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「相続税の申告内容に誤りがあったかもしれない…」「税務署から申告漏れを指摘されたけど、どう対応すればいい?」そんな不安を抱えていませんか?
相続税の修正申告は、内容の誤りや財産の申告漏れがある場合に必要な手続きです。しかし、制度やルールを誤ると延滞税や加算税といったペナルティが発生し、想定以上の税負担を背負うリスクがあります。
本記事では、以下の5つについて詳しく解説します。
- 相続税の修正申告とは
- 修正申告が必要となる6つのケース
- 修正申告の流れと手続き方法
- 修正申告を怠った場合のペナルティ
- 税理士に依頼するメリット
相続税の修正申告でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
相続税の修正申告とは

相続税の修正申告とは、すでに提出した相続税申告書の内容に誤りがあった場合に、その内容を訂正して税務署に再申告する手続きのことです。
誤った申告のままにしておくと、延滞税や過少申告加算税といったペナルティが課される可能性があるため、早急な対応が求められます。
修正申告は納税者自らが行う必要があり、誤りに気づいた段階で税務署に届け出るのが基本です。
誤りの内容は、財産評価の間違いや相続財産の漏れ、特例の誤適用など多岐にわたります。次の項目では、修正申告が必要となる代表的なケースを整理します。
相続税の修正申告が生じるケース

相続税の修正申告が必要になるのは、申告内容に誤りや不足がある場合です。以下に代表的なケースを挙げます。
- 相続財産の評価や税額計算が誤っていた場合
- 遺産分割協議がまとまらずに仮の申告をしていた場合
- 新たな相続財産が見つかった場合
- 税務調査が入って申告もれを指摘された場合
- 課税対象の財産が含まれていなかった場合
- 誤って特例制度を適用した場合
いずれも早めに修正申告を行うことで、延滞税や加算税などのペナルティを最小限に抑えられます。
相続財産の評価や税額計算が誤っていた場合
相続税の申告では、土地や建物、株式などの評価額を正しく算出する必要があります。しかし、評価基準の誤りや計算ミスによって、本来の税額より少なく申告してしまうケースが見られます。
特に不動産評価は複雑で、路線価や面積の算定方法を誤ると大きな差額が発生します。
評価額が低すぎると、過少申告加算税や延滞税の対象になるため、早期に修正が必要です。
遺産分割協議がまとまらずに仮の申告をしていた場合
相続税の申告期限は相続開始から10か月以内と定められています。この期限内に遺産分割協議がまとまらない場合、仮の分割割合で申告するケースがあります。
その後正式に分割が決定した時点で申告内容を修正する必要があり、分割割合の変更によって納税額が増減する場合は速やかに修正申告を行わなければなりません。
新たな相続財産が見つかった場合
申告後に預貯金口座や有価証券、不動産など新たな相続財産が判明することがあります。この場合、申告内容に財産を追加して修正申告を行わなければなりません。
特に海外資産や名義預金などは見落としやすく、後から見つかるケースが多いです。未申告のままだと、税務署からの指摘を受けて余分な加算税が課される可能性があります。
税務調査が入って申告もれを指摘された場合
税務署による税務調査の結果、相続財産の申告もれや評価額の過少申告が発覚することがあります。この場合も、指摘内容を反映した修正申告が必要です。
税務調査の後に行う修正申告は、過少申告加算税や重加算税の対象になる場合があるため注意が必要です。
課税対象の財産が含まれていなかった場合
生命保険金や退職金など、一見課税対象に含まれないと思われがちな財産もあります。こうした財産を申告漏れした場合は、修正申告が必要です。
課税対象の有無は制度改正や解釈変更の影響を受けることもあるため、税理士に確認することが重要です。
誤って特例制度を適用した場合
小規模宅地等の特例や配偶者控除など、適用要件がある制度を誤って使ってしまうことがあります。
適用資格がないにもかかわらず特例を使った場合、申告内容を修正する必要があります。特例の誤用は税額の増加に直結するため、発覚したらすぐに修正申告を行うことが重要です。
相続税の修正申告の流れ

相続税の修正申告は、必要書類の準備から税務署への提出までいくつかの手順を踏んで行います。適切な流れで進めることで、手戻りを防ぎ、ペナルティのリスクを減らせます。
以下では修正申告の主な流れを4つのステップで説明します。
修正申告書など必要書類を準備する
まずは税務署に提出する修正申告書をはじめ、相続税申告書の控えや財産評価明細書など、必要な書類をそろえます。申告内容の修正理由や差額の根拠を示せる資料を用意することが重要です。
特に不動産の再評価や追加財産がある場合は、その評価証明書や残高証明書なども添付する必要があります。
修正申告書を記入する
次に、修正申告書を正確に記入します。申告書には修正後の税額や財産明細、修正の理由を記載します。元の申告内容との比較がわかるように記載することが求められます。
書き方が複雑な場合も多く、記載ミスが新たなトラブルを生むことがあるため、必要に応じて税理士に相談することも検討しましょう。
先に不足分の税額を納付する
修正申告では、不足分の税額を申告と同時に納付しなければなりません。延滞税が発生している場合はその分も併せて納めます。納付が遅れるとさらに延滞税が増加するため、可能な限り早めの対応が必要です。
納付は金融機関や税務署窓口、インターネットバンキングなどで行えます。
税務署に修正申告をする
最後に、作成した修正申告書を税務署に提出します。提出方法は持参のほか、郵送やe-Taxが利用できます。税務署への提出をもって修正申告が完了します。
提出後に追加の資料提出を求められることもあるため、書類は整理して保管しておくと安心です。
相続税の修正申請のペナルティ

相続税の修正申告を行わずに放置したり、税務調査で申告漏れが見つかった場合には、さまざまなペナルティが課されます。ペナルティの内容や税率は状況によって変わり、場合によっては多額の負担となることもあります。
ここでは代表的な3つのペナルティについて詳しく解説します。
延滞税
延滞税は、本来の納期限から遅れて税金を納めた場合に発生する、いわば利息のような性質の税金です。
税率は原則として納期限の翌日から2か月以内の期間については年7.3%(2024年現在)、2か月を過ぎると年14.6%と非常に高い水準となります。延滞税は1日ごとに加算されるため、1日でも早く修正申告を行い、不足税額を納付することが重要です。
仮に100万円の不足があれば、2か月を超えると1年で14万円以上が延滞税としてかかる可能性があります。誤りに気づいた時点で、すぐに修正手続きを進めるのが賢明です。
過少申告加算税
過少申告加算税は、税務調査で本来の税額よりも少ない金額を申告していたことが判明した場合に課されます。加算される税率は不足額の10%が原則ですが、不足額が50万円を超える部分については15%が適用される場合があります。
一方、税務署の指摘を受ける前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税が免除または軽減される可能性があります。
例えば不足税額が100万円であれば、調査後に修正した場合は10万円〜15万円の加算税が上乗せされる計算です。無駄な負担を避けるためには、早めに行動することが大切です。
重加算税
重加算税は、財産の隠蔽や二重帳簿の作成など、意図的な不正行為が認定された場合に課される最も重いペナルティです。税率は本来納めるべき税額の35%〜40%と高く、延滞税や過少申告加算税と併せて多額の負担を背負うことになりかねません。
例えば不足税額が300万円で重加算税が課された場合、最大120万円の追加負担が発生します。
重加算税は一度課されると取り消しは困難であり、信用面にも大きな影響を及ぼします。誤りが判明した場合は、虚偽や隠蔽をせずに早期に正しい申告を行うことが重要です。
相続税の修正申請に強い税理士に依頼するメリット
相続税の修正申告は専門知識が必要であり、手続きの煩雑さやペナルティのリスクも大きいものです。税理士に依頼することで、正確かつ迅速に申告を行えるほか、安心感も得られます。ここでは3つの主なメリットを解説します。
正確な申告をしてくれる
税理士に依頼する大きなメリットは、専門的な知識に基づいて正確な修正申告を行ってもらえる点です。相続税は不動産や株式など複雑な財産評価を伴うことが多く、素人が判断を誤ると大きな税額差が生じます。
税理士は最新の税法や評価方法を踏まえた申告が可能であり、過少申告や特例の誤適用といったミスを防ぐことができます。特に複雑なケースや大規模な相続では、プロのサポートが適正納税につながります。
面倒で膨大な作業に時間がかからない
修正申告では申告書の作成や添付書類の準備など、多くの作業が発生します。これらを自分で行うと膨大な時間と労力がかかり、日常生活や仕事に支障をきたすこともあります。
税理士に依頼すれば、必要な書類や情報を提供するだけで大部分の手続きを任せられます。結果として、精神的な負担も軽減され、期限内に余裕をもって対応できる可能性が高まります。
適切なアドバイスがもらえる
税理士は申告手続きだけでなく、今後の税務対応や節税の可能性についてもアドバイスを行ってくれます。例えば、延滞税や加算税の軽減策、遺産分割方法の見直し、特例制度の適正な適用可否など、具体的な指針が得られます。
自分では気づけないリスクや改善点を指摘してもらえるため、修正申告後のトラブル回避にもつながります。税務署とのやり取りも代理で行ってもらえるので、安心して任せられます。
大阪・東京で相続税の修正申告にお悩みの方はハートランド税理士法人へ

相続税の修正申告は専門的な知識と正確な手続きが求められるため、経験豊富な専門家に依頼するのが安心です。ハートランド税理士法人は、大阪・東京を拠点に相続税や資産税の実務に強い税理士が多数在籍し、数多くの修正申告をサポートしてきた実績があります。
面倒な書類作成や税務署とのやり取りもすべてお任せいただけるため、忙しい方でも安心です。
「誤った申告をしてしまったかもしれない」「税務署から指摘を受けた」という方は、ぜひハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。大阪・東京にお住まいの方はもちろん、全国対応も可能です。

監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。