開業資金ゼロで起業ができる?答えは「職種を選んだり融資を活用したりすれば可能」。注意点も合わせて解説

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近年「開業資金0円で起業」という言葉がネットで見受けられます。

結論から言うと、職種を選んだり、融資を活用したりすることによっては開業資金ゼロで起業はできますが、ほとんどのケースでオススメはできません

この記事では、

  • そもそも開業資金とは何か?
  • 開業資金ゼロで起業できる職種や受けられる融資とは?
  • なぜ開業資金ゼロの起業はほとんどのケースでオススメできないのか?
  • 開業資金はいくらあればいいのか?
  • 開業資金はどのように作ればいいのか?
  • 開業資金があっても融資を受けられない典型的な5つのパターン

といった項目について解説していきます。

そもそも開業資金とは何か?

そもそも、開業資金にはどのようなものがあるのでしょうか。大きく分けると二つあり、創業時の資金事業継続の資金です。

1.創業時の資金(設備資金)

  • 店舗物件の保証金等
  • 机・椅子などの備品
  • 厨房周りの設備(飲食店であれば)
  • 移動車(店舗なしの場合の販売車や営業用の車)

などがあります。

2.事業継続の資金(運転資金)

  • 人件費(従業員の給与)
  • 事務所や店舗の水道光熱費
  • 集客のための広告費

などがあります。

職種によって金額の差はあれど、起業をしようと思えばそれなり資金が必要となります。

開業資金ゼロで起業できる職種や受けられる融資とは?

先に説明した通り、起業にはそれなりの開業資金が必要です。

ただし、ネットビジネス(アフェリエイト)や代行サービスの場合、店舗型のビジネス(例:飲食店、美容室etc)に比べ初期費用がほとんどかかりません。

経営者の人件費やネット使用料を加味すると厳密には開業資金ゼロとはいえませんが、すでにプライベートで利用している回線等を使用すれば「開業資金は実質ゼロで起業することも可能」と言えるでしょう

また、創業融資制度の中には開業資金(自己資金)ゼロでも受けられるものが存在します。代表的なのが以下の4つの制度です。

  • 新創業融資制度(日本政策金融公庫)
  • 中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)
  • 挑戦支援資本強化特例制度(日本政策金融公庫)
  • 制度融資(信用保証協会制度融資)

ただし、いずれの制度もそれぞれ条件があり、誰でも融資を受けられるわけではありません。詳細は下記記事をご覧ください。

(関連記事)
自己資金がなくとも起業は可能!自己資金ゼロでも受けられる4つの創業融資制度とは

このように、開業資金ゼロでの起業は職種を選んだり融資制度を活用したりすれば、可能ではあります。

なぜ開業資金ゼロの起業はほとんどのケースでオススメできないのか?

理由は2つです。

1つ目は先に説明した通り、運転資金などがゼロだと経営が安定しない(リスクが大き過ぎる)からです。また、店舗型ビジネスの場合、設備資金にかけられるお金がなければそもそも起業すらできません。

2つ目は融資に通りにくくなるからです。先ほど「開業資金(自己資金)ゼロでも受けられる融資がある」とお伝えしましたが、「すでにその職種で経験がある」などそれぞれ条件があります。

また、前提としては融資は自己資金が多ければ多いほど受けやすくなる傾向にあります。

そのため、アフィリエイトなど今ある手元の設備や環境で始められるネットビジネス等以外は、ほとんどのケースでオススメできません

開業資金はいくらあればいいのか?

では、開業資金はいくらあればいいのでしょうか。必要な金額は職種によってあまりに差が大きいため一概に答えることはできません。

開業資金の目安や調達については、基本的に以下の考え方で進めていくといいでしょう。

  1. 開業資金を計算する
  2. 開業資金の30%を自己資金として貯める
  3. 残りを融資で調達する

ここからは平均的な飲食店を例に挙げて説明していきます。

例えば、

  • 店舗物件の保証金(家賃30万円×10か月分):300万円
  • 設備関係の費用:500万円

というケースの場合、全体で800万円が開業できる資金の目安です。

日本政策金融公庫の創業者向けの融資の場合、融資の条件として開業資金のうち自己資金を10〜30%ほど求められます。

そのため、このケースでいうと80万〜240万円の自己資金を事前に用意し、残りの580〜720万円を融資で調達するのが現実的でしょう。

オススメは30%の自己資金を保有しておくことです。これくらいの余裕があると、事業が始まってから起こる予想外の出来事にも対応できますし、融資も受けやすくなるからです。

なお、開業資金の計算方法や業種ごとの目安、開業費の範囲などの詳細については下記記事をご覧ください。

(関連記事1)
開業資金の平均はいくら?会社設立や業種別に必要な費用を紹介!

(関連記事2)
開業費とは?【開業費の費用となる範囲は?】

開業資金(自己資金)をどのように作ればいいのか?

一番いい方法は貯蓄

当たり前の結論になってしまいますが、自己資金として確実に認められるのは貯蓄です。

給料からの天引きで振り込みをすれば、履歴としても認められます。「貯蓄なんて……、とおっしゃる方もいるかと思いますが、毎月8万円貯めると2年で200万円ちかくの自己資金が貯まります。自分で起業しようと思っていらっしゃる方は、ぜひコツコツと自己資金を積み上げていきましょう。

また、タンス預金をしている方は、なるべく早めに銀行振り込みにするようにしましょう。たとえ自己資金であっても、客観的に説明できないものは対象にならない場合があるからです。

借りたお金はNG

開業資金の中でも自己資金には「返済義務の無い資金」という定義があるため、親族や知り合いから借りたお金は認められません。カードローンで借りて一時的に金額を作って通帳にいれても同じことです。

審査では通帳のコピーを提出するため、多額の資金の流れに対しては面談の場でどのような経緯なのかを確認されます。

贈与はケースバイケース

贈与は自己資金に当てはまる場合と当てはまらない場合があります。

例えば、単に数百万円を親から贈与してもらったとします。担当の審査官から聞かれた際に、通帳に記載があり贈与だと答えても、証明ができなければ自己資産として認めてもらえません

自己資金は返済義務がなく、すべてが事業に使える資金であることが重要です。そのため、贈与がある場合は金額の大小をとわず贈与契約書を作成しましょう

開業資金があっても融資を受けられない典型的な5つのパターン

「開業資金のうち30%は自己資金で用意した方がいい」とお伝えしてきましたが、自己資金があっても融資の審査に落ちる場合があります。

審査落ちをすると金融機関に履歴が残り、最低でも半年間は融資を受けることが難しくなります。ここからは自己資金はあるにも関わらず融資を受けられない典型的な5つのパターンを紹介していきます。

1.融資希望額が妥当ではない

何かあっては困るからと、何も考えずに借入可能な額まで申請するのはやめましょう。

審査の面談時には、なぜこの金額を申請したか、またこの資金をどのように利用するのかといった使い道まで問われます。根拠のない融資希望額では「無駄に資金を流用される恐れがある」と判断され審査が通らない場合があります。

2.事業計画書・返済計画の妥当ではない

事業計画書を作成する時に、売上見込みを過大評価をして記載する方がいます

妥当な事業計画ではないと融資は受けられません。まだ起業されていない方であれば、同業他社の売上を参考にしてみましょう。説明のつかない計画書や回答は審査落ちの対象となります。

3.面談での態度がよくない

面談時の対応を、審査官は見ています。

この経営者は本当に返済する意欲があるか、もしくは事業を成功しようとする意欲はあるを見極めています。事業計画書や返済計画の妥当性にも言えることですが、資金をいかに効果的に使えるか、売上に反映できるかは重要になります。

4.ローン等の滞納・延滞履歴がある

住宅ローンの滞納、クレジットカードの未払い・延滞がひどい場合、信用情報機関のリストに登録されます。

既に払って完済していても数年間は履歴に残るため注意が必要です。常日頃から小さな支払いでもきっちりおこないましょう。

5. 事業分野の経験がない、もしくは浅い

新規事業を行うにあたり、事業主の実績を確認されます。

特に日本政策金融公庫は、新規事業への融資をするため、実績の無い法人に融資を行うことになります。そのため、事業主が前職においてその分野でのノウハウを持っているのか、経験があるのかを問います。

おまけ:実績はないが融資を得る方法のひとつ「フランチャイズ」

カフェを経営したいが実績もなく融資が得られるかわからないという方には、フランチャイズという選択肢もあります。

フランチャイズとは、フランチャイズ本部(フランチャイザー)とフランチャイズ加盟者(フランチャイジー)が契約を結び、加盟金やロイヤリティーといった対価を支払う代わりに、ブランドの看板やノウハウを提供してもらい経営することです。

加盟金は開業時に支払う必要があり、ロイヤリティーは売上や利益の〇%といった契約で月々支払う形態が一般的です。提供されるノウハウは、運営方法、仕入れ、人材育成方法など多岐にわたり、新規参入でも経営ができるようになっています。

フランチャイズの業種形態は、コンビニ、塾、エステ、マッサージ、カフェなどさまざまです。

例えば、経験のまったくない人が「カフェを始めます」といっても融資実行は難しいでしょう。

一方、フランチャイズであれば加盟金とロイヤリティという必要経費が発生するものの、経験に代わる本部のサポートを得られることが可能です。こうしたノウハウや看板が本部から提供されるため、融資の審査を通過しやすい傾向にあります。

まとめ

職種を選んだり、融資を活用したりすれば、開業資金(自己資金)ゼロでの起業も不可能ではありません

ただ、ほとんどのケースではそれなりの開業資金が必要になってくるでしょう。まずは、開業に必要な金額を計算し、そのうちの30%までは自己資金を貯めることを目標にしてみてはいかがでしょうか?

また、例え自己資金が十分あったとしても、融資の審査に落ちてしまうケースもあります。

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