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近年、コロナ禍の影響で自宅を事務所としてリモートワークに従事する人が増えています。
自宅を事務所にする最大のメリットは起業の初期費用やランニングコストを抑えることができる点です。
一方で、場合によっては住宅控除ローンを受けられなくなる等の注意点もあります。
今回の記事は、
- 自宅兼事務所とは
- 自宅兼事務所のメリット
- 自宅兼事務所のデメリット
- 自宅を事務所にする際の注意点
について詳しく解説していきます。
自宅兼事務所とは
自宅兼事務所とは、その名の通り「自宅の一部を事務所として使用すること」です。
登記上も会社法上でも、仕事場とする事務所の住所をどこにするかは事業主に裁量があります。
プログラマーなど、インターネット環境とパソコンがあれば仕事できる職種の場合、自宅を事務所として使う人も多くいます。
次の章以降では、「自宅兼事務所のメリット・デメリット」そして「注意点」について解説していきます。
自宅兼事務所のメリット
ここからは、自宅兼事務所にすることで得られるメリットについて解説していきます。
起業の初期費用やランニングコストを抑えることができる
賃貸で新しく事務所を借りて起業する場合、敷金・礼金・保証金などの初期費用がかかってくる上に月々の家賃も発生してしまいます。
自宅兼事務所であれば、こうした費用は一切かかりません。初期費用やランニングコストを大幅に節約することができます。
家事按分を活用できる
自宅兼事務所の家賃や水道光熱費など、支出が生活費と事業用の双方が混ざったものである場合、事業で使用した分のみを経費に計上できます。これが「家事按分(かじあんぶん)」です。
家事按分では、かかった費用のうちの何%事業として使用しているかを基準に客観的にみて判断します。
具体的な項目など、家事按分の詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
【関連】【税理士が解説】家事按分とは?判断のポイントや主な経費の計算方法について
通勤時間を節約できる
自宅兼事務所であれば通勤は不要のため、通勤時間や交通費を節約できます。
さらに、節約することができた時間を仕事にもプライベートにも使うことができます。
家事や育児、介護など、プライベートのスケジュールが組みやすくなる
自宅兼事務所の場合、決まった時間に出勤する必要がないため、プライベートのスケジュールが組みやすくなります。
例えば、お子さんのいるご家庭の場合、お子さんを保育園に迎えにいく時間に合わせて仕事をすることができます。また、保育園の預け先が見つからなくても自宅で面倒を見ながら仕事をすることができるのもメリットのひとつです。
介護を必要とする家族がいる場合も、自宅で介護をすることができるため、受け入れ先やホームヘルパーが見つからないからという理由だけで仕事を辞める必要もありません。
自宅兼事務所のデメリット
自宅兼事務所にはメリットが多い一方、デメリットがまったく無いわけではありません。
ここからは、自宅で働く場合のデメリットについて解説していきます。
プライバシーが確保しづらい
仕事とプライベートが混在しているということは、プライバシーの確保がしづらいということでもあります。
例えば、名刺やホームページに記載する住所から必然的に自宅を特定されてしまうのはデメリットと言えるでしょう。
また、ご家族の方と一緒に住んでいる場合、事業主が不在時に来客があると、対応はご家族の誰かがしなければいけません。ご家族の理解を得る必要があります。
会社や事業の信用度が低くみられやすい
自宅兼事務所は、一般的に会社や事業としての信用度が低くみられやすい傾向にあります。
自宅とは別に事務所を借りている方が「ビジネスが軌道に乗っており、事務所を借りられるだけの資金がある」という印象を与えやすいでしょう。
業種や取引先などを加味したうえで、自宅以外で事務所を持つことも検討した方が良いでしょう。
自宅を事務所にする際の注意点
自宅を事務所にする際には、以下の点は最低限注意してください。
賃貸の場合は契約内容を確認する
自宅が賃貸の場合、契約で事務所使用を禁止されていることがあります。
そのため、事前に契約書の内容をしっかり確認してください。
確認後、事務所として利用可能だと判明した場合、後々のトラブルを避けるためにも不動産会社や大家さんには必ず確認し許可を取りましょう。契約書を確認しても利用可能か判断しずらい場合は、勝手に判断せずに一度相談してみることをおすすめします。
向いていない職種もある
自宅兼事務所に向いていない(物理的にできない)職種もあります。
例えば、
- 店舗が必要な職種(飲食店など)
- 商品や在庫を抱える職種
- 顧客の訪問が頻繁にある職種
などは向いていません。
また、臭いや騒音などにより他の住人に迷惑がかかる恐れのある職種は向いていませんし、許可されないケースがほとんどです。
逆に、顧客の訪問がほとんどなくリモートワークが可能な方には向いていると言えます。
住宅ローン控除が受けられなくなる恐れがある
以下の7つの条件を満たしていなければ、住宅ローン控除が受けられなくなるので注意が必要です。
- 10年以上の住宅ローンを組んでいること
- 1年間の合計所得が3,000万円以下であること
(※年間の収入から経費等を引いたもの) - 居住目的であること
- 購入した日から半年以内に入居しており、毎年12月31日まで住み続けていること
- 配偶者、親族などの身内から購入したものでないこと
- 住居の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること
- 中古物件の場合、築20年以内または、新耐震基準をクリアしていること
(マンションの場合は築25年以内)
特に、「住居の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること」という条件には引っかかりやすいため注意しましょう。
なお、家事按分を10%以下にすれば、住宅ローン控除は全額受けられます。
大阪で起業・会社設立ならハートランド税理士法人へお任せください
今回は自宅兼事務所のメリットとデメリット、注意点について解説しました。
自宅を事務所にすると、初期費用や通勤時間が節約できたり、家賃等の一部を経費計上できたりするというメリットがあります。
ただし、プライベートを確保しづらく、信用度が低くなりやすいというデメリットもあります。
また、物件の契約内容によっては制約がある場合もあります。契約を無視してしまうと、最悪の場合退去を命じられることもありますので注意しましょう。
大阪で起業・会社設立を考えている方や自宅兼事務所を検討している方がいましたら、ハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。