収入印紙は郵便局などで購入できます。
発起人決定書(発起人議事録)
会社の発起人が、商号や本店の場所などを決定した旨を記載した書面のことです。定款で本店所在地を最少行政区画までしか定めていなかった場合、以降を含む住所の詳細はこの発起人決定書で示します。
また、定款で「代表取締役を株主総会で選定する」としている場合、代表取締役の氏名をこの発起人決定書に記載し、代表取締役が誰であるかを明白にします。
代表取締役の就任承諾書/取締役の就任承諾書
代表取締役・取締役への就任を承諾したことを証明する書類です。取締役が1名だけで代表取締役と兼務している場合は、代表取締役の就任承諾書は不要です。
取締役の印鑑証明書
定款を作成し、認証を受けたときに取得した印鑑証明書と同じものとなります。取締役が複数であれば全員分の取得が必要ですが、取締役会を設置している場合は代表取締役のみで構いません。
印鑑届書
法人実印の届け出を行うために必要な書類です。
出資金の払込証明書
出資金の払込証明書の表紙には「払込証明書」であることを記載し、次の必要事項を記入の上、法人実印を押します。
- 払込金の総額
- 設立時の発行株式数
- 日付
- 本店所在地
- 商号など
また、このとき必ず各ページに割印をしておきましょう。
必要に応じて提出する書類
必要に応じて提出する書類は以下の通りです。
監査役の就任承諾書
監査役を設置する場合、監査役への就任を承諾したことを証明する書類として必要となります。
登記すべき事項を記録・保存した記録媒体(CD-Rなど)
申請書の記載項目のうち、登記すべき項目については、申請書の記載の代わりにCD-Rなどの記録媒体に保存して提出することができます。
その際、CD-Rなどが申請書の一部となるため、別途プリントアウトする必要はありません。
申請方法
申請方法は全部で4種類あります。
1.オンライン
法務局が用意している登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から、オンラインで登記を行います。
2.郵送
管轄法務局あてに記入した書類一式を郵送して登記申請する方法です。郵送方法の指定はありませんが、できれば簡易書留や特定記録など、届いたことが確実に分かる方法が良いでしょう。
3.法務局の窓口
直接法務局の管轄窓口へ、会社登記(法人登記)に必要な書類とデータ一式を提出します。
4.会社設立代行業者に依頼
費用はかかりますが専門家なので不備なく進めてもらうことができます。
申請後にするべきこと
登記の申請を提出し、その後必要となる手続きには大きく分けて以下の3つがあります。
登記事項証明書(登記簿謄本)の取得
税務署に法人設立届出書を提出する際に一緒に提出する書類として必要です。また銀行へ法人口座を開く際にも必要です。
印鑑証明書の取得
銀行に口座を開設するために必要です。また借り入れの契約等にも必要となります。担保を設定する場合にも必要です。
社会保険事務所への届け出
法人は社会保険へ加入しなければなりません。そのため、社会保険の新規適用届を提出します。
登記内容を変更する際にすること
会社を運営していくうちに、事業拡大のため参入業種が増えていったり、オフィスを移転したりすることも珍しくありません。
そのような場合は、必ず登記内容を変更する手続きをしなければいけません。これを「変更登記」と言います。
例えば会社の名称が変わったときや本店所在地を移転した時のほか、代表取締役の住所が変わったとき、事業目的が変わったときなどもあげられます。忘れずに変更登記をしてください。
まとめ
会社設立において、法人登記(会社登記)は必須の手続きです。
しかし、自力でやろうとすると、必要書類の準備など手間がかかることも多いでしょう。
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。