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法人決算とは法人が財務状況や経営成績を明確にするために行う手続きで、発生した収益や費用を計算し、利益又は損失を確定させることが主な目的です。
この記事では、以下について解説します。
- 法人決算とは
- 法人決算の流れ
- 決算書に含まれる具体的な書類
- 法人決算を自分でする場合の注意点
- 法人決算を税理士に依頼するのがおすすめな理由
決算書類の作成ができる税理士を探している方は、私たちハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。
税務調査対策にも精通しているため、貴社の税務を全面的にサポートさせていただきます。
法人決算とは
法人決算とは、法人が事業年度ごとに財務状況や経営成績を明確にするために行う手続きです。法人が事業活動を行う中で発生した収益や費用を計算し、利益又は損失を確定させることが主な目的です。
法人決算の結果は、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表として作成され、株主や投資家、税務当局などに報告されます。これらの財務諸表を基に法人税の申告や納付が行われるため、法人決算は税務面でも重要な役割を果たします。また、法人決算は経営判断の基礎となる情報を提供し、次年度以降の事業計画を立てる際にも活用されます。
法人決算の流れ
法人決算は以下のような流れで進んでいきます。
- 日々の記帳を正確に行う
- 決算整理をする前に試算表を作る
- 決算整理仕訳をする
- 決算書を作成する
- 取締役会や株主総会で承認を受ける
- 法人税申告書を作成する
- 税務署等に決算書を提出して納税する
- 提出した書類はしっかり保管しておく
日々の記帳を正確に行う
前提として法人決算をスムーズに進めるためには、日々の記帳を正確に行うことが欠かせません。日々の記帳とは、日々の取引やその内容を帳簿や会計ソフトに記録する作業であり、収益や費用、資産や負債の動きを正確に反映させる必要があります。
正確な記帳が行われていると決算時に取引データの確認や修正に費やす時間を大幅に削減できます。また、記帳が正確であることは、法人税の申告や納付においても重要です。不正確な記帳が原因で申告内容に誤りがあると税務調査の対象となる可能性が高まります。
さらに、記帳が整っていると経営状況の把握や資金繰りの改善に役立つ情報が得られます。記帳は経営の基盤を支える重要な作業ですので、正確に行うことが求められます。
決算整理をする前に試算表を作る
決算整理を行う前には、試算表を作成することが重要です。試算表は日々記録された取引データを基に、貸借対照表や損益計算書の元となる情報をまとめた表です。この試算表を作成することで現時点での収支や資産、負債の状況を把握できます。
また、試算表の作成により記帳ミスや漏れがないかを確認することができ、正確な決算書類の作成につながります。試算表は会計ソフトを活用することで効率的に作成できますが、必ず目視で取引内容の確認や修正を行うことが大切です。
決算整理仕訳をする
試算表を作った後は決算整理仕訳を行いましょう。決算整理仕訳とは事業年度内に記録された取引データを基に未処理の費用や収益を正確に計上し、会計帳簿を調整する手続きです。この仕訳では未払費用や未収収益の計上、固定資産の減価償却費の計算、棚卸資産の評価などを行います。
決算整理仕訳を正確に行うことで財務諸表が実態に即した内容となり、法人税の計算に役立ちます。また、これらの仕訳作業を適切に進めることは、税務署からの信頼を得る上でも重要です。
決算書を作成する
決算書は、貸借対照表や損益計算書など法人の財務状況や経営成績を正確に示す書類です。決算整理仕訳を反映した試算表を基に貸借対照表では資産や負債、純資産の状態を明らかにし、損益計算書では収益と費用を計算して利益又は損失を確定します。
また、法人税申告に必要な内訳書や事業概況説明書も作成します。これらの書類を正確に作成することで税務申告が適切に行われ、法人の信用維持にもつながります。決算書の作成は専門的な知識が求められるため、税理士に依頼するか自分で行う場合は会計ソフトを活用することが効果的です。
取締役会や株主総会で承認を受ける
作成した決算書は、まず取締役会に提出され内容が適切であるかを確認されます。この過程では、経営者や取締役が法人の経営状況や財務状態を共有し、今後の方針について議論を行います。
その後、株主総会で正式に承認を受ける必要があります。株主総会では、法人の経営に関わる重要な意思決定が行われる場であり、決算書の承認もその一環です。株主に対して法人の収支や資産状況を明確に説明することで経営の透明性を確保し、信頼関係を構築できます。なお、承認を得た決算書は税務申告の基礎資料となり、法人税の申告に活用されます。
法人税申告書を作成する
法人税申告書は作成した決算書を基に法人の課税所得を計算し、納税額を確定させるための書類です。この申告書には、損益計算書や貸借対照表の内容を反映させるほか、税務上の調整事項を正確に記載します。
例えば、損金不算入となる費用や益金不算入となる収益などの税務調整を行います。また、法人税申告書には、法人税の基礎となる所得金額の計算過程や控除額の詳細を含める必要があります。
税務署等に決算書を提出して納税する
税務署などの関係機関に決算書を提出して納税を行う必要があります。法人税の申告期限は事業年度終了日から原則として2カ月以内とされており、この期間内に申告書とともに決算書を提出して納税をしなければなりません。
提出した書類はしっかり保管しておく
法人決算が完了した後は、提出した書類を適切に保管しておきましょう。税務署や自治体に提出した決算書や法人税申告書、附属明細書などの書類は法令に基づき一定期間の保管義務があります。
これらの書類は税務調査や会計監査の際に確認されるため、紛失や破損を防ぐためにも適切な管理が必要です。
決算書に含まれる具体的な書類
決算書に含まれる具体的な書類は、以下の3つです。
- 損益計算書(P/L)
- 貸借対照表(B/S)
- その他(キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表等)
損益計算書(P/L)
損益計算書(P/L)は、決算書の中で法人の経営成績を示す書類です。損益計算書では、一定期間の収益と費用を記載し、その結果として得られる利益または損失を明確に示します。
具体的には、売上高や営業利益、経常利益、当期純利益などの項目が含まれます。損益計算書を分析することで法人が効率的に収益を上げているか、費用のコントロールが適切であるかを把握することが可能です。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表(B/S)は、法人の財務状況を明確に示す資料です。貸借対照表は決算日時点での資産、負債、純資産の内訳を記載し、法人がどのように資金を調達し、活用しているかを一目で把握できます。
資産の項目には現金や預金、売掛金、固定資産などが含まれ、負債の項目には借入金や未払費用が記載されます。貸借対照表を分析することで法人の財務体質や支払能力、資金の流れを評価できます。
キャッシュフロー計算書(C/F)
キャッシュフロー計算書(C/F)は、法人の現金収支を示す資料です。この書類は、一定期間における現金の流入と流出を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の三つに分けて記載します。
営業活動キャッシュフローでは、事業の本業による現金収支を示し、法人の収益力を評価する指標となります。投資活動キャッシュフローでは設備投資や資産の購入・売却による現金の動きを示し、長期的な資金運用状況を把握できます。
法人決算を自分でする場合の注意点
法人決算を自分で行う場合、まず帳簿や会計記録を正確に管理しておくことが必要です。不正確な記録や記帳漏れがあると決算書類の作成に時間がかかるだけでなく、税務申告にも影響を及ぼします。
また、法人税や消費税、事業税などの計算には専門的な知識が求められるため、税法や会計基準に精通していなければなりません。自分で法人決算を行う際には、これらの注意点を踏まえて慎重に対応しましょう。
法人決算は税理士に依頼するのがおすすめ
法人決算は専門知識を要する複雑な作業であるため、可能であれば税理士に依頼することがおすすめです。税理士は税務や会計に関する知識と経験を持っており、法人決算における正確な書類作成や適切な税務申告をサポートします。
税理士に依頼することで税法や会計基準の変更に対応しやすくなるだけでなく、法人の税負担を軽減させる節税提案が可能です。また、税理士は節税対策の提案や税務調査への対応についてもアドバイスを行うため、法人の経営安定につながります。税理士に依頼することで、法人決算の正確性と効率が高まり、税務リスクの軽減と信頼性向上に役立つでしょう。
法人決算の作成ならハートランド税理士法人にお任せください
法人決算は、法人の経営成績や財務状況を明確にする重要なプロセスです。試算表の作成や決算整理仕訳を経て損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書といった決算書を作成します。その後、取締役会や株主総会で承認を受け、税務署などの関係機関に提出して納税するまでが法人決算の流れです。
法人決算は、税務申告や経営判断の基礎となる資料を提供するだけでなく、法人の透明性や信頼性を高める役割も果たします。ただし、法人決算には高度な専門知識が求められるため、自分で対応する場合には慎重な管理が必要です。可能であれば税理士に依頼することで正確な決算書作成や節税対策、税務調査への備えが可能となり、法人経営の効率化にもつながるでしょう。
決算書類の作成ができる税理士を探している方は、私たちハートランド税理士法人へお気軽にご相談ください。
税務調査対策にも精通しているため、貴社の税務を全面的にサポートさせていただきます。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。