贈与税を税理士に手続きしてもらう費用は?申告が必要なケースと税理士に依頼するメリット3選も解説

<この記事は約 15 分で読めます>


「贈与の手続きを税理士に依頼するとどれくらいかかるの?」「贈与って110万円以内なら本当に申告不要?」そんな疑問を持っていませんか?

贈与や相続は一見シンプルに思えても、制度の違いや申告のルールを誤ると、思わぬ税負担を招くリスクがあります。

本記事では、以下の5つについて解説します。

  • 贈与税申告のための税理士依頼料金の相場
  • 贈与税と相続税の違い
  • 贈与税申告の流れ
  • 税理士に依頼するメリット3選
  • 遺贈の注意点

ぜひ最後までご覧ください。

贈与税申告のための税理士依頼料金の相場

贈与税の申告は、財産の評価や税額計算、書類の作成など煩雑な手続きが多く、専門的な知識が求められます。

そこで多くの人が税理士への依頼を検討しますが、その際に気になるのが費用の相場です。

税理士報酬には、

  • 基本料金
  • 追加料金

上記の2つが存在し、依頼内容や財産の内容によって変動します。

以下では、贈与税の申告にかかる税理士費用の内訳について解説します。

基本料金

贈与税の申告における税理士の基本料金は、一般的に3万円から10万円程度が相場とされています。

費用は依頼する税理士の経験や専門性、地域によって異なる場合がありますが、財産の種類や評価額が比較的単純であれば、上記の範囲内で対応してもらえることが多いです。

基本料金には、贈与税申告書の作成、税額の計算、提出代行といった一連の業務が含まれます。

ただし、相続時精算課税制度を利用する場合など、通常より手続きが複雑なケースでは、基本料金が高くなる傾向にあるため、事前の見積もり確認が重要です。

追加料金

基本料金に加えて発生するのが、財産評価の難易度や書類の作成件数に応じた追加料金です。

たとえば、不動産の評価や贈与が複数件に及ぶ場合、1件ごとに1万円から3万円の追加料金がかかることがあります。

また、書類の収集代行、面談対応、税務署への問い合わせ代行などを依頼した場合も、別途費用が発生します。

税理士によっては、報酬の内訳を明示せずに一括で請求する場合もあるため、依頼前には詳細な料金体系を確認し、納得した上で契約することが大切です。

贈与税と相続税の違い

贈与税と相続税は、どちらも財産を受け取る際に関わる税金ですが、課税されるタイミングや仕組み、控除の内容に大きな違いがあります。

相続税は被相続人が亡くなった際に発生する税金であるのに対し、贈与税は生存中に財産を無償で譲り受けた場合に課される税金です。

それぞれの制度を理解しておくことで、不要な税負担を回避し、スムーズな資産承継を進めることができます。

主な違いは以下のとおりです。

  • 課税のタイミング
  • 控除の仕組み
  • 申告期限

ここでは、両者の主な違いを詳しく解説します。

贈与税の場合

贈与税は、財産を無償で譲り渡した場合に課税される税金です。

原則として、1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えると、その超えた分に対して贈与税が課されます。

贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類があり、選択によって課税方法や計算の仕組みが異なります。

また、贈与は自発的な意思に基づくものであるため、財産の受け取り側も贈与契約の事実を認識し、税務署への申告が必要です。

これらの制度を理解せずに申告を怠ると、延滞税や加算税の対象となることがあるため注意が必要です。

相続税の場合

相続税は、被相続人の死亡により財産が相続された場合に課税される税金です。

課税の対象となるのは、預貯金、不動産、株式などすべての財産で、債務控除や各種の非課税枠(基礎控除など)を差し引いた後に税額が算出されます。

相続人の数や関係性によって控除額が変わるため、適切な財産評価と分割方法の検討が不可欠です。

また、相続税には申告期限があり、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行う必要があります。

期限内に申告しないと、税務署からの指摘や延滞税が課される可能性があります。

贈与税申告の流れ

贈与税の申告には、評価・計算・申告という一連の手続きが必要であり、各ステップにおいて税制の理解が求められます。

特に不動産や株式など評価が難しい資産を含む場合、正確な手続きが申告の成否を左右します。

以下では、贈与税の申告における具体的な流れを3つのステップに分けて解説します。

全体像をつかんだうえで、必要に応じて専門家のサポートを活用することが、正確かつスムーズな申告につながります。

  • 財産評価
  • 評価した財産額の合計額の計算
  • 贈与税額の計算

続いて、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

財産評価

贈与税の申告において最初に行うべき手続きは、贈与された財産の正確な評価です。

評価対象には現金や預貯金はもちろん、不動産、株式、車両、貴金属、美術品など多岐にわたる資産が含まれます。

特に不動産や非上場株式の評価には専門的な知識が求められ、国税庁が定める財産評価基本通達に基づいた手続きが必要です。

評価額が適切でなかった場合、税務署から指摘を受けたり、追加納税が発生するリスクもあるため、注意が必要です。

専門家に依頼すれば、評価に必要な資料の収集や適正価格の算出も代行してもらえるため、正確な申告と納税の第一歩となります。

まずは評価すべき財産の一覧を整理し、評価方法を把握することが重要です。

評価した財産額の合計額の計算

次に行うのが、評価した財産を合算し、贈与された金額の合計を算出する作業です。

ここでは、複数の財産を受け取った場合でも1年間の合計金額で判断される点がポイントです。

贈与税の基礎控除は年間110万円であるため、その金額を超える場合は課税対象となります。

たとえば、複数回に分けて贈与を受けた場合や、複数の贈与者から資産を受け取った場合も、すべてを合算して総額を算出しなければなりません。

控除額や非課税枠を正確に適用することで、納税額の過不足を防ぐことができます。

計算においては、評価額が正確であることが前提であり、控除の適用誤りがトラブルにつながることもあるため、慎重な確認が求められます。

贈与税額の計算

財産評価と合計額の算出が完了したら、いよいよ贈与税額の計算に移ります。

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類の課税方式があり、それぞれで計算方法が異なります。

一般的な暦年課税では、基礎控除額110万円を超えた金額に対して、累進課税に基づく税率が適用されます。

たとえば、贈与額が300万円であれば、110万円を差し引いた190万円が課税対象となり、税率に応じた贈与税が課されます。

一方で、相続時精算課税制度を選択している場合は、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円の控除と、2,500万円の特別控除が適用され、贈与税の額が異なってくるため制度の選択が重要です。

誤った税額計算は追徴課税や延滞税の原因となるため、計算結果は慎重に確認しましょう。

税理士に依頼するメリット3選

贈与税の申告は、財産の評価や控除の適用、税額の計算など、専門的な知識が求められる複雑な手続きです。

これらを自力で行うのは時間も手間もかかり、申告ミスが発生するリスクもあります。

こうした背景から、多くの人が税理士に申告を依頼することで、安心して手続きを進めています。

税理士へ依頼する主なメリットは以下の3点です。

  • 申告にかかる手間や時間を大幅に削減できる
  • 税務の専門家に相談することで節税につながる可能性がある
  • 手続きミスを防ぎ、税務調査のリスクを回避できる

それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

申告に関わる時間・手間を削減できる

贈与税の申告では、財産の評価や税額の計算、申告書の作成・提出など、複雑で煩雑な作業が多数発生します。

これらを個人で行おうとすると、正確な情報収集や法令の理解、必要書類の作成に多くの時間を要し、ミスのリスクも高まります。

税理士に依頼すれば、そうした作業の大部分を任せることができ、効率的に申告を進められます。

特に、会社経営者や多忙な方にとっては、専門家のサポートを受けることで本業に集中できるという大きな利点があります。

申告期限に余裕を持って対応できる点も、安心材料の一つです。

税金に関する相談をすることができる

税理士に依頼するもう一つのメリットは、税金に関するあらゆる疑問や不安を専門家に直接相談できる点です。

たとえば、どの課税方式を選択すべきか、どの財産が贈与税の対象になるのかといった判断に迷う場面でも、的確なアドバイスを受けることができます。

また、将来の相続を見据えた節税対策や、他の家族への贈与に関する戦略的な提案を受けることも可能です。

自身の状況に応じた最適な方法を検討するうえで、税理士の知識と経験は非常に有益です。

単なる書類作成にとどまらず、長期的な視点での財産管理に関しても、相談できる存在である点が大きな価値となります。

申告がスムーズにできる

税務申告に不慣れな人にとっては、必要書類の漏れや記入ミスなど、申告作業での小さな誤りが大きなトラブルの原因になることがあります。

特に贈与税は税務署の関心も高く、誤りがあると税務調査の対象となるリスクがあります。

税理士に依頼すれば、正確な申告書の作成から、提出に必要な書類の確認、さらには税務署からの問い合わせ対応まで一括で任せることが可能です。

万が一の税務調査においても、税理士が代理人として対応できるため、精神的な負担も軽減されます。

こうした一貫したサポートにより、スムーズかつ安心して申告手続きを完了させることができます。

贈与の注意点

贈与は相続対策として有効な手段の一つですが、適切に行わないと、かえって税負担が増えたり、想定外の問題が発生することがあります。

特に、贈与税と相続税の関係は複雑であり、制度の誤解や手続きの不備によって不利な扱いを受けるリスクもあります。

贈与に関する注意点として、次の3つが挙げられます。

  • 贈与税は相続税より税率が高く、税負担が大きくなることがある
  • 相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象になる
  • 税務署に「贈与」と認められない場合、申告が無効になる可能性がある

それぞれの注意点を把握し、計画的に贈与を進めましょう。

税負担が大きいこと

贈与は相続対策の一環として活用されますが、実際には贈与税の方が相続税より税率が高く設定されています。

特に、贈与金額が高額になる場合は累進課税により税率が大きく跳ね上がるため、想定よりも重い負担を強いられることがあります。

また、年間110万円の基礎控除を超える贈与についてはすべて課税対象となるため、頻繁な贈与を行うと累積的に税負担が増す可能性もあります。

相続税対策として贈与を行う際には、税率や控除の内容を事前に把握し、税理士と相談しながら適切な金額と時期を見極めることが重要です。

相続開始前3年以内の贈与は相続税扱いになってしまうこと

贈与を行っても、被相続人が死亡してからさかのぼって3年以内に行われた贈与については、相続税の課税対象として取り扱われます。

これは「相続税の課税逃れを防止する」ための制度であり、例外なく適用されます。

そのため、相続直前に慌てて贈与を行っても、結果として相続財産に加算され、相続税の計算に含まれることになります。

この規定を知らずに贈与を行うと、贈与税と相続税の両方で課税される可能性があり、想定以上の納税負担が発生することになります。

贈与を行う際は、時間的な余裕を持って計画することが必要不可欠です。

贈与と認められない場合もあること

贈与は、贈与者と受贈者の双方が贈与の意思を持ち、実際に財産の移転が行われることで成立します。

つまり、贈与の意思表示や契約書の作成、贈与財産の移転記録など、客観的に贈与の事実が確認できなければ、税務署から「真の贈与とは認められない」と判断されることがあります。

たとえば、親が子名義の口座にお金を預けていても、子がその存在を知らずに使っていない場合は、贈与が成立していないと見なされる可能性があります。

贈与契約書の作成や通帳・送金記録の保存など、証拠をしっかり整えておくことが大切です。

大阪・東京で相続税の計算・申告にお悩みの方はハートランド税理士法人へ

贈与税と相続税は、似ているようで大きく異なる税制度です。

どちらも家族に財産を渡す際に関係するものですが、適用されるルールや申告のタイミングが異なります。

特に、相続税の対象に含まれる「みなし贈与」などは誤解されやすく、知らず知らずのうちに申告漏れとなるケースもあります。

適切な手続きが行われていないと、後に税務署から指摘を受け、追徴課税のリスクが発生することもあるため注意が必要です。

専門家に相談することで、それぞれの制度の正しい使い分けや、税務上のリスクを回避するための提案を受けることができます。

ハートランド税理士法人では、贈与から相続まで一貫した対応が可能です。

贈与や相続について少しでも気になることがあれば、お電話・メール・LINEからいつでもお気軽にご相談ください。

【無料相談】創業融資・会社設立・税務顧問・助成金代行 etc
【無料相談】創業融資・会社設立・顧問・助成金 etc