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会社を辞めて独立を考えているけど、何から始めたらいいのか分からないと思っている人も多いのではないでしょうか。
その中でも特に頭を悩ませるのがお金の問題ですよね。
資金はどれくらい必要なのか、足りない場合はどうしたらいいのか、考え出したらきりがありません。
そこで今回は、起業をするにあたって最低限必要なお金と、資金調達の方法についてご紹介したいと思います。
起業には2つの意味がある
まずは起業の意味について確認していきましょう。
起業は、「業」を「起」こすと書くことから、一般的には法人を設立することをイメージする人が多いかもしれませんが、会社設立以外にも方法があります。
それは、個人事業主として創業するという方法です。
法人を設立するためには資金が必要になりますが、個人事業主として活動すれば、自宅をオフィスとして利用することも可能ですし、開業するにあたって資金をかけない方法を選択することも可能です。
起業にはこの2つの方法があることを踏まえた上で、どちらの方法を希望するのかを考えることからはじめてみましょう。
もし、法人を設立するなら初期費用が必要ですし、初期費用をかけずにスタートさせたいのであれば個人事業主という方法があります。
どちらを選ぶかにしても、費用以外で大事なポイントがあります。
それは起業の目的を明確にするという点です。
起業の目的を明確にする
あなたが起業をしようと思ったきっかけは何ですか?
やりたいことが明確にあり、それを実現させるためには、法人と個人のどちらなら可能なのかを改めて考える必要があります。
それを導き出す資料となるのが事業計画書です。
達成したいビジョンや事業の概要など実現したいものを明確にしていくことで、法人の方が望ましいのか、それとも個人事業主の方がいいのかが見えてきます。
事業計画書は将来目指すところを示す、大事な地図のような役割になるので、時間をかけて作っていきましょう。
この事業計画書がなければ、どこに進んでいいのか道に迷ってしまうことになります。
「事業計画書 テンプレート」で検索すると無料で配布しているサイトも多数あるので、利用してみても良いのではないでしょうか。
起業に必要な資金とは
漠然と「資金が足りない」と悩むのではなく、事業計画を立てればどのくらいの資金が必要なのかも明確になります。
まずはどんな事業をやりたいのか、事業計画書を作成することからはじめてみましょう。
事業内容に目を向けていくと、具体的にやりたいことが明確になってきます。
起業のためには計画や準備は必要不可欠!
資金調達の前にやらなければいけないこと!と言っても過言ではありません。
それは、事業内容によって必要な資金の額が変わってくるためです。
資金がなくてもスタートできるビジネスモデルもあれば、ある程度まとまった費用が必要なケースもあります。
事業内容によって必要な資金が変わってくる
個人事業主の場合は、初期費用をかけずにスタートさせることができます。
しかし、法人の場合はどれくらい資金が必要なのでしょうか。
ここからは具体的な金額について考えてみたいと思います。
起業に必要な資金には、
- 設備資金
- 運転資金
- 会社設立費用
- 税金
があります。
設備資金とは、事務所を借りるための不動産の初期費用や、パソコン、電話、そして机などの事務用品です。
とにかく小さなオフィスで最小限で始めるのか、ある程度設備を整えてスタートさせるのかによっても、大きく変わってきます。
事業計画書を作成しながら、オフィスの規模や最低限必要な備品と消耗品のリストを作成すると、よりイメージが膨らむかもしれません。
運転資金とは、事業を継続するために毎月必要な資金のことで、人件費や広告費、消耗品費などを指します。
更に、会社を設立するための実費(10万円~25万円前後)と、後々には税金(法人住民税均等割)を支払わなければいけません。
年末までの売り上げが赤字か黒字かで変わってきますが、税金の支払いも頭に入れておきましょう。
起業当初は何があるか分からないので、2~3か月分の生活費も確保する必要があります。
資金調達の具体的な方法4つ
事業計画を考えながら、具体的に必要な資金の額を計算します。
ここからは、資金調達の具体的な方法について見ていきましょう。
資金調達には主に4つの方法があります。
民間金融機関からの創業融資
住宅や自動車ローンのように、金融機関には目的に応じた融資の商品があります。
事業用の低金利のカードローンや、起業支援のための融資といったさまざまな商品があります。
創業融資を受ける際には、自己資金の有無と返済能力、資金使途や起業する人物の今までの経験、信用能力などがチェックされます。
融資を受ける際には、どの方法を選んだとしても事業計画書はその事業を金融機関に説明する大事な資料となるので、綿密な計画が必要になります。
クラウドファンディング
金融機関では厳しい審査があるのに対して、ビジネスに対する熱い思いをあなたの言葉で発信してお金を集められるのがクラウドファンディングです。
発信することに自信があるなら、より多くの人に賛同してもらい短期間で資金を集めることができます。
また、ビジネスに対する注目度も同時に得られるので広告効果も得られます。
しかしありきたりなビジネスモデルや、心を動かす発信力がなければ調達金額はゼロになる可能性もあるので、利用は慎重に検討するべきです。
補助金・助成金
公的な支援として、補助金や助成金を申請する方法もおすすめです。
厚生労働省・経済産業省・中小企業庁などが管轄し、不定期に募集を行っています。
地方自治体でもさまざまな創業支援に向けての取り組みを行っているので、HPをチェックして情報収集をしてみましょう。
日本政策金融公庫からの創業支援
財務省が管轄する日本政策金融公庫では、創業支援のトータルサポートを実施しています。
日本政策金融公庫では、連帯保証人が不要で無担保保証で融資を受けることができます。
全国の6大都市(札幌、仙台、東京(新宿)、名古屋、大阪、福岡)には、ビジネスサポートプラザを設置し創業に関することを無料で相談が可能です。
事前予約制なので予約をして相談してみてはいかがでしょうか。
参考:日本政策金融公庫
資金調達の鍵は事業計画書
資金調達には、いろいろな方法があります。
しかし、どの方法を選んだとしても事前準備なしに資金調達は不可能です。
どんな準備が必要なのかというと、何度もご紹介していきましたが起業の全体像を説明する事業計画書です。
事業計画書の中身を見て、審査に通るかどうかも変わってきますし、伝え方によってはクラウドファンディングで共感を得られるかどうかも変わってくるものです。
時間をかけて誰が見ても事業内容に共感してもらえるように、作りこむことが重要です。
事業計画書が完成に近づき、必要な資金も把握できれば、自己資金の確保も同時に行います。
これは、当面の生活費としても必要になってくるためです。
事業計画書を見なくても、あなたが実現したいと思うプランが話せるように何度も作り直しては修正を繰り返し、確実なビジネスプランを作り上げましょう。
この事業計画書を作り上げることが、後の資金調達の重要なカギになってきます。
まとめ
資金はなくても、起業することは十分可能です。
でもそのためには、個人で活動するかそれとも法人なのかを選択し、まずは何をやりたいのかに目を向けて事業計画書を作成することからはじめてみましょう。
資金調達の方法はたくさんあるので、あなたの事業にあったものを選んで審査を受けてみてください。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。