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2020年に続き全国各地で発令された緊急事態宣言。
その影響を受けた事業者は、飲食店をはじめ多岐にわたります。そんな事業者への支援策として、経済産業省では「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金(以下、一時支援金)」の実施を発表しました。
この記事では、
- 制度の概要
- 対象者
- 給付額(支援額)
- 必要書類
- 申請方法・申請手順
- 申請期限・今後のスケジュール
など、一時支援金について現時点(2021年3月6日)でわかっている内容をまとめてみました。
制度の概要
「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」の概要は以下の通りです。
2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により、売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者等の皆様に、「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金(以下「一時支援金」という。)」を給付いたします。
この支援策では、持続化給付金や家賃支援給付金とは異なり、申請者が事業を実施しているのか、給付対象等を理解しているか等について「登録確認機関」が事前確認します。
登録確認機関は、認定経営革新等支援機関、それに準ずる機関等から募集し、事前確認をおこなう機関として認められたものに限られます。具体的には、以下のような機関・職種が登録確認機関として審査に携わります。
1.認定経営革新等支援機関
中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた税理士、中小企業診断士、行政書士など
【参考】
・中小企業庁「経営革新等支援機関認定一覧について」
2.認定経営革新等支援機関に準ずる機関
- 商工会/商工会連合会
- 商工会議所
- 農業協同組合/農業協同組合連合会
- 漁業協同組合/漁業協同組合連合会
- 預金取扱金融機関
- 中小企業団体中央会
3.上記を除く機関又は資格を有する者
- 税理士
- 税理士法人
- 中小企業診断士
- 公認会計士
- 監査法人
- 行政書士
- 行政書士法人
対象者
対象者は以下の2つの条件を満たす中小法人等もしくは個人事業主等です。
<条件1>
緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業又は外出自粛等の影響を受けた事業者は対象となり得る。
(飲食店時短営業又は外出自粛等の影響を示す証拠書類の保存が必要です。申請時に提出は不要ですが、求められた場合は提出してください。)<条件2>
2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少した事業者
ただし、上記2つの条件には以下の注釈がつきます。
注1:「飲食店時短営業又は外出自粛等の影響」とは、緊急事態宣言の再発令に伴い、緊急事態宣言の発令地域(以下「宣言地域」という。)の飲食店と直接・間接の取引があること、又は、宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたことを指します。
注2:給付要件を満たす事業者であれば、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます。なお、店舗単位ではなく、事業者単位の給付となります。
注3:一方、 宣言地域に所在する事業者であっても、給付要件を満たさなければ給付対象とはなりません。なお、宣言地域には、同緊急事態宣言が一度発令され、その後解除された地域も含みます。
注4:飲食店の時短営業又は不要不急の外出・移動の自粛以外の理由であれば、売上が50%以上減少していても対象外です。
注5:都道府県から時短営業の要請に伴う協力金を受給している飲食店は、一時支援金と重複受給できません。
最低限押さえておくべきポイントは以下の3つです。
- 緊急事態宣言地域の発令地域で営業、もしくは発令地域の事業者と取引していること
- 緊急事態宣言による影響で2019年もしくは2020年の同月と比べて売上が50%以上減少していること
- 飲食店時短営業協力金を受給していないこと
具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 対象範囲内…東京都で東京都の業者と取引している飲食店
- 対象範囲内…東京都で島根県の業者と取引している飲食店
- 対象範囲内…島根県で東京都の業者と取引している飲食店
- 対象範囲外…島根県で島根県の業者と取引している飲食店
- 対象範囲外…東京都で東京都の業者と取引しており、すでに「飲食店時短営業協力金」を受給している飲食店
- 対象範囲外…東京都で東京都の業者と取引しているリモートワークのツール販売業者
給付額(支援額)
給付額の計算式は、
- 前年又は前々年の対象期間(1〜3月)の合計売上 ー 2021年の対象月の売上×3
です。また、具体的な金額は、
- 中小法人等:上限60万円
- 個人事業主等:上限30万円
となります。
必要書類
例えば、以下のような証拠書類の提出が必要となります。
なお、比較する対象年を2019年、2020年どちらにする場合でも、2年間分の確定申告書は必要です。
- 2019年及び2020年の確定申告書
- 2021年の対象月(1〜3月のいずれか)の売上台帳
- 宣誓・同意書
- 通帳(ネット銀行の場合、銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認可能なページ)
- 取引先一覧
- 個人事業主の場合…本人確認書類、法人の場合…履歴事項全部証明書
また、これ以外にも「保存すべき証拠書類等」があり、こちらは提出不要です。ただし、提出を求められた場合は提出する必要があります。
具体的には、飲食店の営業許可証、営業時間を示す書類・写真、顧客事業者の基本情報などが「保存すべき証拠書類等」に該当します。
そのほか、書類ではないものの「事業確認通知番号」も必要です。
申請方法・申請方法
申請方法は原則オンラインで、申請手順は以下の通りです。
- 登録確認機関での事前確認に必要な書類を準備する。
- 一時支援金事務局のホームページでアカウント登録する。
- 登録確認機関で事前確認を受ける。
- 一時支援金事務局のホームページのマイページにて必要事項を入力し、証拠書類を添付し申請する。
なお、オンラインでの申請が困難な方向けに、申請内容の入力のサポート会場も設置されています(下記URL参照)。この点は持続化給付金や家賃支援給付金と同様です。
【参考】
・一時支援金ホームページ
・一時支援金申請会場一覧
申請期間
申請期間は2021年3月8日〜5月31日までです。
ただし、特例を用いる場合の申請期間は2021年3月19日〜5月31日までです。
まとめ
一時支援金の手続きでは、持続化給付金ではなかった「登録確認機関」による面談・審査があります。これは、持続化給付金の詐欺事件などを受けての対策と言えるでしょう。
ただ、自身が条件を満たしており、しっかりと書類を用意すれば、何も恐れる必要はありません。
もし、一時支援金以外にも、給付金や補助金、助成金やコロナ関連の融資等でお困りのことがあれば、ぜひ私たちハートランド税理士法人にご相談ください。あなたの資金繰りを徹底的にサポートさせていただきます。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。