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自分でやりたいことがある、社長になってみたいなど、起業に憧れを持っている方は多いと思います。しかし、起業するには具体的にはどうすればいいのでしょうか?
ここでは、起業に必要な手続きや流れ、起業に成功しやすい人の特徴などを解説いたします。
起業するには2つの方法がある
一般的に「起業」と言えば、会社を起こす、つまり法人を設立することを連想しそうですが、実際には少し違います。
起業とは「業を起こす」、つまり新たな生業を始めるということであるため、個人で事業を始めることも立派な起業なのです。
起業には、法人か個人事業主かの2種類の方法があります。
①法人(株式会社など)を設立する
非上場で株式を発行し、法人を設立するパターンです。通常、設立時の出資者は自分自身であることが多く、あるいは自分自身と家族など身内で構成されていることがほとんどです。
但し、最低限の税金は納めなければいけません。また、自分自身が役員として活動する場合には役員報酬として報酬を得ながら経営することになります。
②個人事業主として活動する
開業届を提出して個人で事業を行う方法です。個人事業主なので、収入を得て経費を差し引き、黒字の場合は所得税が課されますが、赤字の場合は所得税が課されることはありません。
初めは自分一人で事業を起こし、軌道に乗って規模を拡大したいと思えばその時に法人化することも可能です。また、法人化せずとも従業員を雇うこともできます。
起業するにはどんな流れで行う?
法人にしても個人にしても、起業するには、まずは何をしなければいけないのかが重要です。
特に初めて起業するといった場合には、どこから手をつけていいのかわからないものです。
ここでは、実際に起業するにはどのような流れとなるのかを解説していきます。
①なぜ、起業したいのかを明確にする
起業するには、その目的意識をはっきりと持っておかなければなりません。これは個人事業主でも法人でも同じことで、ブレない経営には欠かせない要素です。
②具体的なサービス内容を決める
何でも手広く事業を行うのはあまりおすすめできません。自分は何のためにこの事業を起こすのか、または「○○をする」という事業目的を明確に持っておかなければなります。
ここがはっきりしていれば、おのずと起業するには今何をすべきか、将来どうなりたいかが見えてきます。
③起業に必要な資金を集める
自分が始めようとしている事業が明確になったら、起業するにはどのくらいのお金が必要なのか、また現状いくら開業資金として利用できるのかを明確にし、足りない分をどのようにして調達するのか、資金繰り計画を決めなければなりません。
④起業の方法を決めて、手続きをする
個人事業主の場合は開業届の提出、法人の場合は法人登記と法人設立届の提出の必要があります。
⑤事業を開始する
全ての届出を提出したのち、実際に事業を始めることになります。
起業するには資金集めが必要
さて、一連の流れについて説明いたましたが、ここで新たな問題が出てきます。それは起業のための開業資金です。
起業するには色々な資金調達の方法がありますが、今回は誰にでもできる4つの方法を解説します。
貯金をしておく
実際に現金が多く手元にあれば、それだけ自由に使えるお金があるということです。
法人であれ個人事業主であれ、同じことが言えます。そのために、起業するには開業資金を自分で貯金しておくことは、確実な方法です。
創業融資をうける
例えば、日本政策金融公庫から開業資金の融資を受けるといった方法があります。
その後の運転資金の借入とは違い、開業資金は多くの借入を行うことができます。但し返済計画も明確にしておく必要があります。
起業支援制度を活用する
貯金が少なくても、そして返済出来るかどうかの目途が立たないといった場合でも、開業前や開業後に補助金を受け取って当面の間の資金を賄うことが可能です。
クラウドファンディングで資金調達する
最近注目されている方法がこの「クラウドファンディング」です。不特定多数の人に出資を募る方法で、銀行融資のように返済の必要はありません。
しかし、アピールするものが明確でなければ、1円も集まらないということも珍しくありません。その点においては「起業するには確実な方法」と呼ぶには少し難しいかもしれません。
起業するために必要な書類や手続き
起業にあたっての、個人事業主と法人の手続きは同じ方法なのでしょうか。ここでは、個人事業主と法人設立に分けて手続きやその流れについてご説明します。
個人事業主の場合
開業届さえを税務署に提出すれば、事業自体を始めることができます。
その他、給与を支払う場合や青色申告者として事業を行うには別途届出が必要です。
会社を設立する場合
法人で起業するには、まず法務局で法人登記を行います。法人登記が完了すれば、謄本をもって税務署に事業所の開設届を提出し、その他必要に応じて税務の届出を順次行っていきます。
起業するには知っておくべき知識もある
ただ闇雲に「手続きができたしこれで事業が運営できる」という単純なものではありません。
会計や税金、事業を発展させるにはマーケティングの知識も必要です。そこで、起業するには知っておいて頂きたい最低限の知識についてご説明します。
①会計に関する知識
起業すると、個人の確定申告にせよ法人の決算申告にせよ、帳簿をつける必要が出てきます。この帳簿の基礎となるのが会計です。会計の知識は簿記2級程度あれば十分といわれていますが、不安であれば税理士に依頼するのが良いでしょう。
②税金に関する知識
開業当初から税理士に依頼するというのであれば、税金に関する知識は必要ないかもしれません。
しかし、経費が掛かるので自分で申告したい、という場合はそれなりに知識が必要です。税務署で丁寧に教えてくれることがほとんどなので、気軽に問合せをしてみましょう。
③マーケティングに関する知識
自分の事業を発展させていくためにこれから起業するには、まず業界がどういった状態にあるのかを知っておく必要があります。
それがわかった上で、どのように事業を展開させていくかを判断しなければなりません。そのためには、情報収集能力とマーケティングの知識があるに越したことはありません。
起業する前に失敗を避ける方法
せっかく起業に向けて取り組んできたにも関わらず、結局途中で断念するというは少なくありません。
そこで気になるのは、起業前の失敗をどのように回避するかという点です。ひたすら自分が儲けることだけを考えていては、失敗してしまいます。
重要なことは、お金が生まれる仕組みを作る、社会では何が今必要とされているのかを知る、ということです。
もちろん、資金面と途中であきらめないことも重要ですが、事前に利益を生み出す構造を把握しておくことで、起業後すぐ倒産するなどの失敗を避けられます。
起業に向いている人の特徴
巷ではよく、「この人は経営能力に長けている」などという言葉を耳にします。
実際にそういった天才肌の人もいますが、それはごくわずかです。
ここでは、いったいどういった人が起業に向いているのかについて触れていきます。
行動がすぐに出来る人
行動がすぐできる人はチャンスをものにしやすく、また失敗しても軌道修正をすぐにできる傾向があります。
臨機応変に対応が出来る人
常に余裕なくいっぱいいっぱいになっていては、事業を行えません。臨機応変に対応ができる人は、柔軟に問題に向かって対応することができます。
得意分野を持っている人
起業するには、なんらかの得意分野があればよいでしょう。得意分野を持っている人は、困った時にそれを事業に生かすことができます。
また、その得意分野を自分自身の事業として稼ぐことができます。
精神力が強い人
何事も初めからうまくいくことは限りません。その中でも継続して事業を行う精神力の強さが必要です。
情報収集能力が高い人
常にアンテナを張り、情報収集することが必要です。常に自分がどのようにかじを切れば事業がうまくいくのかを素早く判断できるようになりましょう。
素直な人
人のアドバイスを素直に受け入れることができる人は、自分が実際に困った時にどういった方法を取ればいいのか、柔軟に対応することができます。
また、教える側の人も、素直に聞いてくれる人にはどんどん情報を教えたくなります。
まとめ
起業するには、どういった事業を行うのかということを明確に持っておくことがなにより大切です。ここがぶれてしまっては、その後融資の相談を持ち掛けるにしても、困った時の相談をするにしてもその焦点がずれてしまいます。
一度起業すると決めたら、そのビジョンがぶれないよう、しっかりとした軸を持っておく必要があります。
監修:大久保 明信(おおくぼ あきのぶ)
・ハートランド税理士法人 代表社員(近畿税理士会所属、税理士番号:127217)
・ハートランドグループ代表取締役社長
1986年生まれ高知県出身。大阪市内の税理士事務所で経験を積み、2015年に28歳(当時関西最年少)でハートランド会計事務所(現:ハートランド税理士法人)を開業。社労士法人併設の総合型税理士法人として、2024年には顧問先数1,200件を突破。法人の税務顧問を中心に、国税局の複雑な税務調査への対応や経営へのコンサルティング等、顧問先のトータルサポートに尽力中。