相続税の計算方法と対象財産・基礎控除についても解説!税理士に依頼するメリットとは?

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大切な方が亡くなって相続が発生した際、多くの方が直面する問題が「相続税」です。

「一体いくら納める必要があるのだろう?」「どのように計算するのだろう?」と、不安や疑問を感じる方も少なくないでしょう。

相続税は、計算方法が複雑で、対象となる財産も多岐にわたります。

しかし、基本的な仕組みを理解し、段階的に計算を進めることで、自分でも概算額を把握することが可能です。

本記事では以下の4つについて解説します。

  • 相続税の概要
  • 相続税の対象になる財産
  • 相続税の計算を自分で行う方法
  • 相続税の計算・申告を税理士に依頼するメリット

相続税に対して不安を感じている方は、ぜひご参考ください。

相続税の概要

相続税は、亡くなった方から財産を受け継いだ個人に課せられる国税です。

課税対象となるのは、現金、預貯金、不動産、有価証券など、亡くなった方が所有していたプラスの財産で、借金や未払いの医療費、葬式費用などのマイナスの財産は遺産総額から控除できます。

また、墓地や仏壇、一定額までの生命保険金などは非課税となる点も知っておきましょう。

相続税を計算する際には、まず相続財産の総額を評価することから始めてください。

不動産は路線価や固定資産税評価額をもとに、有価証券は市場価格をもとに評価します。

遺産総額から基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数を差し引いたものが課税遺産総額となります。

そして、この課税遺産総額に、相続税の速算表に定められた税率を乗じて相続税の総額を算出してください。

各相続人が実際に納める税額は、相続した財産の割合に応じて按分されますが、配偶者控除や未成年者控除などの税額控除が適用されることで、最終的な納税額が調整されます。

相続税の計算方法の大まかな流れをご説明しましたが、初めて計算をされる方からすれば複雑に感じられるうえ専門的な知識を要するため、税理士に相談した方がよいかもしれません。

相続税の対象になる財産

相続税の計算を始めるにあたり、まず把握しなければならないのが「どのような財産が相続税の課税対象となるのか」です。

相続税は、亡くなった方が所有していた全ての財産に課税されるわけではなく、法律によって課税対象となる財産と、非課税となる財産が明確に定められています。

また、相続財産から一定のものを控除することもできるため、対象になる財産・対象にならない財産を踏まえたうえで相続税の計算を進める必要があります。

相続税がかかる財産

相続税が課税される財産は多岐にわたりますが、以下は多くの人々が持っている財産の一例です。

  • 有価証券: 株式・投資信託・国債・社債などの金融商品も相続税の課税対象です。

       評価額は、原則として亡くなった日の市場価格に基づきます。

  • 不動産:土地、建物(居宅、店舗、事務所など)は、相続税の重要な課税対象です。

       評価方法は、土地の種類や利用状況によって路線価方式や倍率方式などが用いられます。

       建物は、固定資産税評価をもとに評価されます。

  • 自動車・貴金属・骨董品:亡くなった方が所有していた自動車・宝石・貴金属・絵画・骨董品など   も、経済的な価値に応じて相続税が課税されます。
  • 生命保険金・死亡退職金:亡くなった方の死亡によって支払われる生命保険金や死亡退職金は、一  定の非課税限度額を超える部分が相続税の課税対象となります。

 非課税限度額は、「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

その他、著作権・特許権・電話加入権・ゴルフ会員権なども、経済的な価値がある場合は相続税の課税対象となります。

また、生前贈与であっても、亡くなる前3年以内に行われた贈与は、相続財産に加算されるため注意が必要です。

相続税がかからない財産

相続税法では、社会政策的な配慮などから、特定の財産については相続税が課税されないと定められています。

主な非課税財産としては、以下のものがあります。

  • 墓地・仏壇・香典: 祖先の祭祀を行うための墓地や仏壇、仏具、香典などは、相続税の課税対象となりません。

ただし、投資目的で購入されたものなどは課税対象となる場合があります。

  • 生命保険金・死亡退職金:前述の通り、生命保険金や死亡退職金には非課税限度額が設けられており、その範囲内の金額は相続税が課税されません。
  • 公益事業財産:宗教法人・学校法人・社会福祉法人などが相続または遺贈により取得した財産で、公益事業に使用することが確実なものは、相続税が課税されません。
  • 国や地方公共団体への寄付:相続または遺贈により取得した財産を、国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付した場合、その寄付した財産は相続税が課税されません。

これらの非課税財産を正しく理解することは、相続税の計算方法を適用する際の課税対象額を適切に把握するために重要です。

非課税財産の範囲は法律で詳細に定められているため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認すると安心できるのではないでしょうか。

相続財産から控除できるもの

相続税の計算では亡くなった方の債務や葬儀にかかった費用など、相続財産の総額から一定のものの控除が可能です。

これらの控除額を適切に計算し、遺産総額から差し引くことで、課税対象となる遺産額を減額できるでしょう。

主な控除対象となるものは以下の通りです。

  • 借金・債務:亡くなった方が抱えていた借金(住宅ローン、自動車ローン、消費者金融からの借入など)や、未払いの税金・医療費などは、相続財産から控除できます。
  • 葬式費用:故人の葬儀にかかった費用(火葬費用、お布施、会場費用など)は、一定の範囲内で相続財産から控除できます。

ただし、香典返しや墓石の購入費用など、控除の対象とならない費用もあります。

また、亡くなった方が生前に支払うべきであった費用で、相続開始後に相続人が支払ったものなども、一定の要件の下で控除の対象となる場合があるため、確認が必要です。

控除の対象となる費用やその範囲は税法の規定によって細かく定められているため、領収書などの証拠書類をきちんと保管し、不明な点は税務署や税理士に確認してみてください。

相続税の計算を自分で行う方法

相続税の計算は、以下の段階に応じて行われます。

  • 遺産総額を計算する
  • 遺産総額から基礎控除額を差し引く
  • 相続税の総額を計算する
  • 相続人ごとの納付税額を計算する

これらを見ると複雑に感じるかもしれませんが、各ステップを順番に理解することで、ご自身でも概算額を算出することが可能です。

相続税の計算方法を自分で試算してみることは、今後の相続対策を考えるうえでも非常に役立つため、ぜひ本記事を参考に一度計算してみてください。

遺産総額を計算する

相続税計算方法の最初のステップは、相続財産の総額を正確に計算することです。

前述の通り、現金・預貯金・不動産・有価証券などのプラスの財産から、借金などのマイナスの財産を差し引いたものが遺産総額となります。

各財産の評価額を正確に算出することが重要であり、特に不動産や有価証券の評価には専門的な知識が必要となる場合もあるでしょう。

評価額の算出方法については、国税庁のWebサイトや関連書籍、相続税のシミュレーションサイトなどを参考に、慎重に行う必要があります。

遺産総額から基礎控除額を差し引く

遺産総額が算出できたら、次に基礎控除額を差し引きます。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

ちなみに、法定相続人とは民法の規定により相続人となるべき人のことで、配偶者・子・父母・兄弟姉妹などが該当します。

法定相続人の数を正確に把握し、基礎控除額を計算することが、相続税計算方法の重要なポイントとなるため、間違えないようにしましょう。

遺産総額からこの基礎控除額を差し引いた金額が、課税遺産総額となります。

相続税の総額を計算する

課税遺産総額が算出できたら、次に相続税の総額を計算します。

計算には相続税の速算表を使用するのが一般的で、Web上にもさまざまなサイトで掲載されています。

例えば、国税庁の公式サイトでも速算表が掲載されています。

相続税の税率は、課税遺産総額に応じて段階的に高くなる累進課税制度が採用されており、速算表には、課税遺産総額の区分ごとに適用される税率と控除額が記載されています。

例えば、課税遺産総額が1,000万円以下であれば税率は10%、控除額は0円ですが、3,000万円超5,000万円以下であれば税率は20%、控除額は200万円となります。

この速算表を用いて、課税遺産総額に対応する税率と控除額を適用し、相続税の総額を算出します。

相続人ごとの納付税額を計算する

相続税の総額が計算できたら、最後に各相続人が実際に納める税額を計算します。

相続税は、原則として各相続人が相続した財産の割合(法定相続分)に応じて按分して負担します。

ただし、配偶者には配偶者控除、未成年者や障害者に  は未成年者控除や障害者控除といった税額控除が適用される場合があるため、控除の種類と適用条件を調べておきましょう。

これらの税額控除を適切に適用することで、各相続人の最終的な納付税額が決定します。

相続税の計算・申告を税理士に任せるメリット

相続が発生し、相続税の申告が必要になった場合、その手続きは煩雑で専門的な知識を要するため、多くの方がどのように対応すべきか悩まれるのではないでしょうか。

相続税の計算は、遺産の評価から始まり、複雑な税法の規定に基づいて行われるため、一般の方が正確に行うのは容易ではありません。

そこで、「自分では計算や申告が難しい」と感じられる方には、税金の専門家である税理士への依頼がおすすめです。

税理士への依頼で得られる具体的なメリットは以下の通りです。

  • 相続財産を適切に評価してもらえる
  • 相続税額を正確に計算してもらえる
  • 財産分割の際に適切なアドバイスを受けられる
  • 時間・労力を節約できる
  • 税務調査を回避できる可能性が高くなる

それぞれの項目を詳しくみていきましょう。

相続財産を適切に評価してもらえる

相続税の計算の第一歩は、相続財産の正確な評価です。

現金や預貯金、有価証券などは比較的評価が容易ですが、土地や建物などの不動産・非上場株式・美術品などは、専門的な知識や評価方法が求められます。

特に不動産の評価は、形状・立地条件・利用状況などによって評価額が大きく変動する可能性があり、税理士はこれらの要素を総合的に考慮し、適正な評価を行います。

その際、国税庁の通達や判例に基づいた適切な評価を行うだけでなく、土地の評価においては、個々の状況に応じた減額要因を検討し、最大限の節税につなげてもらえる場合も多いでしょう。

専門的な知識と経験を持つ税理士に相続財産の評価を任せることで、過大評価による無駄な納税を防ぐことができるのです。

相続税額を正確に計算してもらえる

相続税額の計算は、基礎控除をはじめ税率の適用や各種税額控除など、複雑な税法の規定に基づいて行われます。

これらの規定は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。

税理士は、最新の税法を熟知しており、個々の相続状況に応じて適用できる可能性のある特例や控除を適切に判断し適用することで、相続税額を最小限に抑えてくれます。

また、複雑な計算を知識や経験をもとに正確に行うことで、申告漏れや計算ミスによる税務署からの指摘や追徴課税のリスクも回避可能です。

財産分割の際に適切なアドバイスを受けられる

相続財産の分割は相続人間で意見が対立しやすく、感情的な対立が生じることも少なくありません。

税理士は、税金の観点から最も有利な財産分割の方法について、専門的なアドバイスを提供してくれます。

例えば、特定の財産を誰が相続すると相続税の負担が軽減されるかや、将来的な二次相続まで見据えた分割方法など、税務上のメリットを考慮した具体的な分割案を提示してもらうことも可能でしょう。

相続人間の関係性や意向を尊重しつつ、税負担の公平性を考慮したバランスの取れた分割案を提案することで、円満な相続の実現をサポートしてくれるはずです。

時間・労力を節約できる

大切な人が亡くなると、葬儀の手配や各種行政手続き、遺品整理など、多くの手続きを限られた時間内に行う必要があります。

相続税の申告も、被相続人の死亡日から10ヶ月以内という期限が定められており、膨大な時間と労力を要するでしょう。

税理士に相続税の計算・申告を依頼すれば、複雑かつ面倒な手続きをすべて代行してもらうことができます。

税務調査を回避できる可能性が高くなる

相続税の申告後には、税務署による税務調査が行われる可能性があります。

税務調査では、申告内容の正確性や財産の評価などが厳しくチェックされ、申告漏れや過少申告が発覚した場合には、追徴課税や加算税が課せられることがあるため、注意が必要です。

その点、税理士は税法の知識に基づいて適正な申告書を作成するため、税務調査を受けるリスクを低減できるでしょう。

税理士が作成した申告書は、税務署からの信頼度が高く、形式的な不備も少ないため、税務調査の対象になりにくいと言われています。

また、万が一税務調査が行われた場合でも、納税者の負担を軽減し、スムーズな解決に導いてくれるはずです。

大阪・東京で相続税の計算・申告にお悩みの方はハートランド税理士法人へ

相続税の計算は、多くの方にとって複雑で難しいと感じられるものですが、基本的な仕組みと計算の流れを理解することで、自分でもおおよその金額を把握することが可能です。

しかし、相続財産の評価や税法の解釈には専門的な知識が必要となる場合も多く、誤った計算をしてしまうリスクも存在します。

特に、不動産の評価や特例の適用など、複雑なケースに該当する場合は、税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

相続は、多くの方にとって一生に数回あるかないかの経験であり、法的な手続きや税金の処理に不慣れなのは当然のことです。

ハートランド税理士法人では、親や親族の相続に関する相談を承っております。

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