法人設立時には、資本金の払い込みを証明する必要がありますよね。
払込証明書と、通常であれば金融機関の通帳コピーが必要です。
しかし、インターネットバンキングの場合、通帳のコピーはどうすればいいのでしょうか?
24時間365日いつでも使えて便利なインターネットバンキングですが、この点に関しては困ったという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
特に夜間や土日に作業をしていると、誰にも相談できず、焦ってしまうものですよね。
そこで、法人設立時によくあるインターネットバンキングで困った事例とその解決策についてご紹介したいと思います。
目次
法人設立にはさまざまな書類が必要
ご存知の方も多いかもしれませんが、法人を設立するためにはさまざまなステップを踏まなければいけません。
法人印を作ることからスタートし、定款の作成に定款認証、資本金を振り込み、いよいよ法人登記のための登記申請書類の作成に入ります。

登記申請のための書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙を貼り付けたA4用紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 取締役の就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込を証明する書類
- 印鑑届出書
- 登記すべきことを保存したCD-RかFD
法人設立にはこのように、さまざまな書類をひとつずつ準備しなければいけません。
銀行口座への資本金払込についての注意点
インターネットバンキング利用者が陥るポイントの前に、まずはどの銀行を利用しているかに関わらず払込に際しての注意点をお伝えします。

登記が完了するまでは法人名義の銀行口座が作れない
上記の書類を法務局に提出し、登記申請した日が会社設立の日となりますが、書類を提出し受理されてはじめて法人格を取得できるため、登記が完了しないと法人名義の銀行口座が作れません。
この順番を間違えてしまう人が多く、金融機関に法人名義の口座を作りに行って断られたというケースも少なくないのです。
法人を設立する場合には、まず印鑑と定款を作り、定款認証、資本金の払い込み、登記申請書の作成、提出という流れを辿ります。
縁起の良い日取りを選んで法人設立日を指定する場合には、逆算してスケジュールを考えなければいけません。
その分、法人名義の銀行口座を作れるのも後になってしまうことを頭に入れておきましょう。
資本金は法人口座ではなく発起人口座へ振り込む
上記の書類の中に、「9.資本金の払い込みを証明する書類」があります。
でも、法人名義の銀行口座は作れないので、どこに振り込んだらいいのでしょうか。
答えは簡単です。
発起人名義の銀行口座に振り込めばいいのです。
一人で起業する場合は、自分名義の銀行口座に入金する形になりますが、間違いではありません。
これが後に書類として必要になってくるので、発起人が誰かによって変わってきます。
本人なら入金で構いませんが、自分以外名義の銀行口座の場合は振り込みになるので注意しましょう。
口座残高をゼロにする必要はない
ひとりで起業する場合には、自分の銀行口座に資本金を入金する形になるので、一度ゼロにするべきか迷うものです。
リセットしておいた方が後で分かりやすいと考えるかもしれません。
しかし、法人登記の書類では資本金の振り込みがあった事実が必要なだけなので、銀行口座の残高は関係ありません。
難しい文言が並ぶ上、はじめて行うことばかりなので、「これはどうなのか?」と疑問に思うこともしばしばありますが、神経質にならなくても大丈夫です。
振込日は定款の認証後
口座の残高はそのままでいいことが分かった所で、次はいよいよ振り込みの段階に入ります。
発起人が一人の場合は預け入れでも問題ありませんが、複数いる場合には、誰が振り込んだのか記録に残す必要があるため、預け入れではなく振り込みにしなくてはいけません。
そして、ここでも大事になってくるのが振り込みをする日です。
いつでもいいのかというとそうではありません。
印鑑と定款を作り、公証役場で定款の認証をしてもらいます。
定款認証では、定款と定款の謄本、収入印紙と手数料そして、印鑑証明書を準備して予約を取って手続きに出向きます。
定款が無事に受理され、定款認証の手続きが終わってはじめて次のステップ、つまり資本金の振り込みができるのです。
定款認証前に振り込みを行うと新会社の資本金かどうかの判断がつかないため、混乱を避けるためにも定款認証後に振り込みを行うようにしましょう。
起業時にネット銀行を利用する場合のポイント
それでは、インターネットバンキングを利用する多くの人が陥る事例を見ていきましょう。
設立に向けては、分からないことだらけです。
ただしよくある事例をチェックしておけばミスを事前に防ぐことができるので、「自分は大丈夫」と思わずに念には念を入れて確認するようにしましょう。

ネット銀行において振り込みを証明するためには?
定款を認証してもらった後、銀行口座に資本金を振り込み、いよいよラストスパートに入ります。
しかし、インターネットバンキングではネットを介して取引を行うため、「資本金の払込を証明する書類」がわからなくなってしまう人が多数います。
資本金が書かれたページなのか、そもそもページを出力することはできるのか。
インターネットバンキングを利用している方で、残高を印刷した経験がある人はほとんどいないのではないでしょうか。
だからこそ、このトラップにはまってしまうのです。
金融機関なら「払込金保管証明書」を発行してもらうか、通帳の残高と表紙をコピーして払い込み証明書の表紙を作りホチキスで止めれば完成ですが、通帳の発行されていない金融機関の場合はいったいどうすればいいのでしょうか。
登記申請では、「資本金の払込を証明する書類」を求められています。
通常の金融機関と同じく、ネット銀行の通帳をコピーすれば解決します。
ネット銀行の通帳をコピーする方法
資本金の払い込みの証明とはつまり、どこの金融機関で誰の口座に何月何日に振り込みをされたのかを証明することです。
これらを網羅するためには、
- 金融機関の名前が分かるページ
- 口座名義人が分かるページ
- 口座番号が分かるページ
- いつ振り込みがあったのか、振込金額が分かるページ
これらの4つをインターネットバンキングのマイページから探し出し、それぞれ印刷します。
そしてホチキスで止めて通帳のコピーを提出するのと同じように、払い込み証明書を表紙にして留めれば完成です。
払い込み証明書の書式はありませんが、払込証明書とタイトルをつけ、払い込みがあった金額と通帳に記載されている入金日、住所と商号、代表取締役の名前と代表印を押せば完成です。
過去の経験からどうしても一枚の紙をイメージしてしまうため、この疑問に陥ってしまいますが、必要な部分をそれぞれ見つけて印刷し綴じればOKです。
見つからない場合はサポートを利用する
それぞれのページを印刷することが分かったら、マイページで確認していきますが、いろいろな機能があり過ぎて見つからない…
探せば探すほど分からなくなってしまい、同じページを何度も見ては閉じてを繰り返してしまうことも。
そんな時にはサポートサービスに連絡して場所を教えてもらいましょう。
インターネットバンキングによってはもっと簡単な方法があるかもしれません。
必ず解決の糸口はあるので、利用できるものは利用して他の業務に支障がでないように上手に活用しましょう。
まとめ
会社設立には、乗り越えなければいけない壁がたくさんあります。
その中のひとつ、インターネットバンキングにまつわる事例と解決法についてご紹介してきました。
改めてみると、「これなら大丈夫」と思うかもしれませんが、実際にその場面になると誰に相談したらいいのか、どうやって検索したら答えが出てくるか分からなくなってしまうものです。
必ず解決できる道はあるので、今回の内容をぜひ参考にしてみてくださいね。

監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
ハートランド会計事務所 代表税理士
2015年28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所を開業。
資金調達(創業融資)の支援金額は平均して月間1.2億円超を超える実績を持つ。