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創業補助金とは、創業時にかかった経費を国や地方の団体が一部補助してくれる制度のことです。
条件はありますが、返済不要で資金を受け取ることができるので企業にとって大きなメリットになります。
この記事では、創業間もない企業が創業補助金を申請していく上で知っておきたいことを解説していきます。
創業補助金とは?
創業補助金とは、創業時にかかった経費の一部を返済不要で受け取れる資金です。
申請には条件がありますが、企業にとって返済不要なのはメリットです。
創業間もない企業は、金融機関等からの融資実行が困難なケースが多いですが、創業補助金はそういった創業間もない企業を補助するためにある制度です。
補助金対象者
補助金の申請をすることができるのは、以下の条件に当てはまる場合です。
- 創業補助金の募集開始日以降に創業または創業予定であること
- 従業員を1名以上雇い入れること(正社員、アルバイトどちらでも可能)
- 認定市区町村または認定市区町村と連携している認定連携創業支援事業者から支援を受けること
創業は、法人として会社設立する場合と個人事業主として税務署に開業届を出す場合のどちらでもかまいません。補助金申請後に従業員の雇い入れをしなかった場合には、補助金の取り消しとなり支払われないので注意が必要です。
対象期間
創業補助金の対象は、会社の創業を開始してから1年目のみです。
また、経費が補助される対象になるのは半年分の経費になります。
交付決定日は申請してからおよそ2か月後です。
補助金対象となる経費種別
すべての経費が補助金の対象となるわけではありません。以下が補助対象となる経費種別です。
消耗品費・水道光熱費・通信費・接待費は全て補助金の対象外となっています。また、創業補助金の交付決定日以前に支払った経費も対象外となってしまいます。
創業補助金は、対象となる経費が全額支給されるわけではありません。外部から資金の調達があるかないかで支給される金額が変わってきます。
このように、外部からの資金調達があるかないかで、補助金の上限となる金額が変わります。
可能であれば、外部から資金調達(金融機関からの融資含む)がある状態にしておくことで、補助金の上限を200万円まであげることができるので検討してみてはいかがでしょうか。
創業補助金の申請方法
創業補助金事務局が募集を開始しているのを確認します(最近では4月か5月に募集しています)。
募集期間は1か月間と短いので気をつけてください。
以下のフローで操業補助金の申請をします。
補助金の申請は、必ず合格するわけではなく落ちることもあります。
事業開始後、補助金の対象になるのは半年間です。
また、補助金交付後も5年間は事業の状況を創業補助金事務局に報告しなければならないため注意が必要です。
創業補助金の申請における注意点
企業にとって返済の必要ないメリットの大きい創業補助金ですが、その分注意点がたくさんあります。
申請および補助金の受け取りには手間がかかるため、費用対効果を考えて申請していくかどうかを検討していきましょう。
申請時の注意点
- 補助期間中は、創業補助金事務局に事業報告書を提出しなければならない
- 補助金の対象となるのは創業1年目のみ
- 補助金申請のタイミングが年1回しかない(受付期間も短い)
- 補助金は後払い(約1年後の支払い)
補助金交付後の注意点
- 補助金交付後、5年間の事業報告義務がある
- 補助金の対象となった50万円以上の設備は、売却や廃棄等の処分をする場合、創業補助金事務局の許可が必要
- 補助金の対象となった経費の内容を変更するには、創業補助金事務局の許可が必要
- 創業補助金事務局が会社へ実地調査を行う場合がある
- 補助金受け取り後、会計検査院の調査が入る場合がある
- 補助金交付後の業績が良い場合、創業補助金事務局に利益の一部を収める場合がある
創業補助金の申請を通すコツ
創業補助金は申請すれば必ず合格するわけではなく、審査には選考基準があります。内容をしっかり理解し、対策をすることで申請が通りやすくなります。
【創業補助金の選考基準】
- 独創性(新たな価値やサービスを自ら編み出しているか)
- 実現の可能性(商品やサービスが明確になっていること、販路が決まっていること、従業員の雇用が確保できること)
- 収益性(ターゲットやニーズが明確になっており、収益の見通しができていること)
- 継続性(事業が計画的に進まなかった場合の対策ができていること、事業の実施内容やスケジュールが明確になっていること)
ここでは、創業補助金の申請を通すためのコツを紹介していきます。
事業内容に独創性を持たせる
多くの創業予定者がつまずくのが独創性です。
独創性を出すコツとしては、「新規性」、「弱者の保護」、「社会貢献」といった要素が必要になります。これらの要素を複数含めた事業テーマを作ることができれば、選考基準の中の独創性をクリアしやすくなります。
事業計画書の事業内容欄は3ページ程度しかありませんが、事業内容欄は押し広げて使うことが可能ですので、最低でも5ページ以上かけて詳細に記載しましょう。
事業計画は詳細に作りこむ
事業計画の中に「実現の可能性」、「収益性」、「継続性」の全てがわかる形で詳細に作りこむ必要があります。
事業で販売する商品やサービスは何か?どのようにして販売(販路)するか?が明確にわかるように記載します。事業を行う上で、従業員は何人雇用するのか?雇用形態は正社員なのかアルバイトなのか?も細かく記載しましょう。
また、売上・利益計画も詳細に添付し、事業の収益性があることと継続して事業を行えることをアピールすることが重要です。
さらに、詳細な計画には経費を科目ごとに積算し、算出した根拠も具体的に記載していく必要があります。
まとめ
創業補助金とはどういった制度なのかを解説してきました。
創業間もない企業には経費の一部を負担してくれるとてもありがたい制度です。
しかし、補助金の申請には手間もかかり、審査に合格する必要があります。また、デメリットとも言える注意点も多くあります。
手間やデメリットはもちろん、支給対象の経費には条件がありますが、返済不要の資金を調達できるのは企業にとって大きいメリットとなります。
創業補助金の申請の検討の際には、こちらの記事を参考にしていただければ幸いです。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。