【税理士が解説】確定申告における青色申告とは?必要書類や書き方、控除について

<この記事は約 8 分で読めます>


確定申告には白色申告と青色申告という方法がありますが、特に起業してから初めて確定申告を行う場合、仕組みがわからず不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、両者の違いがわからずに確定申告をすると、必要以上に税金を納めてしまう可能性があります。

今回は、初めて確定申告をする個人事業主の方のために、青色申告で確定申告する方法についてご紹介いたします。

確定申告における青色申告とは?

青色申告とは、一定のルールに則って取引状況を帳簿に記録し、正しく確定申告を行った場合に、税金面で優遇される制度のことです。

適用するためには、確定申告の前に事前に青色申告で行うことを税務署に申し出ることが必要になります。正しく日々の取引を帳簿に記載すること、いわゆる「記帳」を行っていればできるようになります。

青色申告と白色申告の違い

青色申告を行うことを申し出ずに確定申告する場合は、白色申告となります。白色申告であれば、事前に申し出る必要はありません。
ただし、青色申告の場合と比べて、確定申告時に優遇措置を受けられなくなります。

具体的には、配偶者や親族に支払った給与については経費扱いにすることができないなどがあります。青色申告の場合には、配偶者であれば最高86万円まで、15歳以上の親族であれば最高50万までを必要経費として収入から差し引くことができます。
このように、青色申告で確定申告を行えば、白色申告よりも優遇される事柄があるのです。

青色申告のメリット

それでは、青色申告のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?代表的な4つについてご紹介いたします。

青色申告特別控除

一つ目に、「青色申告特別控除」が受けられるという点が挙げられます。
詳しくは後述いたしますが、青色申告特別控除は所得金額から65万円までを差し引くことができるもので、個人事業主にとっては最も大きなメリットと言えます。

確定申告前に青色申告で行うことを事前に税務署に申し出た上で、正しく記帳を行い、損益計算書と貸借対照表を確定申告の際に添付して確定申告書を提出期限内に提出することが必要となります。

青色事業専従者給与

配偶者や一定の範囲内の親族の給与について、「青色事業専従者給与」として必要な経費に算入することができます。配偶者は最高86万円まで、15歳以上の親族については最高50万円まで経費算入が可能です。
なお、事業内容によっては、一部対象外のものもあるため注意が必要です。

純損失を差し引ける

事業から生じた純粋な損失額である純損失を、翌年以後3年間にわたり繰り越して各年度の所得金額より差し引くことができます。
また、前年から継続して青色申告をしていれば、前年分の所得税額の還付を受けられる場合もあります。

貸倒引当金

「貸倒引当金」とは、あらかじめ貸倒れによる損失になる可能性のある金額を計上した引当金です。貸倒れとは、取引先が倒産するなどして、債権の回収ができなくなった状態のことです。
貸倒引当金として一定金額分計上しておくと、青色申告の場合にはその金額分を必要経費として認められる場合があります。

青色申告のデメリット

一方で、青色申告で確定申告を行う場合のデメリットといえば、経理の専門知識がない個人事業主が一人で行うには手間も時間もかかってしまうことです。
青色申告で行う場合には、正規の簿記の原則に従って記帳した帳簿を作成し、帳簿書類等を保存しておく必要があります。

税理士に依頼するなどして、確定申告まで全般的にサポートしてもらうなどの方法も一つの手です。青色申告には優遇がある分、必要な作業を自分で行うと手間と時間がかかることも理解しておきましょう。

確定申告を青色申告で行うときの書き方

青色申告で確定申告する場合には、いくつかの書類を不備なく用意する必要があります。では、確定申告を青色申告で行う際の必要書類の書き方について確認していきましょう。

青色申告承認申請書(初回のみ)

個人事業主が初めて青色申告で確定申告をするためには、所定の期間内に青色申告承認申請書を納税地の税務署に提出しなければなりません。開業日が1月1日~15日の場合には3月15日までに、1月16日以降の場合には開業日から2か月以内に提出しましょう。
青色申告承認申請書の書式は、国税庁ホームページよりダウンロードできます。

なお、青色申告特別控除を受ける場合には、青色申告承認申請書に複式簿記で確定申告を行う旨を記載しておくのを忘れないようにしましょう。

青色申告決算書の書き方

青色申告決算書は、確定申告の際、青色申告の個人事業主が確定申告書と一緒に提出する書類です。
損益計算書、月別売上・仕入、減価償却・地代家賃、貸借対照表の内容を記載していきます。

複式簿記で正しく記帳しておくことが要求されます。記帳された内容を日々青色申告決算書の勘定科目に沿って記載していけば、確定申告の際に苦労しなくて済みます。

確定申告書Bの書き方

確定申告書Bは青色申告決算書に記載した内容の概要をまとめたものです。また青色申告決算書にまとめた内容に基づいて所得税額を算出し、記載するためのものもあります。
確定申告の際、所定の欄に所得金額や所得控除額、所得税額などを記載して提出します。

確定申告の青色申告特別控除とは?

青色申告特別控除は、個人事業主が青色申告で確定申告をする場合に受けられる優遇措置です。65万円もしくは10万円の控除を受けることができます。
それぞれどのようにしたら青色申告特別控除を受けられるのかみていきましょう。

65万円の青色申告特別控除を受ける条件

確定申告にて65万円の青色申告特別控除を受けるためには、次の4つの条件を満たす必要があります。

所得

所得については、不動産所得か事業所得があることが条件となります。
不動産所得で青色申告特別控除を受けるためには、事業として認められる規模の不動産からの所得があることが条件となります。

複式簿記

日々の取引を正規の簿記の原則に基づき、複式簿記にて記帳しておく必要があります。なお、会計ソフトなどを用いて記帳しても特に問題はありません。

添付書類

確定申告の際に貸借対照表と損益計算書を添付することが必要です。決算のときに作成する書類を合わせて提出することになります。

提出期限

確定申告書を申告期限内に提出することも必要となります。確定申告の期限は、基本的には毎年3月15日です。絶対に忘れないようにしましょう。

10万円の青色申告特別控除を受ける条件

確定申告で10万円の青色申告特別控除を受けられるのは、65万円の控除を受けられる条件を満たしていなかった場合となります。
複式簿記ではなく単式簿記方式での記帳した場合や、確定申告時に貸借対照表や損益計算書などの決算書類を添付していなかった場合は、控除額は10万円となります。

まとめ

個人事業主が青色申告で確定申告を行うと、税金面で優遇措置が受けられます。特に起業当初は納税面での負担が減るため、メリットは大きいといえるでしょう。
青色申告を選択した場合には、正確に記帳を行ったうえで確定申告をすることが必要になります。しかし、個人事業主が一人で行うと手間と時間がかかってしまうため、その点も考慮に入れた上で青色申告しなければなりません。

とはいえ、一度青色申告で確定申告を行えば、多くのメリットが受けられます。個人事業主の方は検討してみることをおすすめいたします。

【無料相談】創業融資・会社設立・税務顧問・助成金代行 etc
【無料相談】創業融資・会社設立・顧問・助成金 etc