<この記事は約 12 分で読めます>
会社を設立するにあたって用意するものはいくつかありますが、そのひとつが定款です。
この記事では合同会社の定款について、以下の内容を解説していきます。
- 定款とは
- 合同会社と株式会社の定款の違い
- 定款に必要な3種類の「記載事項」
- 定款作成時の注意点
- 定款が必要となる場面
- 定款の確認方法
合同会社における定款の役割や作り方、注意点が分かるようになっているため、合同会社をこれから設立される方はぜひご一読ください。
定款とは
定款とは、会社のルールをまとめている書類のことで、「会社の憲法」と呼ばれることもあります。
定款は会社の形態に関わらず設立時に必ず作る書類で、従業員の就業規則もそれに準ずることになります。
設立前の段階で定款をしっかり作っておけば、社員同士のトラブルを解消しやすくなるなど、組織として統率が取りやすくなります。
定款がないとトラブルなどが起きたときの判断基準がないため、事業を円滑に進められなくなってしまうでしょう。
合同会社と株式会社の定款の違い
定款はいずれの会社でも設立にあたって必須ですが、合同会社と株式会社では事業形態の違いに伴い、内容も異なります。
株式会社は株主が中心となる事業形態から、
- 株主構成
- 株式の譲渡制限
等の記述が必要です。しかし、合同会社は株主ではなく出資者によって成り立つため、上記の内容が一切不要となります。
また合同会社の定款は株式会社と違って、正当性を証明するための認証の工程が必要ありません。
合同会社の定款は株式会社と違って記入項目が少ない上に認証が不要なため、比較的簡単に作れます。
定款だけでなく、合同会社と株式会社はさまざまな面で違いがあります。以下の記事で詳しく解説しているため、気になる方はぜひご覧ください。
【関連】合同会社と株式会社の違いとは?それぞれのメリット・デメリットや会社形態の変更手順を解説
定款に必要な3種類の「記載事項」
定款に必要な記載事項は大きく3つに分けられます。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
順番に見ていきましょう。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、記載が必須な項目のことです。
絶対的記載事項に該当する項目は以下の7つです。
- 表紙
…形式の指定はなし、また作成しなくてもOK - 商号
…正式な会社名、略称の記載はNG - 目的
…設立後に行う予定の事業内容 - 本店所在地
…本店の住所地 - 社員の住所・氏名
- 社員を有限責任社員とする旨
- 社員の出資目的と価額
上記のいずれかが抜けていると定款として認められないため、忘れずに記載しておきましょう。
相対的記載事項
相対的記載事項とは、定款への記載が任意の項目で、ない場合は会社法に則ることになります。
相対的記載事項に該当する項目は以下の7つです。
- 業務を執行する社員を定める場合の定め
…社員の中から業務執行社員を決める - 代表社員を定める場合の定め
…業務執行社員の中から代表社員を決める - 利器配当に関する事項の定め
…利益の配当を請求できる時期や回数、金額を決める - 社員の退社に関する定め
…自社の退社ルールに関して独自に定められる - 会社の存続期間の定め
…会社を解散するまでの期間を決められる - 解散事由の定め
…会社を解散するための条件を決められる - 解散時の残存財産の分配割合の定め
…解散時に残った財産を取得できる人および金額を決められる
上記の内容が定款になかった場合は会社法に則ることになりますが、社員誰もが納得できるわけではないはずです。社員同士のトラブルを防ぐためにも、相対的記載事項はすべて決めておくのがおすすめです。
任意的記載事項
任意的記載事項とは、会社法の範囲内で必要に応じて定める事項です。
任意的記載事項に記載する項目の一例は以下の通りです。
- 営業年度
- 社員総会の開催条件
- 利益配当の定め
- 社員の損益分配割合
- 残余財産分配
任意的記載事項も定款への記載は必須ではないものの、決めておいた方がいざ事業が始まったときに、社員同士のトラブルを防げるようになります。そのため任意的記載事項も決めておくのがおすすめです。
定款作成時の注意点
定款を作成するときには注意点が5つあります。
- 会社名は正式名称で記載する
- 記載事項の変更は労力と費用がかかる
- 誤字脱字の修正方法には決まりがある
- 自社独自のルールは詳細に記載する
- 紙と電子で費用が異なる
上記のポイントを押さえておかないと、せっかく作成した定款を作り直してしまうことになるかもしれません。ひとつずつ解説していきます。
会社名は正式名称で記載する
会社名は正式名称で記載しましょう。合同会社の場合、略称として「LCC」が用いられますが、定款上での表記はNGです。
定款には必ず正式名称となる「○○合同会社」「合同会社××」と記載しましょう。
記載事項の変更は労力と費用がかかる
定款の記載事項を変更するのは、労力と費用がかかってしまうため、念入りに作成するようにしましょう。
定款を作るにあたって「なにかあったら変えればいいや」と考えている方はいるかもしれません。しかし、定款を変更するには、以下の手順を踏む必要があります。
- 総社員の同意を取る
- 決議した内容を記録として残す同意書を作成する
- 法務局にて定款の変更登記申請を行う
- 原始定款(一番最初に作成した定款)と一緒に保管する
定款の変更には社員全員の同意が必要なため、時間と労力が非常にかかってしまいます。
また、変更内容によっては登録免許税として以下の費用がかかります。
変更内容 | 登録免許税額 |
商号変更 | 3万円 |
事業目的の変更 | 3万円 |
代表社員の変更 | 1万円 |
業務執行社員の変更 | 1万円 |
事業を進めていくうちに変えざるを得ないことはどうしても出てくるでしょう。しかし定款作成の段階でしっかり決めておけば、変更は最小限に抑えられるはずです。
定款作成を面倒だと思わずに、「設立から十年は変えなくても済む定款を作る」くらいの気持ちで取り組むのがおすすめです。
誤字脱字の修正方法には決まりがある
定款の中に誤字脱字があった場合、指定された方法で修正する必要があります。
定款の修正は公証役場で行い、誤字の多さによって方法および費用が異なります。
誤字が少ない | 誤字が多い | |
修正方法 | 誤記証明書の発行 | 定款の再認証 |
費用 | 無料 | 有料 (5万円程度) |
定款の誤字が少ない場合は無料で発行できる誤記証明書で済ませられますが、紛失しないように注意が必要です。
自社独自のルールは詳細に記載する
独自ルールを定款に設ける際は、できるだけ詳細に記載するようにしましょう。
合同会社は株式会社よりも独自ルールを作りやすい一方で、詳しく決めておかないとトラブルの元となってしまいます。
特に注意したいのが事業承継や利益配当、財産分配などお金回りのことです。合同会社では社員それぞれが対等な立場であるため、トラブルが起こりやすい傾向にあります。
後々のトラブルを未然に防ぐためにも、自社の独自ルールは詳細に記載するようにしましょう。
紙と電子で費用が異なる
定款の作成方法は紙と電子の2種類ありますが、それぞれ費用が異なります。
紙と電子それぞれにかかる費用について以下の表にまとめてみました。
お金がかかる内訳 | 費用 | |
紙 | 収入印紙 | 4万円 |
電子 | PDF作成ソフト カードリーダー | 4万円前後 |
司法書士に依頼 | 6万円程度 |
電子定款の場合、ツールをそろえて自力で行うか、司法書士に依頼するかの2パターンがあります。司法書士に依頼すると面倒な作業を丸投げできるためおすすめです。
電子定款を自力で作る方法については以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひ参考にしてみてください。
【関連】会社設立時の電子定款の作り方と概要を解説!オンラインで手続きをおこなうメリット・デメリットは?
なお、弊社に合同会社の設立代行をご依頼いただければ、定款作成も含めた設立代行業務を実質無料で対応させていただきます。画面最下部よりぜひご相談ください。
定款が必要となる主な場面
定款が必要となる主な場面は以下の通りです。
- 行政機関等への書類申請
…助成金申請や許認可申請などに求められる - 金融機関との取引
…法人口座の開設や一定額以上の大型取引等で必要 - 税務署への法人設立届出書
重要な申請時に求められるケースが多いため、保管する際は取り出しやすい場所に置いておくのがおすすめです。
定款の確認方法
会社設立後でも、登記事項証明書の請求をかければ有料で誰でも定款を閲覧できます。
費用は請求先窓口および受け取り場所で異なります。以下の表で登記事項証明書を請求した際の費用をまとめてみました。
申請場所 | 受け取り場所 | 費用 |
法務局窓口 | 600円 | |
オンライン | 郵送 | 500円 |
最寄りの登記所 | 480円 |
オンライン申請で最寄りの登記所で受け取る方法が、最も費用を安く抑えられます。なお登記事項証明書をオンライン申請する際は、以下のリンクより行います。
【参考】オンライン申請のご案内|法務局
登記事項証明書で確認できる項目は以下の通りです。
- 資本金額
- 事業内容
- 支店の有無
- 代表社員名
登記事項証明書では企業の詳細までは確認できませんが、「取引先企業を調べたい」といった用途では、有効な方法です。
大阪で合同会社の設立代行なら【最短即日設立可能】かつ【代行手数料無料】のハートランド税理士法人へお任せください
大阪で合同会社の設立を検討されている方は、ぜひハートランド税理士法人へご相談ください。
弊社では手数料実質無料かつ最短即日設立対応で、会社設立代行を承っています。
ご依頼いただければ、合同会社設立に関する労力・金銭・時間を大幅に節約できるため、利用者様はその分のリソースを事業に集中できるでしょう。
無料相談を電話・メール・LINEで受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。
【関連】大阪で合同会社の設立代行なら【代行手数料無料】かつ【最短即日設立】のハートランド税理士法人へお任せください
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。