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会社を設立するにあたって一番最初に企業形態を選ぶ必要があります。企業形態にはいくつか種類がありますが、代表的なのは「合同会社」と「株式会社」の2つです。
合同会社・株式会社ともメリットデメリットがあるため、事業内容やキャッシュフロー状況などをもとに決める必要があります。
合同会社は株式会社に比べると比較的簡単に作れますが、デメリットもいくつかあります。
この記事では、
- 合同会社とは
- 合同会社のデメリット
- 合同会社のメリット
- 会社設立の際、合同会社を選ばない方がよいケース
について解説していきます。
合同会社とは
合同会社とは出資者と経営者が同一人物で運営している企業形態のことを指します。
合同会社の一番の特徴は、出資したすべての社員に経営の決定権が付与されていることです。
合同会社と株式会社の主な違いは以下の通りです。
合同会社 | 株式会社 | |
設立費用 | 登録免許税:約6万円 | 登録免許税:約15万円 定款認証費:約5万円 |
所有と経営権 | 原則同一 | 原則異なる |
代表者の呼称 | 代表社員 | 代表取締役 |
信用力 | やや低め | 高い |
資金調達 | 融資 社員からの出資 社債発行 | 融資 株式上場による出資 ベンチャーキャピタル 社債発行 |
株式公開 | 不可 | 可 |
利益配分 | 定款により決定 | 出資比率に応じる |
合同会社は設立費用が安く済むため、株式会社と比べて簡単に設立できます。
合同会社の設立数は年々増加傾向にあり、今では決して珍しくない企業形態となっています。
合同会社設立数 | 株式会社設立数 | 合同会社の比率 | |
平成27年 | 22,223 | 88,803 | 25% |
平成28年 | 23,787 | 90,405 | 26% |
平成29年 | 27,270 | 91,379 | 30% |
平成30年 | 29,076 | 86,993 | 33% |
令和元年 | 30,566 | 87,871 | 35% |
上記の表より、過去5年間における株式会社の設立数はほぼ横ばいであるのに対し、合同会社は年々増えていることが分かります。
実際に日本国内でも以下のような有名企業が合同会社の形態をとっています。
- Google合同会社
- Apple Japan合同会社
- アマゾンジャパン合同会社
- P&Gプレステージ合同会社
- 日本アムウェイ合同会社
- ファイザー・ホールディングス合同会社
- 合同会社西友
- 合同会社DMM.com
名だたる有名企業も採用している形態であるため、会社設立の際にどちらにしようか迷われるかもしれません。しかし合同会社を選択した後でも株式会社への変更が可能なため、まずはその時点で最適な方法を採るのがいいでしょう。
なお、合同会社と株式会社のより詳しい違いは以下の記事で解説しています。気になる方はこちらもご覧ください。
【関連】合同会社と株式会社の違いとは?それぞれのメリット・デメリットや会社形態の変更手順を解説
合同会社のデメリット
合同会社のデメリットは以下の6つです。
- 社会的信用が低く見られがち
- 上場することができない
- 資金調達の方法が限られる
- 社員同士のトラブルが経営に影響しやすい
- 出資するだけでなく業務に携わる必要がある
- 権利譲渡や事業承継に手間がかかる
順番に見ていきましょう。
社会的信用が低く見られがち
合同会社は株式会社に比べると、社会的信用が低く見られがちな傾向にあります。
社会的信用の低さは以下のような面でよく見られます。
- 取引先と取り合ってもらうのが難しい
- 銀行の融資が通りにくい
- 求人をかけても募集が少ない
銀行融資については最近は合同会社でも通りやすくなっているそうですが、それでも株式会社の方がまだまだ有利です。
社会的信用が低いと、事業を円滑に進められなくなることがあります。
そのため長期的に見ると、合同会社での事業運営は不便に感じることも多々あるでしょう。
上場することができない
株式会社であれば上場が可能で、株式を発行すれば株主から出資を募ることができます。
しかし合同会社は株式会社と違って上場できないため、株式による出資が募れず、資金調達の方法が限られてしまいます。
資金調達の方法が限られる
先述の通り合同会社は株式上場できないことから、株式会社に比べると資金調達の選択肢が限られます。
合同会社と株式会社の資金調達の方法は以下の通りです。
合同会社 | 株式会社 |
社員からの出資 銀行からの融資 社債発行 | 株式発行による出資 ベンチャーキャピタルによる出資 銀行からの融資 社債発行 |
合同会社の場合は株式会社と違い、株式の出資やベンチャーキャピタルを受けられないため、資金調達の選択肢が少なくなってしまいます。
合同会社特有の資金調達方法として社員からの出資が認められているものの、一個人から集められる金額は大きくありません。
社員同士のトラブルが経営に影響しやすい
社員同士のトラブルが経営に影響しやすいことも、合同会社ならではのデメリットです。
合同会社には「出資者=社員=役員」という構図があることから、出資すれば誰でも会社経営の決定権を持っています。
そのため、社員間のトラブルが経営に影響してしまう恐れがあります。
一方、株式会社の場合は外部の立場の株主が介入できる仕組みになっているため、そうした可能性は合同会社よりは低いと言えるでしょう。
出資するだけでなく業務に携わる必要がある
合同会社では出資者を社員とみなすため、出資した場合は業務にも携わらないといけません。
「事業内容を応援したい」「今出資すればリターンが大きそうだ」といった理由で出資を考えても、「出資」=「業務に携わる義務が発生」のため、自ずとある程度の時間と労力を割く必要があります。
一方、株式会社の場合は株式購入やベンチャーキャピタルなどの方法で出資すれば、業務に携わる必要はありません。
権利譲渡や事業承継に手間がかかる
権利譲渡や事業承継に手間がかかることも、合同会社のデメリットです。
会社設立を見据える段階で権利譲渡や事業承継まで考えられる方は少ないかもしれません。しかし、ご自身がケガや病気などで働けなくなった時に、権利譲渡や事業承継を取らざるを得ないケースもあります。
株式会社の場合、経営者がご自身の株式を譲渡先の人に明け渡せば、他の社員の意向に関係なく成立させられます。
一方、合同会社で権利譲渡・事業承継を行う場合は一定以上の役員の同意が必要になります。
同意する役員の割合 | |
権利譲渡 | 全員 |
事業承継 | 過半数 (定款によっては全員) |
合同会社では権利譲渡・事業承継を成立させるために複数の社員の説得が必要なため、非常に手間がかかってしまうのです。
合同会社のメリット
ここまで合同会社のデメリットを解説してきましたが、その一方でメリットも豊富にあります。実際に合同会社の設立数が年々増加傾向にあることが証拠です。
合同会社のメリットは以下の8つです。
- 設立は費用が安く簡単な手続きですむ
- 決算公告の義務がない
- 経営の自由度が高く意思決定のスピードが速い
- 利益分配を自由に決められる
- 有限責任である
- 役員任期の更新が必要ない
- 剰余金分配の制限がない
- 法人の税制が適用される
合同会社の手続きは株式会社に比べて手間が少ないため、簡単に設立できます。
合同会社のメリット・デメリットを把握した上で、選択するか否かを判断しましょう。
【関連】合同会社のメリットとは?特徴や株式会社との違い、向いているケースもあわせて紹介
会社設立の際、合同会社を選ばない方がよいケース
合同会社のメリット・デメリットを考慮した上で、会社設立の際に選ばない方がいい主なケースは以下の3つです。
- 積極的に事業を拡大していきたい場合
…合同会社のだと求人募集が難しい、資金集めの手段が限られている、取引先からの信用度が低くなりがち - 多額の資金調達を想定している場合
…合同会社のだと株式上場ができない、ベンチャーキャピタルから出資を受けられない - BtoBのビジネスである場合
…合同会社のだと取引先からの信用度が低くなりがち
今後の事業の運営方針が上記に当てはまる場合は、株式会社で設立した方がスムーズに進められるはずです。
設立前の段階で上記について考えていない方でも、事業を運営していくうちに事業拡大したり、BtoBビジネスをしたりすることになるかもしれません。そのような場合は株式会社への切り替えもできるため、現時点での最適解から事業形態を選んでも問題ないでしょう。
【関連】合同会社から株式会社へ変更する際の手続きの流れ、かかる期間や費用について
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監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。