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はじめまして!ハートランド税理士法人の児島です。
ハートランド税理士法人に転職して、早くも2ヶ月が経ちました。
私の経歴をざっくり紹介しておくと、
- 2019年3月:甲南大学経営学部卒業
- 2019年4月:日本生命保険相互会社入社(営業職)
- 2020年9月:ハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)入社
となります。日本生命相互会社では、担当企業の個人を対象に、主に新規開拓と既契約顧客への訪問営業(生命保険・損害保険)に従事していました。具体的な業務内容は、見積書・提案書の作成、契約・保険金請求など諸手続きの書類の準備や申請などです。
中でも、訪問から得られた最新情報をもとに、顧客の現状に寄り添った対応や、アフターフォローサービスの充実には力を入れ、結果として年間予算達成率120%を達成できたときは本当に嬉しかったです。
この記事では
- 転職のきっかけ、入社の決め手
- 税理士事務所の業務内容
- 営業職の私がまったく畑違いの税理士事務所に入社して感じたこと
- 就職する際の税理士事務所の選び方
などをみなさんにお伝えしたいと思います。
- 「税理士事務所(会計事務所)で働いてみたい」と思っている
- 「そもそも税理士事務所(会計事務所)って何してるの?」と気になっている
- 「資格無しの未経験者、女性、若手でも活躍できるのか心配」と不安な気持ちがある
といった方々は、ぜひ参考にしてみてください。
転職のきっかけは人材会社からの紹介
私が転職した最初のきっかけは、人材会社からの紹介です。
以前から「税理士になりたい、税理士事務所で働きたい」という想いはあったものの、当時の私は資格も自信もなく、転職することに対してとても不安がありました。そのことを人材会社の方に相談したところ、
「大阪に若くてとても面白い税理士事務所がある」
と紹介してもらったのが、ハートランド税理士法人(当時はハートランド会計事務所)でした。
その後の面談で、ハートランドの社員の方に不安な気持ちを正直に打ち明けたところ、親身になって相談に乗ってくださり、2週間のインターンシップをさせていただけることになりました。
インターンシップを終えて、税理士事務所の仕事内容をイメージすることができると同時に、改めて「この業界で働きたい」という想いが強くなったのを覚えています。
また、ハートランド税理士法人の皆さんの仕事に対する意識の高さや、お客様をとても大切に想われている姿勢に魅力を感じ、「私もこのような監査担当者になりたい」と思ったのが入社の決め手です。
20〜30代若手、女性、未経験者でも活躍できる!税理士事務所で働いて感じたギャップ
税理士事務所とは、税理士や公認会計士などの有資格者が、法人・個人の税金の相談、各種税務申告業務、記帳代行といった税務・会計に関するサービスを提供する事業所です。
そんな税理士事務所で私が実際に働いてみて感じたギャップは、大きくわけて以下の2つです。
1.女性も活躍中!若年層も働きやすい環境
働く前は、
- 堅くて真面目なおじさん
- 難易度が高い
- 頭が良くて知識が豊富
- コミュニケーションは苦手
そんな人たちが、緊張感の漂う雰囲気の中で、朝早くから夜遅くまで一日中パソコンや電卓と向き合ってひたすら作業をしている、そんなイメージを持っていました。
しかし、ハートランド税理士法人はそんな私のイメージとまったく違っていました。
オフィスは清潔感があり、音楽も流れているのでリラックスして仕事ができる環境。男女比は、男性7:女性3くらいで予想よりも多くの女性が活躍されています。
また、年齢層は20代~40代まで満遍なく在籍しており(税理士事務所の中では全体的にかなり若いそうです)、スタッフの方々はとても親しみやすく、一つ一つ丁寧に業務を教えてくださり「親切・丁寧・誠実」まさにそんな印象です。
さらに、仕事熱心な方が多く、若くて優秀な人の隣で働けるのは、他ではなかなか経験できないことだと感じました。
2.業界経験年数が浅い人でも、実力次第で活躍できる
「税理士事務所は難易度が高く、キャリアを積まないと採用されない」
漠然とそんなイメージを持っていましたが、未経験者を歓迎している場合もあることを知り驚きました。
また、事務所の方針にもよって異なると思いますが、ハートランド税理士法人では業界経験年数が浅い人でも仕事をしながら知識をつけることで、顧問先を獲得することが可能です。
例えば、下記は開業して6年目のハートランド税理士法人で働く方々の業界経験年数と顧問先数の一覧です。
業界経験年数 | 勤務年数 | 顧問先数 |
19年目 | 2年5ヶ月 | 25社 |
10年目 | 1年3ヶ月 | 35社 |
9年目 | 1年9ヶ月 | 30社 |
5年目 | 2年5ヶ月 | 32社 |
4年目 | 4年目 | 24社 |
3年目 | 3年目 | 14社 |
3年目 | 1ヶ月 | 4社 |
事務所全体の平均では、勤務年数2年、顧問先数22.4社です。
もちろん、税理士事務所(会計事務所)を開設するには代表となる税理士の登録は必須です。
ただ、税理士事務所の業務は多岐にわたるため(詳しくは後述)、税務の専門知識がない方でも活躍できる領域があります。
このようにハートランド税理士法人では、経験年数に関係なく実力次第で活躍できる環境が用意されています。
税理士事務所の主な業務は「顧問サービス」と「税務申告書の作成」
次に、税理士事務所の業務内容についてです。
税理士事務所の主な業務は顧問サービスと税務申告書の作成の2つにわけられます。
1.顧問サービス
顧問サービスとは、顧問契約を結ぶことで、毎月(または年間で)の日常的な経理業務のサポートや、年間を通じて情報や経営状況を把握・分析し、お客様の税務・会計の管理、節税対策などの税務に関するアドバイスを行うことです。
2.税務申告書の作成
税務申告書とは、決算書を基に作成し、税金を計算するための書類です。
決算時に作成する税務申告書の種類はいくつかあります。以下にその種類をまとめました。
所得税確定申告書
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日までの間)に所得のあった人が、所得税と復興特別所得税の額を「申告納税」する、また納め過ぎた所得税と復興特別所得税の「還付申告」をする手続きのことです。
確定申告の期間は、基本的に毎年2月16日から3月15日までとなっています。
法人税申告書
法人税とは、利潤を追求する法人(株式会社、合同会社等)が事業によって得た所得に対して課される税金です。
法人税申告書は、「法人税を正確な会計帳簿とそれに基づいて作成された決算書を用いて計算するための書類」です。原則決算日以後2ヶ月以内に、所属する納税地を管轄している税務署に提出します。
消費税申告書
消費税申告書とは、納税義務者が、消費者から預かっている消費税や、仕入や経費などで支払った消費税を集計し、決められた計算方法に基づいて消費税の納税額を確定させるための書類です。
法人の場合は決算日以後2ヶ月以内、個人事業主の場合は翌年3月末までに所属する納税地を管轄している税務署に提出します。
法定調書
法定調書とは、「特定の支払い(給料、賃金、歳費、賞与、退職手当など)をした事業者が、その年度の支払いの明細を記載して税務署に提出することが法律に定められている書類」のことです。
税務署は支払いを受けた人(給与や報酬を受けた人)が、受けた支払いについてきちんと申告しているかどうかを、照らし合わせるために利用します。法定調書は、原則として翌年1月31日が提出期限となっています。
給与支払報告書
給与支払報告書とは、「従業員に給与を支払った場合、給与を支払った事業所が従業員の住んでいる市区町村に提出する書類」のことです。
給与支払報告書の提出によって、住民税が決定します。原則前年1月1日時点で在籍している従業員全員分の書類を作成し、1月31日までに提出する必要があります。
償却資産税に関する申告書
償却資産税とは、会社が事業のために使っている固定資産のうち、償却資産(土地及び家屋以外の資産)に該当する資産にかかる税金をいいます。
償却資産申告書は、「償却資産を所有する人が、毎年1月1日現在に所有する事業用償却資産について、その内容を償却資産が所在する市町村に提出する書類」のことです。
源泉徴収税額集計、源泉所得税の納付書
源泉徴収税額とは、事業者が従業員に給与等を支払う際に、予め差し引く所得税のことです。
源泉所得税の納付書は、事業者が源泉徴収した所得税を従業員に代わって、国に納めるための書類です。納付期限は原則として、給与等を実際に支払った月の翌月10日です。
ただし、従業員が10人未満である小規模な事業者には、源泉所得税の納期の特例が設けられています。この納期の特例の適用をすれば、源泉所得税の納税が1月~6月の所得税は7月10日までに、7月~12月の所得税は翌年の1月20日までにと、年2回に分けて納付することができるため、事務負担が大きく軽減されます。
年末調整に必要な書類
年末調整とは、従業員が1年間に納めるべき所得税と、従業員の毎月の給料から差し引かれた所得税を比較して正しい税額に調整するための作業のことです。
具体的には、毎年末に1年間の所得が確定した時点で所得税を算出し、納付した源泉徴収額との差額を翌月分の給料で調整します。
自分にあった事務所を見つけよう!各税理士事務所によって異なる得意分野
税理士事務所は本来の業務以外にも提供するサービスが多岐に渡るため、事務所ごとにさまざまな得意分野を持っています。
以下にその得意分野の種類をまとめました。
1.創業支援・資金調達
会社の設立から開業までに必要な手続きのサポートや、資金調達の場合に金融機関に提出するための事業計画書・決算書などの作成についてアドバイスを行います。
なお、創業支援と資金調達は、ハートランド税理士法人がもっとも得意とする分野です。
2.税務調査対応
税務調査の時に、クライアント(納税者)と一緒に立会いを行い、税務署職員に対して、説明や主張等を行います。
3.相続税や贈与税の対策
相続税や贈与税を考慮した対策や納税資金の準備、争族を回避するための総合的な対策を行います。
4.特定の業種に特化したサポート
クリニックや建設業、美容院やカフェなど、特定の業種に特化して総合的な支援を行います。
5.経営管理・経営指導
経営状況を数字の面から分析し、経営計画の策定や実行のサポートを通じて、業績向上の総合的な支援を行います。
6.事業承継・M&A・IPO
事業承継、M&A、IPO等のような会社にとって大きな出来事に際して、企業価値の算定やリスク分析を通して、ベストな判断ができるように支援を行います。
以上、各税理士事務所が持つ6つの得意分野についてご紹介しました。
「これから税理士事務所で働きたい」と思っている方は、まず応募する前に、その税理士事務所がどのような特徴を持っているのかを理解しておきましょう。
実際に働く方々に質問!税理士事務所のやりがい、苦労したこと、求められる能力とは?
ここからは、実際に働くスタッフの方々の声と、私自身が実際に働いてみて感じたことを、
- やりがいを感じた出来事
- 入社してから一番苦労したこと
- 働くうえで求められる能力
の3つにわけて紹介していきます。
やりがいを感じた出来事
皆さんの声
・クライアントからの大きな調達依頼に応えたとき。難易度の高い業務で調達出来ると、自分自身もそうだがクライアントにも喜んでもらえる。(30代男性/役員)
・気持ちに寄り添ったとき。解決策を提示するよりも、共感が大事だと気づかされた。(30代女性/監査担当者)
・とんでもない状態(領収書等がグチャグチャ)の資料を整理し返却までの作業をしたとき(30代女性/入力担当者)
・他社で融資することができないと言われた方、融資ができないと言われていた業種の方の支援をすることができたとき。(30代男性/役員)
・倒産しそうな顧問先の話をしっかりと聞いて、倒産しないように支援をしているとき。(30代男性/監査担当者)
私が感じたこと
税理士事務所で働くなかで感じたやりがいは、経営者の役に立てることだと思います。
経営者とは顧問契約をするため、契約が継続する限り長期的なビジネスパートナーとして経営の問題や悩みを抱える経営者を身近で応援することができます。
今回のインターンシップでは、顧問契約をしている経営者との月次面談に同席させていただき、実際に月次決算から会計上・税務上・経営上の問題点を発見・指摘し、改善策の提案をされている姿を見学しました。
その場で、悩み事や今後の展望などを監査担当者に真剣に相談されている経営者を見て、経営者にとって監査担当者はとても頼りにされている存在だと感じました。
入社してから一番苦労したこと
皆さんの声
・全く顧問先の無い状況からの市場開拓と顧問先の獲得。最初の獲得までが大変でした。(30代男性/役員)
・以前に別の税理士事務所に勤めていたものの、担当を持ったのは初めて。担当としてどのような能力を求められているかを考え、身につけていく作業に苦労している。(30代男性/監査担当者)
・この業界は際限なく常に覚えることがあるが、取り組む順序を考えて常にスピード感を持って出来ることを増やし続ける必要があると思う。(30代男性/監査担当者)
・入社当初、会計業務についての質問などの対応ができずに苦労した。今も複雑な話などには苦労している。(30代男性/役員)
私が感じたこと
税務についての知識が全くないため、税理士事務所の具体的な業務内容や年間スケジュールを把握するのが大変でした。
税務会計に関連する資格を持っている方は、事前にある程度知識が身に付いているため仕事を進める際に役立つかと思います。
ただ、ハートランドのスタッフの皆様は、全く知識がなくても一から丁寧に教えて下さるので業界未経験者でも安心して業務に取り組むことができると思います。
働くうえで求められる能力
皆さんの声
・仕事に対して積極性と責任を持つこと。(30代男性/監査担当者)
・お客様の要望を聞き出し、具体的な提案をするコミュニケーション能力が求められているように思います。(30代男性/監査担当者)
・自分らしく、誠意をもって取り組む姿勢。(30代女性/入力担当者)
・コミュニケーション能力、自己成長力(40代男性/監査担当者・人材育成)
・一緒に働くメンバーを大事にするマインド。生涯自己研鑽を貫く覚悟。コミュニケーション力。マネジメント力。(30代男性/役員)
・知る学ぶことで自分への能力向上、マンネリの仕事はしないパートの立場でも求められる人材であること。(30代女性/入力担当者)
・やる気、元気、気合い(20代男性/監査担当者)
・会社、仲間、顧客のことを考えて自発的に行動できる能力(30代男性/監査担当者)
私が感じたこと
年齢や経験問わず常に学び続けるという姿勢が重要だと思います。
税制改正の度に新しい税制を覚える必要があり、担当するお客様に対しても業界や経営について税務に直結しない分野も知識を付けることが必要です。
そのため、資格試験の勉強によって専門的知識を習得するだけでなく、日々の経済状況や顧客ニーズの変化に対応出来るように、視野を広げ、様々な分野について学び続ける姿勢が最も重要だと思います。
ハートランド税理士法人が向いている人・向いていない人は?
入社から2ヶ月が経過し、私なりに「ハートランド税理士法人に向いている人、向いていない人」がぼんやりとわかってきました。
ハートランド税理士法人が向いている人
一緒に働くメンバーを大切にできる人だと思います。
ハートランドは、一緒に働く仲間を思いやる気持ちがとても強い職場です。
ルールをしっかり守り、助け合いながら業務を遂行していくことによって、お客様への経営サポートをより一層充実させることができ、達成感を得ることで事務所も個人も成長することができると思います。
ハートランド税理士法人が向いていない人
コミュニケーションを取ることが苦手な人だと思います。
税理士事務所と聞くとずっと事務所にこもってパソコンや電卓と向き合っているイメージがあると思います。
しかし、実際の業務はコミュニケーションを取りながら進めます。社内に限らず、顧問先や様々な専門家と接触する業務も多くあるので、コミュニケーションを取ることが苦手な人にはオススメできません。
まとめ
税理士事務所は専門的な分野で活躍するには高いスキルが求められますが、基本的な仕事なら就職後に教わってできることも多く、未経験者でも就職は可能です。
もちろん、資格を持っていると就職時に評価されるだけではなく、基礎知識が身に付いているため仕事を進める際にも役立ちます。
ただ、就職してからの頑張り次第で、その差は十分埋めることができるでしょう。
また、職場を選ぶ際には、税理士事務所によって得意分野が異なることを理解したうえで、
- 自分が興味のある業務に携われるのか
- 求めている能力・知識を身につけることが可能か
といった視点も忘れないようにしましょう。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。